野村佐紀子写真展 「太陽の汗、月の涙 近藤良平」

2006.12.7(thu) → 2007.1.15(mon) *12/31(sun),1/1(mon)は休館

「太陽の汗、月の涙 近藤良平」

近藤良平と野村佐紀子の結晶世界

近藤良平は、世界を股にかけるダンサー兼振付師兼演出家です。コンテンポラリーダンスというジャンルを凌駕した活動の延長線上には、高齢化や少子化といった社会問題から健康、幸福といった生きるために不可欠なテーマを孕んでいます。舞台だけではなくテレビなどでも多方面にて活躍していますが、自らが主宰を務めるコンドルズも世界に支持され07年1月からワールドツアーへ飛び立ちます。
一方野村佐紀子は、男性裸体を被写体とする女流写真家の旗手です。「裸体」を撮るのではなく、裸体になることで生まれてくる被写体との1対1の確かな関係性を召喚します。モノクロームの写真には被写体の体温と呼吸が焼きつけられ、身体的・精神的性を解放することでそれを越えた生の存在を引き出すことに成功しています。

タイトルの「太陽の汗、月の涙」は、ペルーに栄えたインカ帝国の言葉で金と銀をさすと言われています。海抜4000メートルに位置する密林と砂漠からなる過酷な自然環境のもと、インカやアステカなど黄金郷として知られるその国において、富は労働による自らの汗であり、厳しい自然と共に生きる人々の中に育まれたその心と叡智でした。
現在私たちの国では、生きているということはいつの間にか当たり前の出来事となり、過剰に守られた環境において生きることすら仕事と化してしまいがちです。生きることを生きる近藤と、外側よりも大きな内側をもって被写体を包容する野村。二人の共時性から生まれる脈打つ作品は、生きるということが学び働く戦いであることを物語り、そこには原始的な「生」の存在を確かに感じることができます。

今回、日本各地の遺跡や太古の濃厚な自然などを劇場として、太陽や惑星に近いエネルギーを内包した近藤良平のパフォーマンスを野村佐紀子が多数撮りおろしました。体感時間が加速し、時間という絶対的・普遍的なひとつの物差しさえ失いかけている今、「生きる」という極めて原始的で最も難題なテーマに対する表現者の挑戦である本展に、ぜひお立会いください。

三菱地所アルティアム