記者って、どんな本を読んでるの?

ロゴ 記者って、どんな本を読んでいるのか?エレベータの中とか、ちょっとした時間にも、記者はよく本を読んでいる。取材のために、博識が必要なので、本から知識をつめこんでいるのかな?それにしても、いったい何の本を読んでいるんだろ。

 西日本新聞社メディア部で働く、ある派遣社員からの質問に答えようと、6人の現役記者に、『今読んでいる本は。どんな本?』と調査することにしました。この際、西日本新聞の記者だけでなく、他社の記者にも出場してもらい、読書歴を一覧でご紹介します。隠れ記者の隠れ読書記も存在♪
=「記者どん」企画は終了しました=

読書歴を公開中の記者の皆さん=似顔絵付き=

記者1
毎日新聞
福岡総局社会部

岩松城記者
記者2
(旧)東京支社

酒匂純子記者
記者3
(旧)長崎総局

安武秀明記者
記者4
(旧)本社社会部

横尾誠記者
記者5
(旧)地域報道
センター

永田健記者
記者6
テレビ長崎

橋場紀子記者


記者の最新読書状況=2002/12/30、橋場紀子記者記者が更新!

テレビ長崎報道部/橋場紀子記者【 UpDate:2002/12/30 】→これまでの読書履歴

橋場紀子記者
●「海辺のカフカ」(村上春樹 新潮社)
 話題の本。ある書店では今年一番売れたらしい。読んでいるとふと懐かしい記憶がよ みがえる。高校時代に「ノルウェイの森」にはまった記憶。学校をさぼって、徹夜して 赤と緑のハードカバーを読みふけった(歳がばれてしまいますね)。そのときのはまり 方に比べると、何か違う。
 村上春樹氏は、確かホームページか何かで、「何度読んでもそのたびに違う読み方の できる小説を書きたい」といっている。私はもはや15歳でなく、「家出」ということが できない(一人で住んでいるのでもし家を出れば「失踪」か)。しかも少年ではないの で、そのじりじりとした強さへの憧れや性的な欲求を想像することが難しい。ただ、登 場するひとたちのとてつもなく長い自由な時間をうらやましく、静謐な時間をうらやま しく、言葉は少ないものの確実な関係をうらやましく・・・。何て名前の本だっけ?と いわれるくらい時が経ってもう一度読み返してみると、どう思うのだろうか。

●「冷静と情熱のあいだ」(江國香織・辻仁成 角川書店)
 何を隠そう、とっておきの一冊。江國香織さんが好きなのだ。2年もの間何度も何度 も読み返しているのに、まだ読んでいる。もう活字を目で追わなくても空でいえてしま うんじゃないか、というほど読んでいる。昔の恋人が忘れられず、たわいもない約束を かなえようとする、というストーリー。思わず、考えました。そんな約束してなかった けなぁと。それでもって、あまりにいいというものだから当時つきあっていたひとが読 んでひとこと「で、ぼくと昔の恋人はどっちを選ぶの?」・・・びびりました。だから 、一人でこそっと読んでください。

 いま、とっても欲しい本があるんです。が、おあずけ状態。買えなくもない、のに。 ときどき本屋に寄っては「まだあるー」とひとしきり眺めて、また棚に戻す。もう何か 月も続いています。思い入れがある本、作者だけに、どこかでいいことがあったとき、 もしくは「なにー!!やってられぇん!!」というときに手に入れようと。何でも簡単 に手に入る時代。ぐぐぐぐとがまんするのも(不必要かも知れないけれど)、その分手 に入れたときの楽しみにと喜びにつながるのかな。と、いうわけでその本を手にするの は新しい年になりそうです。いいことがたくさんありますように、来年も。

毎日新聞・福岡総局社会部/岩松城記者【 UpDate:2002/12/16 】→これまでの読書履歴

■「風のかなたのひみつ島」(椎名誠、新潮社)■
記者1  私自身が島で育ったので、離島にはこだわりがあります。かつて椎名さんと博多の飲み屋「やす」で会った時、思わず私の育った甑島への旅を勧めたことがありました(実際に週刊誌の企画で行ってくださったみたいです)。島を旅しながら取材して書くというこんな仕事は幸せだろうな、と思いました。佐賀の加唐島を訪ねる旅では思わずほろり。子供たちの表情がいい。日本が失ってしまったいいものが、都会とは縁のない小さな島々には残っているのかもしれません。

■「忘れられた日本人」(宮本常一、岩波文庫)■
 宮本民俗学の代表作で、東京の岩波書店でも探しましたが、在庫がありませんでした。図書館でこの本にようやく出会えました。古老たちのライフヒストリーでもあるし、強烈なルポルタージュでもあります。古老たちの話をじっくり聞いてそれをつづっていくことで、日本の民俗文化、生活を生き生きと描き出しています。これはおすすめの一冊です。深みのあるルポでした。

■「ニッポン貧困最前線」(久田恵、文春文庫)■
 副題は「ケースワーカーと呼ばれる人々」です。生活保護などを扱う福祉事務所の実態に迫った本です。保護の最前線で働くことの難しさを改めて感じました。2章では北海道の母親餓死事件を取り上げていますが、浅薄な取材で行政=悪者の単純な構図で事件を描いてしまうメディアの問題を提起してちくりと痛みました。3章はここ筑豊の実態です。

■「新聞が衰退するとき」(黒田清、文芸春秋社)■
 読売大阪社会部長時代に数々の企画を手がけた黒田さんの本。「黒田軍団」と呼ばれただけあって示唆に富んだ話がぎっしり。先輩から勧められて図書館から借りてきましたが、新聞記者であることに疲れた時に読むと元気が出ます。記者はどこに視点を置いて仕事をするのか。何のためにこの仕事をするのか。黒田さんが「初心にかえれ」と呼びかけているような気がしました。

読者:高橋さんより【 UpDate:2002/04/03 】

「エアフレーム 機体」(マイケル・クライトン ハヤカワ文庫)
 

わたしは本好きの30代の会社員で、ジャーナリストの方々の読書歴紹介サイトを見つけ、喜んで拝見している者です。こういうサイトが大好きなので、企画して下さった方、そして書いて下さった記者の方々に一言お礼を申し上げたいです。一人ではなく、複数の記者の方々の読書歴なので読み応えがあります。本当にどうもありがとう。

本来ならプライベートな情報であるはずの読書歴を公開してくださっている記者の方々に、余計なおせっかいながら、わたしのお薦め本を伝えたくてこのメールをお送りする次第です。

マイケル・クライトンをご存知でしょうか。そうです、あのジュラシックパークのクライトンです。日頃、生々しい現実に触れていらっしゃる記者の方々には、恐竜の話などばかばかしい、とおっしゃるかもしれません。わたしがお薦めしたいのは、「エアフレーム 機体」(ハヤカワ文庫)という航空機事故をテーマにした小説です。

これは企業小説を装っていますが、実はクライトンは長年温めてきたジャーナリズム批評を書きたくて、この小説を執筆したのだそうです。ストーリーテリングの才能ある著者が、その能力を充分に発揮している、なかなか読み応えのある本です。お忙しいでしょうが、是非ご一読をお薦めいたします。(読者:高橋さんより)

(・▽・)初読者投稿ありがとうございます。記者の方々の励み・参考になればと思い、掲載させて頂きました。(By ページ担当:ヒロ)

テレビ長崎報道部/槌田禎子記者(2002年1月29日更新)→これまでの読書履歴

記者1
逢坂剛の「カプグラの悪夢」(講談社文庫)書
  ご無沙汰続きで済みません。いつもながらの言い訳ですが 決して本を読んでないわけではないのですが・・・ (本を読まないことは罪悪だとインプットされてる?)

久しぶりのこの一冊はうーん逢坂剛の「カプグラの悪夢」 (講談社文庫)
短編5編。巻頭の「カプグラの悪夢」のオチが怖い。人間 不信を増長してくれそうで。 でも逢坂剛が自らをモデルにしているとの解説もある岡 坂神策シリーズは、長編のスペイン物とはまた別の味わ いがあって楽める。「クリヴィツキー症候群」新潮社文庫 も必見!そう言う意味では「宝を探す女」はまた違った趣。

「土木国家の思想」都市叢書
構造的体質をつくその志は十分評価しながら、雲仙が砂 防に救われたと短絡的に理解している身としては「砂防会 館」がかつて自民党最大派閥の領袖の会議の舞台であっ た事をもって砂防・サボウが巻頭でバッサリ斬られている ことに多少ならず違和感を持つ。 読み進むとその大半が都市論もしくは都市形成における 思想or手続き論なのだけれど。 私の認識では、狐や狸(本当に動物の)を相手にしてきた 砂防が、雲仙である意味では初めて人間を相手に仕事を した、と、思ってるのですが・・・。槌田

(;^^)ぃぇぃぇ。本を読まないことが罪悪ではないですよ・・・活字に苦手意識を持っている私が罪に・・・・(笑 しかし槌田さんはこれまた難しい読書を・・・すごぃ。 (By ページ担当:ヒロ)

東京支社/酒匂純子記者(1月17日更新)→これまでの読書履歴

記者2
「海の上のピアニスト」(アレッサンドロ・バリッコ著、草皆伸子訳、白水社、1200円)、「北朝鮮崩壊」(チョン・乙炳《チョン・ウルビョン》著、文春文庫、657円)

◆「海の上のピアニスト」(アレッサンドロ・バリッコ著、草皆伸子訳、白水社、1200円)
 船から一度も降りたことがないピアニスト、ノヴェチェントの伝説を、戯曲でも なく小説でもない形で書いている。彼にとっては船が世界だった。「無限ではない 鍵盤の上で自分の音楽を弾く、それが僕の幸せだった」。88の鍵盤が限りあるか らこそ弾く人間は無限である、と言いたかったのかもしれない。だからこそ、そこ にa宇宙bがあるのだと。イタリア語が読めないのでとても残念だが、翻訳の力が すごいのか、鋭い表現力から生み出された言葉が全身に雨粒のようにふりかかって くる。音楽を表現するのは難しい、と常日頃痛感しているが、この作品では行間か らというより言葉そのものから音楽がきこえてくる。本作が原作となった同名映画 が上映中。映画をみる前にぜひ読んでみてほしい。頭の中で思い描いていた音楽が 、映像に現れた実際の音楽と重なりイメージが広がっていくことだろう。バリッコ 氏はイタリアでは人気のある作家らしいが、日本では数冊しか出版されていなかっ た。この本をきっかけに、彼の作品を読める機会が増えるのをとても楽しみにして いる。

◆「北朝鮮崩壊」(チョン・乙炳《チョン・ウルビョン》著、文春文庫、657円)
 北朝鮮の近未来小説。阡Nに書いているが、金日成が亡くなり経済が破綻、大量 の餓死者が出る、など、大筋で事実が小説を追っている。小説では、強攻策を打ち 出した金正日に対してクーデターが起こり平和的に統一が進む、という設定だが、 どうなるか。筋は別としても、北朝鮮とその周辺の政治、社会状況の細部が書き込 まれており、非常に興味深い。著者は韓国小説家協会の会長。主人公の周辺に登場 し、歯に衣着せぬ主張を繰り返す小説家、チョン・相烈は彼のことなのだろう。  

長崎総局/安武秀明記者(2月13日更新)→これまでの読書履歴

安武記者
「聖水」(青来有一著、文芸春秋)

 純文学を対象とする芥川賞の受賞作は、ふだんあまり読まないのだが、今回は村上龍以来の長崎県出身者である青来さんの受賞。これは読まない手はないでしょう。単行本発売(まもなく)を前に某記者が探してきた純文学雑誌「文学界」の洛詩(だったと思う)をとりあげて、一夜で読破しました。これまで芥川賞に何度もノミネートされながら、賞を逃してきた青来さん。今回は編集者のアドバイスを大いに受け入れて、長崎という土地の記憶をこれでもかと作品にちりばめたそうです。

 簡単に言うと、長崎らしさ。東京在住の審査員の先生方のいうローカル色を強めたのです。長崎に来て1年半の私にとっては、小説に出てくる地名もほぼ理解できて、四国(私が日本で唯一、足を踏み入れてない地域)かどこかを舞台にしたものよりはずっとすんなり頭に入ったし、読みながら「ああ、あのへんね」と、だいたいの情景が頭に浮かぶのがなんとも気持ちよかった。隠れキリシタンには、以前から興味があったが、エピソードとして出てくる「ウノスケ縛り」は強烈に頭にこびりついた。想像しただけで苦しくなるような体位ではないか。拷問に使われた縛りだというから、当然とはいえ、いやはやこういう縛られ方だけはされたくない(もちろん、どんな形でも縛られるのはいやだけど)。

でも、この「ウノスケ縛り」という言葉はなかなか、妙な迫力というか、不気味さとういか、そういったものが漂っていて、すっかり気に入ってしまった。気に入ると使ってみたくなるのが性分で、「おい、何だよ、この原稿。おまえ、うのすけ縛りにしたろか」などと使って周囲からけげんな顔をされ、それを見て一人悦に入っている今日このごろなのである。ところで青来さんは私と同い年。ペンネームの由来が「セーラームーン」からきているときいて、そのおちゃめぶりが結構いいんじゃないと、より親近感を抱くようになったのでした。

本社社会部/横尾誠記者(3月27日更新)→これまでの読書履歴

記者1
「砂の女」「人間そっくり」「R62号の発明・鉛の卵」(安部公房)

   久しぶりに小説を読む気になり、この土日、いずれも夕方に起きて朝方寝るという生活をしながら読了。奥付を見れば、中学生時代の購入本。改めて私にとっての公房はSFだと知る。文中、表現の細部に繊細な心配りを感じ入る。なお映画(ビデオだが)もひさびさに「フルメタルジャケット」「アンダーグラウンド」。「フルメタル」は敬愛するスタンリー・キューブリック監督。何度も見たくなる映画ってやつですな。ベトナム戦争を舞台に、普通の人間を殺人マシンに改造する前編がやはり秀逸。後編はやはりパンチ不足。

でも満足。 一方「アングラ」は前から気になっていながら見ていなかった作品。こういうのありますよな。武器商人に騙され、第二次大戦下のベオグラード地下に潜伏し武器を作り続けるクロ一味。終りなき戦争を信じる彼らが地上に戻った時、祖国ユーゴスラビアは失われていて…見て損はない作品なれど、ユーゴの悲劇を己の手触りとして感じてることのできない日本人の私。やや理解不足なのでしょう。 以上復活の男。

地域報道センター/永田 健記者(1月9日更新)→これまでの読書履歴

記者1
「道頓堀の雨に別れて以来なり」(田辺聖子・中公文庫全3巻)、「チェ・ゲバラ モーターサイクル南米旅行日記」(現代企画室)

   永田です。このページの読者の皆さん、あけましておめでとうございます。21世紀初の更新をいたします。

 「道頓堀の雨に別れて以来なり」(田辺聖子・中公文庫全3巻)

 川柳作家・岸本水府とその時代、という副題がついている。田辺聖子さんによる、大阪の川柳作家の評伝。この本で初めて「反戦川柳」というジャンル(ともいうべきもの)があることを知った。「旗立てることが日本に多くなり」(鶴彬)。一方、表題作が象徴するような上方風情緒の世界もなかなかよい。それにしても文庫で上中下3巻、合計1600ページに及ぶこの本を、私はほとんど通勤電車の中だけで読んだ。(しかも帰りだけ。行きは朝刊を読みので)。恐るべし、通勤。ところで、長い本を読み通すこつについては、11月21日付け西日本新聞「天神バナナ」面に掲載の「大河小説沈没記」を参照されたし。

 「チェ・ゲバラ モーターサイクル南米旅行日記」(現代企画室)

 キューバ革命の立て役者のゲバラが、23−24歳の医学生時代、故郷のアルゼンチン(ゲバラはアルゼンチン人)からチリ、ペルー、コロンビアなどをモーター付き自転車で無銭旅行した際の日記。無理に後年の革命家の萌芽を読みとろうとするより、楽天的な青年の放浪記として読んだ方が面白い。私は実は「放浪文学」とも呼ぶべきものが好きで、ジョージ・オーウェル、ジャック・ロンドン、ブコウスキーなどのそれを読んでいる。毎日ネクタイをして家を出る勤め人は、「どこへ出発してもよい」「いつ出発してもよい」という状況に、単純にあこがれてしまうのである。

 というわけで、今年もよろしく。


天神プリンセスのトップページ
これまでの出場者=所属は出場当時=
記者3
地域報道部

重村誠志記者
記者2
都市圏情報部

佐藤倫子記者
記者5
東京外報部

国分健史記者
記者3
本社文化部
簑原亜佐美記者
記者6
テレビ長崎

槌田禎子記者