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介護 外国人確保急ぐ 働けど実習生(6)

経済連携協定の枠組みで来日しているフィリピン人の介護福祉士候補生。配膳や介助をてきぱきとこなす=福岡県小郡市の特別養護老人ホーム「三沢長生園」
経済連携協定の枠組みで来日しているフィリピン人の介護福祉士候補生。配膳や介助をてきぱきとこなす=福岡県小郡市の特別養護老人ホーム「三沢長生園」
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 いよいよ解禁である。外国人技能実習生の受け入れ職種は74。ここに11月1日にも「介護」が加わる。2025年に38万人の人材不足に陥るとされる日本の介護現場は、解禁前夜にもかかわらず、慌ただしい。

 解禁迫り、先手打つ現場

 「ウィンウィン(相互利益)の関係を築きたい」。福岡市の介護会社ケアリングも一足先に動きだしている。岡部廉専務によると、相手は中国。15年の高齢化率が9・6%、20年後は21・3%に跳ね上がると推計されるだけに、先を行く日本の介護技術に注目している。

 昨年8月、中国・大連に建設される高齢者施設と、スタッフに「日本式介護」を伝授する契約を結んだ。現地で先行して教育を始め、解禁後は実習生として約80人を福岡の介護施設で受け入れて、技術や心配りを身に付けてもらう計画だ。

 継続して受け入れられれば、人手不足の軽減につながる。実習を終えて帰国すれば、中国にとって高齢化社会に貢献できる人材となる。まさにウィンウィン。岡部専務は「実習制度を生かした好循環を目指したい」と意気込む。

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 「解禁」とはいえ、既に外国人を受け入れている介護現場はある。

 福岡県小郡市の特別養護老人ホーム、三沢長生園。「福岡弁、難しいね」。そう口をそろえるフィリピン人のアウレリア・チュンヤスさん(33)とジェッサジョイ・アルセナスさん(27)は介護福祉士の候補生として研さんを積んでいる。

 08年、経済連携協定(EPA)に基づく介護人材の受け入れが始まった。これまで約2800人が来日。2人も母国と日本で計1年間の日本語教育を受け、昨年11月から園に来た。大卒のエリートとあって「指示を待たずに動いてくれる」と周囲の評価は高い。

 ただ、候補生は原則4年目で国家資格を取らなければ帰国となる。合格率は5割で日本語の壁が高く、2人にとっても目下の課題。園も週5日勤務の午前中を勉強に充てる。「お金と時間の投資は日本人以上」。EPA枠で受け入れている施設に共通した実感だ。

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 来日時に日本語能力試験N4程度(基本的な語彙(ごい)や漢字を理解)、1年後にN3程度(やや自然に近い速さの会話を理解)-。介護実習生の解禁を前に、厚生労働省は受け入れ要件を検討している。命に関わる仕事だけに、他の職種にない厳しい設定が予想される。

 「ハードルが高すぎる」「そもそも外国人を教育するノウハウがない」…。一部の介護施設や監理団体からは慎重な声も漏れる。それでも長崎県の老人ホーム運営者は言い切る。「働く人がおらず、施設がつぶれていく時代。外国人に頼らないと、老後を見てくれる人がいなくなる」。どんな夜明けが待つのだろうか。

 「外国人雇いたい」6割 福岡市の介護事業所

 九州の企業や医療法人でつくるWGで、介護現場に外国人を受け入れる際のモデルケース構築に向けて検討している。実態を把握するため、特別養護老人ホームやデイサービス、訪問介護などに取り組む1284事業所にアンケートし、22・4%に当たる287事業所から回答を得た。

 その結果、介護スタッフが「大変不足」と答えたのは19%で「やや不足」と合わせると71%に達した。8事業所で10人以上不足し、最も多く不足している事業所は「50人」だった。

 外国人の雇用を望む事業所は59%。理由として、人材不足解消のほか、職場の活性化を挙げ「仕方なく働く日本人より期待できる」「真面目さと思いやりがあれば国籍は関係ない」「明るくフレンドリーな印象」など好意的な声が寄せられた。既にネパールやインドネシア、スリランカ出身の定住外国人らを雇用している事業所は8%あった。

 一方、雇用を望む事業所の約半数が「不安がある」と回答した。「専門用語や方言を理解したり、記録を付けたりできるのか」といった日本語能力への懸念や「サービスをするという自覚を持ち、細かな要望に応えられるのか」「人材不足で受け入れる環境ができていない」「帰国されると教育した労力が無駄になる」などが挙げられた。

 外国人が介護福祉士の国家資格を取れば、日本での在留資格を得られるよう法律が改正されている。アンケートでは「資格を取らなくても、日本で長く働きたい外国人に道を開いてほしい」との要望もあった。

=2017/02/27付 西日本新聞朝刊=

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