横尾記者の読書歴 |
もとい…澁澤龍彦である。この人ほど多彩な顔を持った人も珍しい。サド侯爵をはじめとするフランス異端文学の紹介者にして翻訳家。魔術・悪魔学の権威者であり、晩年は幻想文学の書き手でもあった。その交友関係も親友の三島由紀夫をはじめ、四谷シモン、横尾忠則などなど、各界の異才、お歴歴と、とにかくゴッつかっこいい人なのである。著者近影の写真でサングラスをかけているのがちょっと、ではあるが、同様のスタイルで写真におさまるので有名なあるジャーナリストのおっさんが私全く肌が合わないのに比べ、グラサン組でも澁澤は許す。いや積極的に認めたい、というぐらいのもんである。で「秘密結社の手帖」はといえば、著者があとがきで触れているように「秘密結社についての本格的な研究書が、日本ではほとんど出ていないので、例のごとく蛮勇をふるって一気に書いた…」という一冊。グノーシス派、薔薇十字団、フリーメーソンなどなど、秘密結社の系譜を語るその博覧強記、流麗な文章は「知的好奇心が満たされる」というよりはやはり「かっちょいいー」の仲間。俗に手帖3部作といわれる残り「黒魔術の…」「毒薬の…」もおすすめ。最近ここの読書録をみたわがS支局のK田記者から「それにしても延々とあいも変わらずエロばっかり読んでますねぇ」などと言われたもんだから、今回はまじめに書いたぞ。K田貸した金返せよ!何借りてない?そうか。ほんなら今日はこれくらいにしといたろ。
「風俗の人たち」(永沢光雄著・筑摩書房) 「横尾さん、ほらあの『AV女優』を書いた永沢光雄の『風俗の人たち』 って本がいいですよ」。昨年まで同じ社会部にいて、今はT豊総局にいる A塚記者(女性)からそう教えられたのは結構前のことだった。読もう読 もうと思いつつ、肝心の題名を忘れ困っていたら、今度は友人でA新聞に いるM記者(ちなみに男性)が偶然「貸したげる」と持ってきてくれた。 類は友を呼び、エロスはエロエロ人間のネットワークを築く。というわけ でこの本、中身は女装プレイ、ホストクラブ、個室割烹などなど性風俗に まつわるルポ。厚い本だが読了はあっという間。乾いた筆致は賛否両論か 。ところで著者の永沢氏は30歳でフリーになったそうだが、前出のM記 者も実は今春A新聞を退社した。私もうすぐ31歳。考えさせられること が多い今年の春である。
その他 ▽「郵便局のゆくえ」(別冊宝島) 全国的に相次ぐ郵便局強盗。調 べてみるとそのほぼ全てが「特定郵便局」。とまあそんな取材にからんで 買った一冊。▽「対話 快楽の技術」(伏見憲明、斉藤綾子・ 河出文庫) 新刊で出たときに買おうかどうか迷った本。文庫化さ れたので購入。中身は今となってはさほどのインパクトはない。が、斉藤 綾子。性を語る言葉の「ナマっぽさ」にはやはりうならされる。きっと、 いい女なんだろうなぁ。バイセクシャルらしいけど。
▽「知らないと危ない『犯罪捜査と裁判』基礎知識」(河上和雄著・講談 社文庫) 毎日の岩松さんも書いていた。よくできた本。
▽「ロストワールド」(手塚治虫・角川文庫) 漫画史上に名高い名 作。最初の試作は手塚が中学生のころ。その冒頭には「これは漫画に非ず 、小説にも非ず。」とわざわざことわってあったそうだ。
本書は、マルキドサドやカサノバら快楽追求界の巨人達の軌跡と、快楽主 義についての澁澤の自説を述べたもの。かなり昔の文章だが、今もその鋭 い指摘は魅力を失ってはいない。オレは守りに入っていないか、と改めて 考えさせられるのである。
「秘太刀馬の骨」(藤沢周平、文春文庫) 著者の藤沢周平は、前任の長崎を去る直前、いきつけの飲み屋のママさん から十冊ほどの文庫本を餞別としてもらい、初めて出会った作家。一読、 それまで「おっさんの読み物」とみなして「時代小説」を敬遠していた自 らの誤りに気付かされる。その作風は、英雄的人物の成功ではなく、市井 に生きる庶民を、上士ではなく下級武士の哀歓を。その点で司馬遼太郎と は好対照という気がしますね。今はぞっこん。相変わらず本の紹介にはな ってないが、まだお読みでない方はドラマ化もされた「用心棒日月抄」( 新潮文庫だったかな)から、ぜひ。
「宇宙の戦士」(ロバート・A・ハインライン著、早川文庫) ポールバーホーベン監督(結構好きな監督の一人)がこの本を元に映画「スターシップ・トゥルーパーズ」(原題通り)を制作、現在公開中、ということで久しぶりの再読。映画の予告なんかからすると、宇宙を舞台にした冒険活劇、といった感じだが、少なくとも原作に関していえばこれは全くの誤り。この本はハインライン先生の道徳教育書で、少年が軍隊に入り一個の人間として成長していく過程を追った書である。「暴力は歴史上、ほかの何よりもまして、より多くの事件を解決している。その反対意見は希望的観測に過ぎぬ。この事実を忘れた種族は、その人命と自由という高価な代償を払わされてきた」……保守反動的思想を持ったSF作家として知られるハインラインの主張ばりばり。初心者の方は名著「夏への扉」(この小説をモチーフにした同名の曲が山下達郎にあります)をすすめます。
「最後の将軍」(司馬遼太郎、文春文庫) 寝る前に必ず本を読むという私の習慣を知っている母が、実家に帰った際「NHKの今の大河ドラマ慶喜の原作よ」とうれしげに持ってきた一冊。特に言うことなし。
「夏の闇」(開高健、新潮文庫) ナイトキャップとして。
「性人伝」(いその・えいたろう、徳間文庫) 「てかけ(妾)13人半のa女極道b黒田政治」「おとこ一筋のはみだし男色人生 永登元次郎」などなど性の巨人たちの聞き書き。再読。
「昭和・平成 家庭史年表1926ー1995」(家庭総合研究会編、河出書房新社) 昭和という激動の時代を年表形式で記した本は数あれど、これは政治、経済、というありがちなマクロな視点でなく、「家庭」という視点から歴史を読み解く珍しい本。編者は「歴史は日常の蓄積であり、その日常は家庭を基軸にして回転している。とすれば、家庭という視点を抜きにしては生きた歴史は語れないのではないか」と語る。定価税抜き4900円。高い。実に高い。しかも平成2年の初版の内容に、戦後50年の節目を含む平成分を増補した改訂版なのである。が、実はこの初版本を前任地の長崎時代の先輩が持っていて、その内容のよさに「くださいくれませんかちょうだい」と言い続けていたにもかかわらずその先輩がくれず(当たり前か)、しかも書店でも見かけることがなかったせいで、このたび丸善で発見した時には思わず速攻レジまで走ってました。「昭和22年 都庁が職場結婚を公認、祝儀も6000円」「昭和37年 完全週休2日制が下関の町工場から始まる」「昭和44年 ナマ肉ブームで馬さし・鶏さし・牛さしも」……見てるだけで勉強になります。
「深夜プラス1」(ギャビン・ライアル、早川ミステリ)
何度めかの再読。かつてレジスタンスの闘士だった主人公はある人物をパリからリヒテンシュタインまで護送する役目を請け負う。タイムリミットは午前零時。相棒はアル中のガンマン。追いすがる暗殺者は業界では彼らのさらに上を行くプロフェッショナル達。やがてこの深夜行をめぐる秘密が解き明かされて……といった内容。味わい深いエンタテインメントの名作。しかも主人公が駆るのはシトロエンDS。私元々シトロエンが好きだった(かつて乗っていたこともある)もんで、よけいによろしい。
「実録『仁義なき戦い』戦場の主役たち」(洋泉社MOOK)
戦後やくざ抗争史上最大の広島抗争を元にした映画「仁義なき戦い」。その第1作上映から25年ということで、本屋にいくとあやかり本が結構置いてある。この本は、映画の原作となった飯干晃一の小説「仁義なき戦い」の視点とあわせて、当時抗争の渦中にあった人の新証言、日記を元に事件を再検証しようという本。映画の登場人物の本物と、それを演じた役者の写真がならべてあったりして、映画、小説ともに大好きな私にはよい。資料価値もある。
追伸1
ところで「不夜城」の作中、主人公がねぐらにしている店の奥にある小部屋を語るくだりで、私の好きなミステリー作家ジェイムズ・クラムリーの「酔いどれの誇り」(早川ミステリ)からと思われる引用 部分があったので、ちょっと調べてみると、この馳星周。冒険小説に造けいが深く書評家としても有名な内藤陳経営の酒場「深夜+1」で昔バイトをしていたらしい。ちょうど私「深夜プラス1」を読んだばかりだったので妙な縁を感じる。
追伸2
最近ちょっと手元に未読の本がありすぎる。今も、70年代からの朝鮮現代史を描いた「二つのコリア」(ドン・オーバー・ドーファー、共同通信社)を買い、M社の友人からは話題の「三本の矢」(まずは上のみ)を借りてしまっている。が、最近、ここに書いてる原稿量の方が本業を完全に上回っているような気がするし、どうも気のせいではなさそうなので、職業人としての自覚を取り戻さなくてはならぬ。しばらく本業に精を出そう(クビになる)
「オンナたちの『体験取材』」(双葉社好奇心ブック) 舌の根も乾かぬうちに、またもや猥本(バカ本)です。あいもかわらず。男ならよくある風俗レポートものを女性ライターにやってもらおうじゃないの…という一冊。「テレクラ男を片っ端から引っ張り出す」だの「横浜『カップル喫茶』で見たコトやったコト」だの「誰が考え出したのこんなすごいテクニック『講習』を受けて初めて知ったソープ嬢の真実」だのといった気持ち良さソーな企画てんこ盛りで、面白いです。すいません。慾を言えば、女性ライターの顔写真入りだといいのに、という個人的感想もあります。すいません。
「ウラ東京観光」(別冊宝島) 東京に行く機会があったので、なにかないかしら、という思い付きで買った本。役立たず。
「三本の矢」(上) 前回告知した借りた本。話題作で、各所で書評は出ているので、特に説明はなし。ストーリー自体はなかなか面白いし、官僚の世界の内幕をリアルに描くという意味では(私は知らないが)よくできているんでしょう。ただ、あんまり好きになれませんでした。書き手の鼻持ちならない感じが漂ってます。過剰反応かもしれませんが、これは直感だからしょうがない。そういうもんです。
「大衆食堂の人々」(呉智英) この本かなり前に買ったんです。で、私、実は恐ろしいことに気付いたんです。とにかく中身をほとんど覚えていないんです(以上、川上宗薫風に)。つまりこれは、本を読んでも私の頭には何も残っていない。私の場合の「読書」は実は瞬間的快楽に過ぎないのではないか、という恐ろしい仮定につながります。おおこわ。タイトルの柔らかさに比して、中身は結構ちゃんとした評論。ダダ漏れの脳みそを両手で押さえながら、本日も終了。
「トラブルバスター」(景山民雄著、たぶん角川文庫)
先日、kazu三浦氏の歴史的な無罪判決を聞いた時、私の脳裏にひらめいたのは、判決の重さとはまるで逆ベクトルにる「フルハム三浦」の名前だった。かつて放送していたフジの「おれたちひょうきん族」。「フルハム」はその番組の中で、景山民雄が名乗っていたリングネームなのである。芸能人がまじめにプロレスをやるというくだらないコーナーで、景山は当時はkazu三浦氏のものまねをする出たがり構成作家としてリングにあがった。確かまじでわざをかけられ、肋骨を折った。至極感心した(もしかしたらそれは紳介だったか)。で、ちょっと古いが景山本。フルハム三浦よ永遠に、というひとりよがりの思いと共に。
「カフカのかなたへ」(池内紀著、講談社学術文庫)
学生時代に、全集を図書館で読破しようとして(予想通り)見事失敗した、というほど思い入れがある作家なのである、私にとってカフカは。だって書簡集ばかりなんだもの。で、この本の中身は素人にも読みやすい随筆風のスタイルをとったカフカ研究といった感。たまにはすぐに読み切ってしまわないようなまともな本を読まねばと思い購入。予想通りなかなか読み切らず。自らの眼力のすごさを改めて認識する。実に後ろ向きな特殊技能。ところで俺は変態ではないぞ佐藤。だけどくれるというものは全部もらうぞ槌田女史。
私もかつて「オカマの東郷健」とか、選挙公報は面白がってみてたくちですが、大川の「政治おたく」ぶりは徹底してます。たかがお笑いとなめてはいけません。結構鋭い指摘もそこかしこに。元々は「政治家プロファイリング」という題名で出すはずの本が、新井氏の事件で、こんなキャッチーな題名になってしまったよう。いいです。「科学捜査の現場」はこれ全編、陰毛の話です。あまり夏向きではないですな。著者は元警察庁の科学警察研究所室長。毛髪鑑定のエキスパートがとにかく毛について語ってます。軽い読み物で飲み屋での話のネタにはなります。原題は「マリリンの毛はなぜちぢれていたか」だそうで、こちらの方がしゃれてましたな。ちなみに陰毛は毎日0・2ー0・3ミリ伸びるけれど10ミリ以上あるのはまれで珍品とされるらしいです。皆さん、うつむいてみてください。
「犯罪小説集」は、たまにはこういった本も読むか、といった程度の本。「愛の試み」は福永先生が愛について語った本。愛について考えてます、私。(そうくるか、おい)
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「幼年期の終り」・・・・・ある日、宇宙船群が現れ、地球の空を覆う。地球に降り立った、高度な文明を持った異星人。彼らの真の的は、そして人類の運命は…… まさに人類の「幼年期の終わり」というべき怒涛の結末。圧倒的スケールと漂う詩情。クラークといえば「2001年宇宙の旅」。しかしこちらが最高傑作との声も根強い。数年ごとに読み返してます。うーん名作。
「照柿」・・・・私にとっては、ようやく高村薫の真髄に触れたかなという感じの一作。ストーリーを破壊しかねないきわどさで、ほとんど描写だけが「暴走」してます。私の嫁はんの言葉を借りれば「太陽がいかに黄色かったかを、延々としかも濃密に書いた作品」。すごい本ですな。
・・・・・・・祝「極私的なストレス発散の場」復活・・・・・・・
「裏モノの本3」……特集は「サルでもわかるカード詐欺」。「10分で2万8000円!原発の超危険ゾーンで働く」「日本海N港でロシア女性が五千円で売春している」「新薬実験モニターで暮らす方法教えます」などの体験ルポ満載。面白い。しかしこの三才ムック。いつもこんなくだらない本を出している。なんとも好ましい出版社である。
「ナイトドッグズ」(?、ハヤカワ文庫?)、今本屋で平積みされている。解説を書いていたのが、私の好きなジェイムズ・クラムリー。しかも、べた賞めしていたのでついつい購入。前回紹介した駄作「Cの福音」とは違ってこちらは期待通りの力作。主人公はまたもやベトナム帰りのロス市警パトロール警官。しかも元グリーンベレー。この設定だけを聞くとかなり荒唐無稽な感じがするが、中身は極めて渋めでリアル。重大事件を中心にすえた物語展開ではない、というよりもパトロール警官の日常が、延々と続くのだが、これが読みつかせる。おすすめ。
「笑う山崎」(花村萬月)は気になっていたのだが、読む機会がなかった作家。この本でようやくお近付きに。読むにつれ故神代辰巳監督で映画化もされた北方謙三「棒の哀しみ」(かなり好きな小説)を思い出す。全体としては面白く、実は夜中に一気読みしてしまったのだが、なんとなく、作家に対する評価は保留したくなる感じ。もうちょっと読んでみよう。斉藤先生の「愛より速く」は文庫化されたから手に入れておくか、といった購入理由。再読。エッチですな。
「探偵物語」(小鷹信光) 松田優作演じる私立探偵工藤俊作を主人公とするテレビシリーズの原作。この本前から読みたかったんですが絶版状態で、今回ようやく幻冬社が版権を取って文庫で復活させてくれました。著者の小鷹氏はジェイムズ・クラムリーやハメットなどの著作の翻訳でも知られる人ですが、実はこの本、期待はずれ。あんまりおすすめできません。解説にも書いてましたがドラマの原作というよりは原案てな感じです。ただ、かつて工藤俊作がこのドラマの中でしょっちゅう飲んでいるシェリー酒「ティオペペ」を金もないのに箱ごと購入、眉間に縦皺をよせて飲み続け泥酔してみたり、松田優作の逝去を知り「ついに昭和は終った」とひとちごちて周囲の失笑をかったことのある私の場合、ただ所有すること自体に意味があるのです。
今回はその他「CURE」(著者は忘れた。県警の記者室に置いてあったので拝借。面白くなかった) 「用心棒日月抄」「孤剣」「刺客」 (以前にも書いたことがある藤沢周平の用心棒シリーズ。何度読んでも面白い)などを読みましたが、中身を報告するほどでもありませんでした。これにて終了。
「金融法廷」(岩田規久男著、日本経済新聞社)
住専の不良債権処理問題、三洋証券や山一証券の大型金融破綻事件などを元に、日本経済に深刻な事態を招いた責任は誰にあるのかを裁判形式で明らかにしようとする本。この手の話はなかなかまとめて読んだり考えをまとめたりする機会がないので、と思い立って買ってみた。平明な文章、わかりやすいつくりで役に立つことは多かったが、まあ単行本で買うほどでもなかったなあという感じ。かといって文庫本になる時には内容が古びてしまっとるのでしょうが。暇があれば図書館でどうぞという一冊。
「断層海流」(梁石日著、幻冬舎文庫)
幻冬舎文庫のヤン・ソギルもの4作目。単行本は93年刊行なのでちょい昔の作品。著者の「夜を賭けて」なんかでも感じるのですが、話の筋はこの作品でもやたらと飛びます。中身はダンサーを夢見て日本に来たふぃりぴーなの話と、在日韓国人家族の崩壊のストーリー。それぞれ別々に展開していくこの2つの話しは最後までつながりません。文庫版のカバーには「山本周五郎賞作家の初期傑作」とありますが、傑作はさすがに言い過ぎ。でもあいかわらず筆力というか迫力で読ませます。ヤンソギル、恐るべし。佳作。
「ニューロマンサー」(ウイリアム・ギブソン著、早川SF)
最近では、あの警察庁すら「サイバーポリス」なんて言葉を使っちゃってますが、電脳空間と訳される「サイバースペース」という言葉はこの人が作ったといわれてます。そういえばこの前自分の原稿にこの言葉を使ってみたのですが、デスク段階であっさり削られてしまいました。広辞苑に載る日もいつか来るのか来ないのか。何度も読み直しているSFの名作です。
「プロレスラー驚異の肉体」(富家孝著、法研)
著者は、アントニオ猪木率いる「新日本プロレス」のリングドクターにして、病院経営に失敗した経験をもとに倒産評論家と名乗ってもいるというヘンなおじさん。「シンやブッチャーはなぜ流血しても平気なのか」「ストロングスタイルのレスラーはなぜ黒いタイツをはく?」などなど、「で、それが?」というネタを、スポーツ医学の視点から熱心にかたります。誰が買ったかもらったか、社会部にころがっていた一冊。
「黄金を抱いて飛べ」
ほぼ1年ぶりの再読。やはり「照柿」を読んだ後では、味付けが薄すぎて、という感じ。
「スローカーブをもう一球」(山際淳二)
最近はサッカーものなど、スポーツねたの文章にいいのが多いですね。私も昔から文春の「ナンバー」は時折読んでいます。
「これでおあいこ」(ウディ・アレン、河出文庫)
ちょっと前に読んだ「トンデモ一行知識の世界」の本の前書きに、「ウッディアレンの書いた短編小説に、動物病院の待合室で読んだ雑誌に載っていた一行知識の『サンドイッチはサンドイッチ伯爵が発明した』という文章から、むちゃくちゃに想像力をかきたてられ、ついに遭ったこともないサンドイッチ伯爵の一代記を書き上げてしまうという話がある」という一文があり、「あ、これ知ってる。そういやこの本持ってる」と思い書棚を探して見つけました。
「伝説のやくざ ボンノ」(正延哲士著、幻冬舎アウトロー文庫)
「ボンノこと菅谷政雄は、やくざ社会のスーパースターだった。わたしが彼に関心を持ったのは、或る種の悲劇性をもって晩年を終えた人物だからである。グレン隊や博徒で悲劇の生涯を終えた者は多いが、ボンノの悲劇のスケールの大きさはまた格別である」 これ序章の書出し。この本自体は、著者の「最後の博徒」と共に知ってはいたが、この書出しを読んで、私はイカレました。中身もすこぶる上出来。ただのやくざ礼賛には決して終っていません。しかし、筆者は最後をこう結びます「ボンノは、男の華である」。ご同類の方はぜひ。重厚。名作。
「新宿歌舞伎町マフィアの棲む町」(吾妻博勝著、文春文庫)
馳氏の「不夜城」も、この本をネタ元にしたというぐらい。ゆえに、エッセンス自体は、あちこちで引用されているはず。にもかかわらず、この本が描く歌舞伎町のダークサイドの生生しさは今なお、さして色褪せてはいない。筆者は、苦労難渋したその取材過程を結構明らかにしていて、ネタ元をつくる苦労や落としの場面などは、同業の端くれとしても共感というか参考になる部分が多かった。夜中一気読み。
「久住昌之の人生読本」(久住昌之著、角川文庫)
小学校時代からの大の親友の父親が、大阪のミナミの千日前というところにある映画館に勤めていたこともあって私、中学時代、土曜の午後はミナミに出かけ、この親友のタダ券で、しょっちゅう映画を見ていました。「アルタードステイツ」、「トロン」。懐かしいねえと。で、当時、買っていたのが角川書店の「バラエティ」という映画雑誌にして文芸雑誌でありサブカル的味付けもちょいとね、という雑誌。この本は同誌に連載されていたものを文庫本にしたもの。中身は「君は甘いもの屋に入ろうかどうか戸惑ったことはないか!?」「君は彼女との待ち合わせに遅刻して言い訳を考えたことはないか!?」といったおKIRAKUなもの。おそらく絶版。
「大東亜戦争ここに甦る」(小室直樹著、クレスト社)
副題は「戦争と軍隊、そして国運の大研究」。変な人と誤解されがちな小室先生ですが、確かに変な人です
「新・仁義なき戦い」(飯干晃一、角川文庫)
元祖仁義なき、に比べると小粒。奥付けのところに鉛筆で値段が書いてあった。古本のようだ。
ここのところ花村萬月をかため読みしていて、登場人物の設定なり、作者のあとがきなりで、やたらと重複する表現(というか設定かな)が目に付き、ちょっこらメモ書きにしてみました。あまり意味ないですか。その通り。しかし私自身は自らと重なり合う部分も結構あることが分かり自己満足。
追伸(って、本題にまだ入ってないか。えっ長い?。分かりましたもうすぐ終ります)「知的な痴的な教養口座」(開高健)は再読。エッセイなのだが、あるジョークが忘れられず、いい。こんな話。「砂漠で黒人の男が一人、脱水症状で死にかけていた。すると悪魔がドロドロドロリンと姿をあらわしこう言う。『おお死にそうやないか、われ。よっしゃ分かった。かわいそやから死ぬ前におまえの願い、3つだけかなえたろ。特別や。ほれ言うてみい』。男が言う。それならまず水がいっぱいあるとこにいきたい、それと一生に一度だけ、自分も白くなってみたい。あともう一度、たっぷりと、女のあそこがみたい」。すると再びドロリン。男はジョルジュサンク(フランスの高級ホテル)の「ビデ」になっていたとさ。うーんいい話ですね。「少女地獄」(夢野久作)もこの人の割には読みやすいいい本。「破滅」(毎日新聞社会部)は大阪の三菱銀行(だよな?)の梅川事件のノンフィクション。素材を次々と贅沢にそぎ落とし一冊にまとめました、という労作。文庫なのでぜひご一読を。以上。あっもう4時半だ。
でも満足。 一方「アングラ」は前から気になっていながら見ていなかった作品。こういうのありますよな。武器商人に騙され、第二次大戦下のベオグラード地下に潜伏し武器を作り続けるクロ一味。終りなき戦争を信じる彼らが地上に戻った時、祖国ユーゴスラビアは失われていて…見て損はない作品なれど、ユーゴの悲劇を己の手触りとして感じてることのできない日本人の私。やや理解不足なのでしょう。 以上復活の男。