西日本新聞

博多千年の都市フォーラム

「共働」の街へ 博多駅地区を考える
<上>賑わいと文化 「物語」が人をつなぐ

写真

街のにぎわいや文化について論議したワークショップ

 新しい「九州の玄関口」はどうあるべきか-。2011年春の九州新幹線全線開通をにらみ、博多駅地区の将来像を考える「博多まちづくりワークショップ(体験型講座)」(計3回)が、9月下旬から10月上旬にかけて開かれた。駅周辺の企業や住民団体、西日本新聞社などでつくる「博多千年の都市(まち)フォーラム」の主催。住む人、働く人、訪れる人による「共働」のまちづくりを論議したワークショップを3回に分けて紹介する。

 ■ファンを増やせ

 第1回の主題は「賑(にぎ)わいと文化」。冒頭、劇団「ギンギラ太陽’S」を主宰し、福岡の商業史などを題材とした演劇に取り組む役者の大塚ムネトさんが講演した。

 大塚さんは自身の体験を基に「芝居で大切なのは期待を裏切らず、ファンをつくり、リピーターを増やすこと。まちづくりにも同じことが言える」と持論を紹介。オフィスビルが集積する博多駅地区の現状について「普段から通勤や通学などでかかわっている人が、本当に博多のファンになっているのかなと思う」「地域のイメージがぼんやりしていて、芝居になりにくい」と話した。

 その上で「博多にいる人たちが街を好きになれば、自然と博多の宣伝マンになり、ほかの人を連れてくるようになる」と指摘。魅力づくりのため、大通りに「凱旋(がいせん)門」を建設し、沿道のビルの1階にカフェや免税店を並べる「博多パリ化計画」のアイデアを披露した。

 ■ブランド力存在

 「『博多』という言葉の響きだけでわくわくする。それは博多ブランドという絶対的な力の存在があるからだ」と話したのは、次に講師を務めた旅行情報誌の元編集長で大分県日田市観光協会事務局長の佐藤真一さん。大陸との交流で培われた伝統や文化が残る博多の潜在力を高く評価する佐藤さんは、今後の課題に「博多に期待されている地域資源が何かを明確にし、その地域資源を活用する行動ソフトを開発すること」を挙げた。

 街歩きイベントの参加者に「期待する地域資源」をアンケートしたところ「神社・仏閣」や「隠れた歴史」の回答が多かった事例も報告。「歴史や伝統に裏打ちされた文化的なエンターテインメントを提供できれば、非常に強い資源となる」と強調した。

 ■人との交わりを

 講師の2人は共に、街と人をつなぐ「物語」をつくる必要性を訴えた。大塚さんは「普段、博多にいる人と街の間に物語をつくれば、街とかかわりを持つきっかけになる」。佐藤さんは、全国で街歩きがブームになっているとし「博多には歩いて楽しめる要素がたくさんある。(街歩きイベントを企画し)物語化することで、街が分かりやすくなる」と述べた。

 「際」「賑」「趣」「祭」…。ワークショップの参加者は、博多の「物語」をつくる上で手掛かりとなるキーワードを考え、それぞれ漢字一文字で表現した。大塚さんは人や電車が行き交う駅の特性から「交」、佐藤さんは博多の自治の歴史を踏まえ、自主性を意味する「自」と書いた。

 討論の進行役を務めた加留部貴行・九州大学特任准教授は「これまでのまちづくりは『物づくり』が中心だったが、これからは『物語づくり』が重要になる。多くの人と交わり語り合って、自分の考えにつなげてほしい」と総括した。

=2007/10/18付 西日本新聞朝刊=



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