粕屋町が予算編成「見える化」 要望事業を町民の前で初公開

町民を前に開かれた、粕屋町の各課による要望事業プレゼンテーション
町民を前に開かれた、粕屋町の各課による要望事業プレゼンテーション
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 来年度の予算編成を前に、粕屋町役場の課長たちが7日夜、同町のサンレイクかすやで、各課の要望事業を因辰美町長や町民に公開提案した。同町初の試みで、町民の「税金がどんな使われ方をしているのか分からない」などの疑問に答えようと因町長が発案した。各課の仕事を具体的に紹介しながら、予算編成の過程をオープンにすることで透明性を高めるのが目的。また、予算が必要な事業について各課が、公開の場で提案する訓練を積むことで、情報発信の能力を育てる狙いもある。

 この日は18課の課長などが参加。発表資料作成ソフトを使い、1人5分の制限時間で、各課の体制や新年度に取り組みたい事業についてプレゼンテーションした。学校教育課は、仲原小や粕屋中央小の大規模改造工事の必要性を訴え、総合窓口課は、マイナンバーカードを利用してコンビニで住民票などを交付する事業への予算措置を要望。総務課は、優秀な人材を確保するため職員採用試験の強化事業の重要性を力説した。

 説明には写真やイラスト、グラフィックスを多用し、分かりやすく伝えようとする工夫がうかがえた。また、本番に備えて練習を重ねた成果もあり、どの課の代表もよどみない口調で提案していた。

 説明を聞き終えた因町長は「行政を見える化し、住民に情報を知らせることが大切だ。庁内には(公開提案に対して)抵抗もあったというが、課長たちは予想以上に健闘してくれた。ただ、この中の3分の1は予算をカットしなければならず、優先順位を決めて折衝しながら予算を組みたい」と理解を求めた。

 会場で耳を傾けた飲食業の男性(66)は「町民の参加が少なかったのは残念。また、優等生的な説明が多かったのも気になった」と指摘。また、別の男性は「このような試みはいいと思う」と評価しながらも「項目が多く、5分の説明は短すぎた」との感想を述べた。

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■地道な業務 知ってもらう機会にも

 「今更聞けない…」。ハウツー本のタイトルにありそうだが、粕屋町18課のプレゼンテーションを聞きながら、各課の業務について、今更ながら知らないことが多いのに気づかされた。

 例えば収納課。町税などを徴収する事務を担当している部署だ。同町の徴収率は97.09%(2016年度)で、県内でも上位にあるという。払えるのに払わない滞納者に対しては関東までも出掛けて徴収したり、事業所と掛け合って給与を差し押さえたりする。

 「公平公正な財源の確保があってこそ、町の事業も行える」と同課の臼井賢太郎課長。黒子的な仕事で、町民も実態を知る機会は少ない部署だろう。地道な業務を広く知ってもらい、町の財政について関心を促す効果はありそうだ。

 約200人収容する会場はほぼ満席。だが、そのうち一般の町民は70人程度で、町職員や町議などの方が多かったのは少し残念だった。今後は地域の公民館に出向き、いくつかの事業についてプレゼンテーションする計画もあるという。わが町の現状や課題を知るためにも町民にはぜひ参加をお勧めしたい。

 一方で「優等生的な説明が多い」と参加町民の指摘にもあったように、今回の取り組みが予定調和のパフォーマンスに陥らないよう、本音ベースの協議を公開し、難しい課題についても積極的に情報を「見える化」していく姿勢が必要だとも感じた。

=2017/11/19付 西日本新聞朝刊=

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