楽しみながら福岡市・天神地区の清掃に取り組むグリーンバード福岡の若者たち
月曜日の早朝、人影もまばらなビルの谷間や公園で、若い男女がごみを拾っていた。九州最大の繁華街、福岡市の天神地区。ボランティアで清掃を続ける特定非営利活動法人(NPO法人)「グリーンバード福岡」は、同地区に仕事場がある木下真裕(36)らが「学生時代から自分たちを楽しませてくれている街に恩返しをしたい」と2003年に結成した。
百貨店や商業ビル、オフィスビルが集積する天神は、九州一円から若者を引き寄せている。しかし、人が集まるにつれ、ごみのポイ捨てや迷惑駐車などモラルの低下も目立ってきた。「清掃活動をすれば、街を汚さなくなる」。木下らは若者が街と向き合うきっかけをつくりたいと考えた。
「楽しむ」をモットーとする活動は学生や働く若者の心をつかみ、会員は1200人を超えた。他のまちづくり団体とイベントも行い、天神の環境美化やイメージアップに一役買っている。
■若者の輪拡大
街に愛着を持つ若者の行動は、徐々に広がっている。今夏、グリーンバード福岡の活動に刺激を受けた長崎、熊本、鹿児島三市で相次ぎグリーンバードが組織された。鹿児島市では、繁華街の天文館地区のまちづくり団体と協力し、集めたごみで気球を制作するイベントも開かれた。
ところが、同じ福岡市の中心街であっても、博多駅地区は天神地区と異なり、若者らが参画する地域活動の動きは鈍い。「街がごちゃごちゃしている」「天神に比べ面白みがない」-。西日本リビング新聞社(福岡市)のアンケートは、福岡都市圏の女性の多くが博多駅地区を「快適で過ごしやすいとは思わない」と指摘した。木下は「博多はオフィス街というイメージが強く、若者が活動する拠点になりにくい」と漏らす。
■地域に根差し
博多駅地区では、代わりに地域特性に根差した新たな動きが起きている。
「3年半後には九州新幹線が全線開通する。博多の寺社町の価値を多くの市民に知ってもらうチャンスだ」。11月5日、博多部(はかたぶ)の寺社や住民有志でつくるNPO法人「博多の歴史と文化の寺社町ネット」の理事会で、理事長の桑野知義(63)が切り出した。
博多駅に近い旧市街地の博多部は、大陸との交流の歴史に由来する古い寺社や町並みが残る。寺社町ネットは、街をまるごと「博多歴史公園」と位置付けて伝統や景観を守り駅と散策路でつなぐ構想を描く。理事会は市民を巻き込んだ勉強会を開き、2年間かけて提言をまとめることを決めた。「博多部を愛する住民やファンは多い。知恵を出し合って、まちづくりを進めたい」。桑野は力を込める。
住む人や働く人が愛する街は、魅力的に輝く。企業や行政、住民らが今年4月に設立した博多駅地区まちづくり推進組織準備会は、半年間の活動を通じて「まず自分たちが地元に愛情を持とう」と意思統一を図った。街への愛着を求心力に、いま「共働」が始まる。
(文中敬称略)
(この連載は経済部・西山忠宏、博多まちなか支局・野村創が担当しました)
●メモ
▼九州新幹線沿線都市の人口 九州新幹線は九州最大の都市・福岡市(人口約142万7千人)、第3の都市・熊本市(約67万人)、第4の都市・鹿児島市(約60万5千人)を結ぶ。山陽新幹線との相互乗り入れで、北九州市(約98万7千人)を含め、人口規模で4番目の都市までが1本の新幹線でつながれる。人口はいずれも10月1日現在の推計。
=2007/11/07付 西日本新聞朝刊=