「町に必要」正規採用も SSW待遇格差 非正規大半兼務多く 活動継続へ雇用安定必要

香春町教育委員会の正規職員として勤務するスクールソーシャルワーカーの古賀幸広さん(手前)。教育委員会を拠点に町内六つの小、中学校を日々回っている=15日午後、福岡県香春町
香春町教育委員会の正規職員として勤務するスクールソーシャルワーカーの古賀幸広さん(手前)。教育委員会を拠点に町内六つの小、中学校を日々回っている=15日午後、福岡県香春町
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 不登校やいじめなど、子どもを巡る問題が多様化する中、需要が高まっているスクールソーシャルワーカー(SSW)。福岡県香春町が4月、正規の町職員として採用するなど積極的に活用する自治体が出てきた。ただ、大半は非正規採用。複数の自治体を掛け持ちし、十分に対応できないという問題も生じている。

 社会福祉士の古賀幸広さん(29)は2013年、香春町のSSWとして採用された。週5日、町内の小中学校計6校を担当。当初は常勤の嘱託職員だった。

 不登校の子どもへの支援では、担任と一緒に家庭を訪問して解決策を探るほか、不登校・ひきこもりサポートセンターの利用など学校以外の居場所も提案。発達障害や非行、虐待の相談など、子どもの家庭環境を把握した上で必要な福祉サービスへとつなげている。

 町によると、古賀さんの着任以来、多くの課題が改善に向かった。林忠良教育長は「学校だけでは解決できない問題が増えている中、町に欠かせない存在となっている」と話す。

 実績が評価されるのに伴い、町では古賀さんの雇用形態を問題視する声が上がった。町教育委員会教育課の池本耕二課長は「SSWは家庭に介入し、深刻な問題を扱う職責の重い仕事。正規職員として雇用すべきだと考えた」と言う。

 4月に正規採用となり、賞与や交通費、業務専用車、携帯電話が支給されるなど待遇は大幅に改善。古賀さんは「これまで不参加だった町の会議に出席が認められるなど、行政に福祉の視点を加えられるようになった」と手応えを口にした。

 香春町のケースは成功例だが、SSWの雇用の現状は厳しい。SSWを養成する福岡県立大の奥村賢一准教授によると、県内では全60市町村のうちの57市町村でSSWが配置されているが、正規雇用は香春町と須恵町の2町のみ。勤務時間も異なり、1週間で計4時間しか配置されない自治体も。単独では生活できず、複数の自治体を掛け持ちするSSWは少なくない。鹿児島県では、時給約千円、交通費なしで1人3~4校を受け持つ市もある。

 九州のあるSSWは「勤務日数が少ないと、学校に入り込めない。SSWが配置されていること自体、担任教諭が知らず、子どもたちの問題が知らされないケースもある」と打ち明ける。待遇面から長く続けられない人も目立ち、学校側からは「信頼関係を築きにくい」という声が上がる。

 奥村准教授は「SSWは地域に根ざし、継続的に支援活動を続けることが望ましく、雇用の安定が必須。国は人数を増やすのと同時に、労働環境の改善も議論すべきだ」と話している。

=2017/12/28付 西日本新聞朝刊=

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