外国人実習生21万人 「国際貢献」実際は労働力

熊本市中央区の建設現場で、配筋作業に従事するインドネシア出身の実習生。熊本地震の被災地で復興の一翼を担っている
熊本市中央区の建設現場で、配筋作業に従事するインドネシア出身の実習生。熊本地震の被災地で復興の一翼を担っている
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昨年上半期で20万人を超え、2011年からの5年半で約1.5倍に増えた外国人技能実習生。国籍別では中国が4割を占めるが、経済発展で国内の需要が増した影響もあり、3年前の7割から減少した。最近は人材の供給源が、ベトナムをはじめとする東南アジアの国々に移ってきている
昨年上半期で20万人を超え、2011年からの5年半で約1.5倍に増えた外国人技能実習生。国籍別では中国が4割を占めるが、経済発展で国内の需要が増した影響もあり、3年前の7割から減少した。最近は人材の供給源が、ベトナムをはじめとする東南アジアの国々に移ってきている
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各地の労働局が公表した昨年10月末時点の統計によると、九州7県の外国人労働者は5万9053人。県別では福岡が最多の3万1541人で、学校が多いことから「留学生のアルバイトなど」が47%を占める。他の6県はいずれも技能実習生(41~65%)がトップで、人口減に苦しむ地方の課題と重なってくる
各地の労働局が公表した昨年10月末時点の統計によると、九州7県の外国人労働者は5万9053人。県別では福岡が最多の3万1541人で、学校が多いことから「留学生のアルバイトなど」が47%を占める。他の6県はいずれも技能実習生(41~65%)がトップで、人口減に苦しむ地方の課題と重なってくる
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 国内で働く外国人が100万人を突破した。その2割を占めるのが、技能を身に付けて帰国してもらう日本の実習制度で招いた人たちだ。一方で留学生と並び、大半が単純労働を担っている現実がある。しかも学校の多い都市部に偏る留学生に比べ、人口減に悩む地方でも貴重な戦力となってきた。とはいえ、働けど働けど、立場はあくまで実習生。「新 移民時代」第4部では、矛盾をはらみながらも増え続ける外国人技能実習生に焦点を当てる。

 「蟹工船」から待遇改善へ

 制度の原型は、国が「国際貢献」の名目で1990年に創設した外国人研修制度にさかのぼる。97年に研修1年、実習2年の計3年を在留期限とした現行の仕組みが出来上がった。アジアの途上国を中心に、昨年10月末で約21万人。前年比25%増と急伸している。

 その多くは製造業や農漁業、建設業を中心に、高い技能を必要としない肉体労働や単純作業に従事している。それでも制度の目的が「国際貢献」である以上、労働者としての権利は制限され、かつては1年目の研修手当があまりに安く「現代の蟹工船」と称された。今でも実習期間中は家族を呼び寄せられず、転職も原則として認められない。

 ただ、そもそも日本経済が成熟し、農村部からの出稼ぎ者が減ったころに始まった制度である。多くの受け入れ企業は人手不足を補う労働力と位置づけ「結果として、帰国後に技術を使ってもらえれば」と本音と建前を使い分ける。こうした不十分な労働環境の下、劣悪な待遇や人権侵害行為がたびたび表面化した。

 国はその都度、ルールに改良を加えて制度を存続させてきた。3年で帰国する実習生は「移民」となり得ず、外国人労働者の本格的な受け入れ論議を回避できた。労働力の補完として都合よく活用しようという思惑も見え隠れする。

 ルール改正に伴い、実習生の待遇は少しずつ改善されている。2010年、1年目から最低賃金以上の給与が支払われるようになった。昨年11月には、新たに「外国人技能実習法」が成立した。受け入れ窓口となる監理団体(事業協同組合や農漁協など)を許可制にして規制を強化。優良な団体は期間を5年まで延長できるルールも加わり、1年以内に施行される予定だ。

 実習生が今のペースで増え続ければ、5年後には50万人に達する。外国人に頼らないと存続すら危うい地方産業が続出する中、今後も制度のマイナーチェンジを繰り返すだけで十分なのか。実習生と向き合えば、人口減が加速する九州の未来も見えてくる。

=2017/02/22付 西日本新聞朝刊=

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