JR博多駅の地下街で、案内図を前に表示の改善点を検討する九州大大学院生たち
▼まるで迷路
今月下旬、九州大大学院生の小野拓馬(24)らは、JR博多駅(福岡市博多区)の地下街を歩いて感想を語り合った。
「階段がどの地上出口につながっているのか分からないね」「現在位置もつかみにくいよ」
昨年、小野が専攻する都市共生デザインの授業で、再開発が進む「博多駅地区」が研究テーマに取り上げられた。小野の班が選んだのは、日ごろから「使い勝手が悪い」と感じていた地下街だ。
現在9カ所に分散する同駅の地下街は、1963年の駅開業時から約20年かけて、徐々に広がっていった。計画性や一体性に欠け、通路などの構造は複雑だ。歩きにくい理由はほかにもある。地下街の全体図や案内板が見当たらないのだ。
「今の地下街はまるで迷路。もっと使いやすくする必要がある」‐小野たちは授業の中で、店舗を「飲食」「お土産」など業種ごとに色分けした地下街全図を作成した。今後、ぜひ活用してほしいと提案している。
▼観光の拠点
2005年に博多港と福岡空港から入国した外国人は約50万人。円安などの影響で近年、福岡市を訪れる外国人観光客は増える傾向にある。
同市に留学した経験を持つ韓国・釜山市の国際会議場職員崔宰源(チェジェウォン)(33)は年に数回、旅行で福岡を訪れる。宿泊はもっぱら博多駅周辺のホテル。「電車や地下鉄、バスにすぐに乗れて、どこに行くにも便利」だからだ。
だが、オフィスビルが立ち並ぶ駅地区は「筑紫口も博多口の風景も同じに見える」。日本らしさ、福岡らしさが味わえる観光スポットが周辺に乏しいのも寂しい。
「貸し自転車制度があれば、博多の寺社町やキャナルシティ博多を観光客が楽に巡ることができる」「博多駅近くに、海に開かれた博多の歴史を紹介する体験型施設があったらいい」。海を越えて足しげく通ってくる崔のアイデアは尽きない。
▼関心持とう
「駅があるだけの通過点」「ごちゃごちゃしていて疲れる」‐。女性向け情報紙を発行する西日本リビング新聞社(福岡市)が実施した読者アンケートは、博多駅地区の現状に対する厳しい評価を浮かび上がらせた。
「人をひきつける街の薫りのようなものが欠けている」。通勤で博多駅を利用している同新聞社のリビング福岡統括編集長帆足リエ(46)も、不満を持つ1人だ。
ただ、希望の光も見えた。回答者の多くは、駅地区のまちづくりが歴史や寺町など「博多らしさ」を生かすことを求めている。九州1の繁華街・天神とは別の魅力を期待されているのだ。「博多駅地区は国際都市・福岡の玄関口。私たち生活者が、もっと関心を強めていかなければ」
帆足は、パネリストの1人として出席する「博多駅地区まちづくりシンポ‐ときめきの街を求めて」(30日、福岡市博多区博多駅前のホテル日航福岡)を、多様な声を吸い上げる利用者本位の街をつくるきっかけにしたいと考えている。
(文中敬称略、この連載は経済部・竹次稔、博多まちなか支局・野村創が担当しました)
▼JR博多駅一帯の再開発構想 再開発構想を検討してきた民間主導の博多駅地区まちづくり研究会(座長・樗木武九州大名誉教授)は、2006年3月の報告書で目標を「九州・アジアの玄関口として業務・商業の核となり、人が真ん中にいるまち」に設定。地区を7区域に分け、大規模都市広場の設置や、車両の通行を制限する「セミトランジットモール」導入などを提唱している。
=2007/05/29付 西日本新聞朝刊=