元アビスパMF永井篤志 またJで輝きたい
昨年初め なぞの失そう… 母校・国見校にいた! プロ復帰目指し後輩と汗
「プレーで恩返しを」 寮で生活 昼夜はバイト
 Jリーグ1部の開幕(11日)が迫るなか、“もう一つの開幕”を目指している元Jリーガーがいる。かつてJFL新人王に輝き、「天才」の名をほしいままにしながら昨年初め、突如として音信不通となった元アビスパ福岡のMF永井篤志(25)だ。約1年間のブランク後、永井は今、母校国見高(長崎県国見町)で練習中だ。アルバイトをしながら高校生と寝食をともにし、再びプロのピッチに挑もうとしている。プロチームのテストに受かったとき、永井の第2のサッカー人生が開幕する。

■音信不通1年間
 永井は約1年間、音信不通だった。アビスパ福岡から1998年10月、サンフレッチェ広島に3カ月間の期限付きで移籍したが、99年の年明けから突如として行方をくらました。
 両クラブも家族すらも連絡がとれなかった。家族は思い当たる立ち寄り先などに連絡をとり続けたが、まったく消息はつかめなかった。その間のことを、永井は「転々としてました」としか話さない。サッカー人としての親である母校国見高の小嶺監督にすら聞かれても何も答えないという。

 草サッカーの試合に出ていた、パチンコ屋で見た、福岡の道を一人で歩いていた…。永井の消息を心配するファンは絶えなかった。かつてのチームメートらサッカー仲間に出会うたびに「オレはもうサッカーはやらない」とのかたくなな決意を口にしていたという。

■ファンが励まし
 その永井が昨年11月末に突然、家族が経営する大分市内のスポーツ用品店に現れた。「フラフラしているとき、見ず知らずの人からよく声をかけられた。『サッカー、頑張ってください』って」。そんな励ましが永井のサッカー魂を呼び覚ました。「こんな自分でもまだ気にかけ、期待してくれる人がいた。声をかけられるたびに、それにこたえたいと思うようになってきた」

 Jリーガーに再挑戦するつもりで、今年の年明けに国見高に戻った。イガグリ頭の高校生とともに早朝6時の朝練習から1日3度の練習をがむしゃらにやり、寮に入って寝食をともにしている。昼と夜には近くのうどん屋でアルバイトをし、生活費を稼ぐ毎日だ。

 かつての栄光は、永井の目にはくすんで見える。95年に当時JFLだったアビスパの前身、福岡ブルックス入り。いきなりJFL新人王に輝き、チームをJリーグに押し上げた。「何もかもがバブルという感じだった。なんとなくサッカーをやっている感じ。明確な目標も向上心もなく、今思えば甘すぎた」

 ほしいのは、心の底からの輝き。「プロのチームに入りたい。自分を気にかけてくれるいろんな人にプレーで恩返しをしたい」。近く、プロチームのテストを受けるという。

■パスセンス抜群
 かつて一世を風靡(ふうび)した国見高の“永井3兄弟”の末弟。ラモスは「兄の秀樹(横浜Fマリノス)よりセンスがいい。パスを出す方向が読めない」と語ったという。「今、ミニゲームをやっていてもその片りんはうかがえる」とは小嶺監督。

 抜群のパスセンス、足に吸い付くドリブルは健在だ。プロ在籍中はさぼっていた筋力トレーニングもこなし、筋肉のよろいもまとった。自らの聖地・国見から、永井はもう一度サッカー人生をやり直す。(坂田恵紀)

写真=1年の失そう後、プロテストを受けるため、国見高で練習する永井篤志
 永井篤志(ながい・あつし) 高校で全国制覇/JFL新人王
 1974年12月23日生まれの25歳。鹿児島県出身。国見高時代の92年には全国高校サッカー選手権で優勝。駒沢大を経て95年にアビスパの前身、福岡ブルックスに入団。長兄秀樹(29)=現横浜Fマリノス=とともにプレーし、JFL新人王に輝く。高校時代から“永井3兄弟”として注目されていた。次兄の祐二さん(26)は実家のスポーツ店の店長。176センチ、68キロ。
古巣と対戦か 17日・国見VSアビスパ
 〇…永井が古巣のアビスパ相手にプレーすることになりそうだ。17日午後2時から、福岡市東区の雁の巣球技場で国見とアビスパのサテライトの練習試合が組まれており、小嶺監督も「できれば出場させたい」としている。
2000年3月10日 西日本スポーツ掲載

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