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留学ビジネス ネパールからの報告(4)ビザ申請 はびこる偽造

ネパール全土に3万5000あるとされる「コーポレーティブ」の看板=昨年12月、ネパール・パタン郊外(本文とは関係ありません)
ネパール全土に3万5000あるとされる「コーポレーティブ」の看板=昨年12月、ネパール・パタン郊外(本文とは関係ありません)
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 ネパール第2の都市ポカラの大通りに面した日本語学校「EAST WEST」。12年前に学校を設立した社長のラムさん(35)の経営スタイルは強気だ。

 日本側条件 呼び水に

 ネパールでは授業料無料の学校も多いが、ここは授業料1万5千円に加え、ビザ申請の手数料などで1人10万円を取る。値崩れが起きている日本側からの紹介料も10万円を維持する。

 ビジネスを支えるのは、提携する東京、千葉、名古屋など12の日本語学校と結ぶ学生募集の委託契約。「うちはビザ取得率が100%。日本側の学校と顔の見える関係もある」

 「ノーリスク、ハイリターン」とも言われ、ネパールで過熱する留学ビジネス。日本側の学校には毎年、ネパールの委託契約先の学校にスタッフを派遣し、学生の面接や経営に目を光らせるところもある。

 だが、契約締結時すら電話やメールの連絡だけで、一度も顔を合わせたことがないという日本側の学校もある。チェックの甘さは不正の温床でもある。

 ネパールでは、留学ビザ取得に必要な卒業証明書や日本語能力の証明書、銀行預金の残高証明書まで、あらゆる書類が偽造されてきた、とされる。

 2014~15年には、留学書類を偽造した疑いで30~40人が当局に身柄を拘束された。授業も行わず、留学書類の偽造を繰り返していた学校もあった。

   ◇   ◇

 カトマンズに隣接する街パタン。日本語学校経営者のタマンさん=仮名=は「不正は昔の話。今はない」と言い切った。不正の頻発を受け、ネパールでは学校関係の証明書をネットで照会できるなど改善が進む。

 だが、記者が取材した複数の業者は「残高証明は今もほとんど偽物」と証言した。その点を問うと、「残高証明は学生が持ってくるから、信用するしかない」と答えるだけ。表情からほほ笑みが消えた。

 日本の入国管理当局が求める残高は最低でも「150万ルピー(約150万円)」。公務員の月給が3万ルピーのネパールでは大金で、留学生はこれとは別に留学実費で100万ルピー以上がかかり、大半は借金で工面している。150万ルピーもの残高を持つのは現実的ではない。

 ネパールの銀行は通常、留学の証明用に使われるような長期の残高証明を出さない。複数の仲介業者によると、残高証明の発行は、大半が「コーポレーティブ」(コープ)と呼ばれる金融機関が請け負う。

 コープは仲間内で資金を出し、融通する「協同組合」で、ネパール全土に大小3万5千程度が存在。ある仲介業者は「コープは残高がなくても手数料次第で『本物』を作ってくれる」と明かし、実際に学生が持ち込んだ残高証明を示した。「これは偽造だが、『本物』だ」

 「残高証明のようにネパールに存在しない書類を日本の入管当局が求める限り、偽造はなくならない」との声を何度も聞いた。「JAPAN」に沸くビジネスの浄化は、ネパール側だけの課題ではない。

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 西日本新聞「新 移民時代」取材班
 imin@nishinippon-np.jp

=2017/01/05付 西日本新聞朝刊=

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