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早稲田ジャーナリズム大賞に「新 移民時代」 本紙企画

 優れたキャンペーン報道などを表彰する第17回「石橋湛山記念早稲田ジャーナリズム大賞」草の根民主主義部門の大賞に30日、西日本新聞の企画「新 移民時代」(代表=社会部デスク・遊軍キャップ坂本信博)が選ばれた。本紙の同賞受賞は2005年度の「少年事件・更生と償い」、06年度の「検証 水俣病五十年」に続き11年ぶり3度目。

 「新 移民時代」は、国内で急増する外国人労働者との共生を地域から考える長期シリーズ。昨年12月から計9部を展開し、現在も継続している。社会部、都市圏総局、経済部の記者や海外の特派員が取材に当たってきた。

 選考委員の吉岡忍氏は受賞理由で「私たちのまわりに若い外国人の姿が増えたことは、誰もが気づいている。だが、彼や彼女たちはどこから、どんな経緯できたのか、日本でどういう暮らしをしているのか、私たちはほとんど知らない」「多様性を拒絶し、周縁に押しやって、見て見ぬふりをする姿勢自体が、この国の経済や政治や文化が活力を取り戻す機会を失わせているのではないか、という指摘は鋭い」と評価した。

 同賞は、早稲田大が2000年に創設。本年度は計130件の応募があり、公共奉仕部門はNHKスペシャル「ある文民警察官の死」、文化貢献部門はフォトジャーナリスト林典子氏の書籍「ヤズディの祈り」が大賞に選ばれた。贈呈式は11月30日に開かれる。

 本紙は「博多金塊事件と捜査情報漏えいスクープ」で本年度の新聞協会賞も受賞した。

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■「共生」正面から論議

 気がつけば、九州の街角で中国語とも韓国語とも異なるアジアの言語を耳にする。コンビニや居酒屋でネパール人やベトナム人の若者を見かける。深夜の食品工場や運送会社の配送センターにも彼らの姿がある。

 話を聞くと、多くはアルバイトをしながら日本語学校に通う留学生だった。取材を進めるにつれ、私たちが享受する便利な暮らしが、アジアの若者の労働力に下支えされているという事実が浮かび上がった。

 途上国への技術移転が目的の技能実習制度にも目を向けた。担い手の減少が止まらない農漁業や製造業、建設業などの現場では、安価な労働力として不可欠な存在となっていた。改善が進んでいるとはいえ、一部では「現代の奴隷労働」とも指摘される人権侵害も見聞きした。

 日本国内の外国人労働者は昨秋、初めて100万人を突破した。うち2割を留学生、別の2割を技能実習生が占める。経済協力開発機構(OECD)の統計で、日本は世界第5位の移民流入国だ。それでも政府は「いわゆる移民政策は取らない」と繰り返し、労働移民の存在を認めず対策を放置する「移民ネグレクト」を続ける。

 仕事に明け暮れる「出稼ぎ留学生」や偽装難民、玉石混交の日本語学校、送り出し国で過熱する留学ビジネス、技術の海外移転とは名ばかりの技能実習…。国策の建前と現実との隔たりが、ひずみを生んでいる。

 昨年12月から展開したキャンペーン報道「新 移民時代」では、九州から全国へ、そしてアジア各国や米国へと取材班を送り、こうした問題点や課題を指摘し、解決の道筋を探した。

 そして春先。法務省は日本語学校のチェックを強化、九州の自治体は留学生特区の共同提案、経済界は外国人向けの民間奨学金制度創設へと動き始めた。政府の骨太方針2017と未来投資戦略2017には、外国人労働者の「日本語教育の充実」「生活環境の改善」「就労環境の改善」などが盛り込まれた。

 技能実習の受け入れ職種に11月1日から「介護」が加わる。背景にあるのは人材不足、そして人口減と少子高齢化だ。移民政策を真正面から論じる時が来ている。その議論は、日本社会の在り方を考えることにつながる。「新 移民時代」の先進地・九州から問い続けたい。 (「新 移民時代」取材班)

=2017/10/31付 西日本新聞朝刊=

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