福岡市議会改革、評価と課題は 各会派代表に聞く

 福岡市議会は昨年9月、全会派が参加する議会改革調査特別委員会を設け、7回の議論を重ねてきた。「市民の反発を受けかねない」などとして非公開にしていた常任委員会での議案や請願の採決を公開するなど、長年にわたる市民からの要望に応えた決定もあった一方、委員会の議事録に発言者名を載せるかや、議会の役割を明記する議会基本条例を制定するかなど、会派間で意見が分かれているテーマも少なくない。開かれた議会への改革は道半ば。全7会派の代表者にこれまでの議論の評価と課題を聞いた。


 ■ネット中継公平性に懸念 自民 光安力会長

 昨年、常任委員会で議案や請願を採決する時に提出者に退出を求めていた長年の慣習を改めた。議会改革の中ではこれが最大のテーマであり、ほかに大きな懸案はないというのが私の認識だ。発言者の残り時間の表示器設置は価格が低くなってきたこともあり、すぐできる。委員会議事録への発言者名の記載や常任委のインターネット中継については、売名行為につながらないか。発言の多い野党系会派ばかりが目立っては公平性が保てない。会派ごとに持ち時間を決めるといったことがセットにならないと、議論の土俵には乗れない。


 ■基本条例議論し課題確認 公明 黒子秀勇樹団長

 議会改革調査特別委員会が設置されて9カ月。各議員が腰を据えて改革に取り組む場ができたことは、非常に意味がある。常任委員会の採決を公開し、請願審査の際に紹介議員が必要に応じて質問に答えることが決まるなど、これまで合意できなかったことが実現している。着々と「開かれた議会」へ進んでいる。次の重要課題は常任委員会の構成の見直しだろう。会派としては、現在の検討項目にめどがついた後は、議会をよりよくするための議会基本条例について議論を重ねてほしい。議論の中でまた課題も見えてくるだろう。


 ■情報発信を大切にしたい 福岡市民クラブ 阿部正剛代表

 挙がっている議会改革のテーマについて、後ろ向きなものは一つもない。各会派としっかり話し合い、できる限り実現したい。本丸は議会基本条例の制定。ただ、議会内には「条例がなくてもできることはある」といった意見も根強く、温度差があるのは事実。こうあるべきといった理念だけでなく、具体的にやることを明記した条例にしたい。そして情報発信が大切だ。議会がいつ開かれているかも知らない住民は多い。今回の選挙権年齢の引き下げを機に、投票率アップにつながる取り組みもやらないといけないと感じる。


 ■個別課題を一つずつ解決 みらい福岡 笠康雄会長

 議会改革のテーマは多岐にわたる。議会基本条例制定のように、各会派の議論百出で意見がまとまらない案件より、個別課題を一つずつ解決していくのが会派としての基本方針だ。昨年から常任委員会の採決を傍聴者に公開するなど、少しずつだが議会は変わってきている。「第1~第5委員会」としている現在の委員会名は、市民には各委員会がどの分野を担当しているのか分かりにくい。親しみやすい名称への変更も検討したい。若い世代の関心を引き付けるため、委員会をインターネット中継したいが多額の費用がネックだ。


 ■第2委員会の再編が必須 共産 星野美恵子団長

 各会派が改革を提案し、市民の理解を得られるよう議論を進める方向性は大変評価する。長年主張してきた常任委員会の採決の公開が実現し、改革の大きな一歩だと思う。今後の論点としては、常任委員会の再編だ。とりわけ第2委員会は保健福祉、教育委員会、子ども施策を所管していて、審議時間が追いついていない状況にある。市民意見の反映からすれば好ましくない状況だ。再編せざるを得ず、会派内でも議論を深めていきたい。市民の意見をどう取り入れるかについても、議論を進めていかなければいけない。


 ■関心喚起へネット中継を 福岡維新の会 富永周行代表

 周りから見ればゆっくりしていると映るかもしれないが、着実に進んでいると感じている。議会改革は市政に関心を持ってもらうための取り組み。会派としてはまず、常任委員会のインターネット中継を実現させたい。費用対効果について議会内に異論はあるが、具体的な市の施策についてつまびらかになる貴重な場であり、見てもらえるのではないか。市民への情報発信という点でいうと、議会報告会もやりたい。それぞれ立場は違うものの、議会として何を考え、市とどう関わっていくのかを広く知ってもらうのは意味がある。


 ■市民意見 反映の仕組みに 緑とネット 荒木龍昇代表

 前進はしているが、課題はまだまだ残っている。例えば常任委員会の議事録に発言者名を記載すること。誰が何を言っているのかは市民にとって大事で、「開かれた議会」を掲げるなら実現するべきだ。議会と市民の距離を縮めるため、議会が市民の声を受け止める仕組みも重要。そのためにも議会報告会の開催などを盛り込んだ議会基本条例の制定を議論すべきだ。相変わらず「議会が何をしているのか分からない」との声を聞く。改革の取り組みは始まったばかり。歩みが遅いと思うかもしれないが、熟議していくしかない。

    ◇      ◇

 ▼福岡市議会改革の進捗状況

【決定事項】

・常任委員会における議案や請願の採決を公開
・判断が分かれる請願はこれまで通り「継続審査」を適用

【検討事項】

・請願の審査時、紹介議員に対してほかの議員が趣旨説明などの質疑ができるようにする
・委員会議事録に発言者の名前を記載する
・常任委のインターネット中継
・発言の残り時間の表示器設置
・「第1」「第2」など常任委の名称変更と担当局の再編
・議会活動に対する住民理解の促進
・選挙権年齢引き下げへの対応
・市民意見を反映するための仕組み作り
・議会基本条例の制定

=2016/06/15付 西日本新聞朝刊=

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