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山笠ニュース

赤手拭(てのごい)動く 博多祇園山笠<10完>三番棒 4代目の心意気

2009年07月01日 18:15
金屋小路の詰め所にそろった、山田哲夫さん(中央)、靖人さん(左)、翔二さん
金屋小路の詰め所にそろった、山田哲夫さん(中央)、靖人さん(左)、翔二さん
 「オギャー」。1985年秋、力強い産声に一家は喜びに包まれた。父親の山田靖人(55)=福岡市博多区上呉服町=は、産院のガラス越しに見た赤ん坊の姿が、まぶたの裏に焼きついている。

 「男やないと山笠は舁(か)けん。女房のプレッシャーは大変だったと思うとりますが、後継者が生まれてよかった」

 世の中にたくましく飛翔(しょう)することへの願いと長女に続く第2子だったため、翔二と名付けられた。半年後、祖父哲夫(85)が東流総務を務めた年、翔二は父に抱かれて山笠に出た。

 中学生から若手として参加し、22歳になった昨年、金屋小路の赤手拭(てのごい)に上がった。曾祖父から数えて赤手拭は4代目。周囲から推され、20―30代の候補約30人の中から最年少で抜てきを受けた。

 幼稚園のころ、母幸子(54)の手作りの長法被が気に入り、法被姿で父を追いかけた。やがて、父や町の先輩たちが清掃活動を積極的にこなす姿が目に入った。「山笠の時期だけでなく一年中、町内の行事をこなさんと山笠は動かせん」と気付いた。福岡沖地震で壊れた町内の家の修理や片付けに精を出し、周囲に認められる存在に成長した。

 地域や祭りへの貢献は祖父や父から自然と受け継いだ。自動車整備・販売業を営む一家は、祖父母や両親、姉ら7人が一つ屋根の下に暮らす。「すぐ山笠の話題になる」と翔二。今も町の顧問を務め、面倒見の良さで知られる哲夫は「4代、赤手拭をさせていただけるのは健康な体とまじめに過ごした証し」と、祭りと町のため真っすぐに生きた人生を振り返る。

 赤手拭2年目、血気盛んな翔二が目指すのは「櫛田入り」で4年連続、三番棒に入ること。祖父や父と同じ位置を舁くことは、山田家の伝統を受け継ぐ意味がある。「櫛田入りに選ばれて、追い山ならし、追い山ともに1番になりたい」。15日早暁、ライトで照らされた光り輝く清道を一気に駆け抜ける。

 (敬称略)

 =おわり

(博多まちなか支局・日高三朗、大坪拓也、渡辺展彬が担当しました)

    ×      ×

 ▼舁き棒 舁き手が担うため舁き山笠に付けられた長さ5・45メートルの棒。6本あり、左右の両端から一番棒、二番棒、三番棒と呼ぶ。外側の一番棒が地面から最も高く、三番棒が最も低い。それぞれの舁き手は身長に合わせて位置が決められる。


=2009/07/01付 西日本新聞朝刊=

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