実習生試験、形だけ? 問題使い回し、実技でそうめんゆで 労働力確保優先か

技能実習評価試験の過去問題。一部の業種で半年から1年にわたって使い回されている
技能実習評価試験の過去問題。一部の業種で半年から1年にわたって使い回されている
写真を見る

 3年を期限に来日する外国人技能実習生が、2年目に移る前に技能の習熟度を測る「技能実習評価試験」の在り方に、疑問の声が上がっている。学科問題の使い回しや現場でほとんど使わない技術を試すケースもあり、合格率はほぼ100%。国の実習制度は「技術移転による国際貢献」を名目とするが、識者は「形だけの試験に、労働力として実習生に頼る現場の実情が表れている」と指摘する。

 評価試験は国の実習制度で義務付けられている。実習生を受け入れている職種の業界団体や、都道府県の職業能力開発協会が学科と実技の問題を作成し、各職場を訪問するなどして随時実施している。不合格者には1度だけ再試験がある。

 学科試験では「おなかがいたくなったらほうこくする」(総菜製造)「うしのいは1つです」(酪農)など、日本語の文を○×で選ぶ問題が並ぶ。総菜製造や農業など一部の業種では、ほぼ同じ問題を半年から1年にわたって使い続け、再試験者に同じ問題を出すケースもある。

 実技でも現場作業と懸け離れた出題が見られる。電子機器の組み立てでは、多くの工場で機械化されているハンダ付けを手作業でさせている。総菜製造(加熱)では、実習生が日ごろ担当する調理の種別にかかわらず、全員にそうめんをゆでる試験を課している。

 こうした内容について、試験の作成で業界団体などに助言している国際研修協力機構(JITCO)は「機械化された作業をこなすために、基礎となる手作業を試している。評価試験があることで実習生の意欲が高まる」と強調。厚生労働省も学科試験については「用紙を回収しており、公平性に問題ない」としている。

 一方、実習生の受け入れを支援する福岡市の監理団体の担当者は「日常業務と別に、わざわざ試験のために実技の練習をしないといけない」と首をかしげる。厚労省も実技試験については「現場に適さない内容であれば、見直すよう指導したい」としている。

 実習生の来日数は年々増え、昨年で20万人を突破した。多くは単純作業や肉体労働を担い、人口減や人手不足を補っている実情がある。外国人技能実習生問題弁護士連絡会で共同代表を務める指宿昭一弁護士は「監督官が正解を指さしたと話す実習生もいた。厳格な試験をすればほとんど合格せず、実習制度が破綻してしまう。国の目的との矛盾を象徴している」と話している。

=2017/03/03付 西日本新聞朝刊=

西日本新聞のイチオシ [PR]

西日本新聞のイチオシ [PR]