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参入決定戦・意地のひと刺し ファン感涙 市原に0―2 「ミラクル」見せて 3トップは破たん |
最後の望みへ 札幌と対戦 札幌に意地の先勝 札幌に1勝 スタンド総立ち |
●参入決定戦・意地のひと刺し
1998年11月20日付 朝刊
サッカー・J1参入決定戦 アビスパが意地のひと刺し
ロスタイムに山下が同点弾 フェルナンド 劇的Vゴール
【福岡―川崎F】(上)後半終了直前、起死回生のゴールを決め、Vマークの山下(下)前半24分、久藤(右端)がヘッドで合わせ、こぼれたところを同点ゴール アビスパがJ1残留へ望みをつないだ。十九日、博多の森球技場で行われたJリーグの1部(J1)参入決定戦の1回戦で、川崎フロンターレにロスタイムで追いつき、延長戦でVゴールを決めて勝った。負ければ、来季からJリーグ2部のJ2に回ることになる“一発勝負”で見せた底力。ホームアンドアウエーで戦う次のジェフ市原との2回戦に勝てば、J1に参入できる。まず二十二日に同球技場で行われるホームゲームは午後三時にキックオフとなる。
福岡 3(1−1)2 川崎F (1−1) (延 長) (1−0)
時間は、もうわずかしか残っていなかった。負ければ即2部落ちが決まる。1部残留が、風前のともしびとなったロスタイム。そんなアビスパのぎりぎりの窮地を若きストライカーが救った。
左からのセンタリングをゴール前でMF藤本が競り合う。相手DFがクリアしたボールをゴールほぼ中央で待ち構えた山下がゴールへたたきこんだ。チームを2部陥落から救う同点ゴール。瞬間、メーンとバックスタンドを埋めたサポーターから地鳴りのような歓声が沸き起こった。
「ボールが目の前にきた時は意外に冷静だった。キーパーの位置も見えたし…。でも、決まった時には頭が真っ白になった。信じられない。一生忘れられないゴールになるでしょう」と試合後も山下は興奮を抑えられない表情で話した。
意地が生んだゴールでもあった。試合直前にこの日の先発メンバーから外された。「相手の外国人ストッパーが長身で、ヘディングに強いデュカノビッチを使った」と森孝慈監督は説明したものの、「後半は任せるといわれたけど、悔しかった」。
場内アナウンスで「ヤマシタ」とコールされるだけで、スタンドがわく。東福岡高からアビスパがJリーグへ昇格した九六年に入団し、三年目。後半に劇的なゴールでチームに勝利を導く運の強さが、この日も最高の形となって表れた。
こうなると、延長はアビスパの押せ押せムード。試合を決めたのはフェルナンドだった。延長前半終了間際の14分に、中央でフリーになると狙いすましてゴール左すみにVゴールを押し込んだ。
「山下がやってくれたからね。サポーターの大声援で感動した。いいゴールで結果を出せて幸せだよ」。今季途中から加入の助っ人が、最高の働きをやってのけた。
確かに、攻めに向かっているときの守備の甘さなどこの日もチームとしての課題が浮き彫りになった。しかし、ともかくもがけっぷちで踏みとどまった。
森監督は「相手がJFLのチームでビデオが3試合分しかなかった。しかも一発勝負で難しかった」と未知のチームとの対戦の苦しさも指摘した。次はお互いを知り尽くしたJリーグの市原相手の2試合。アビスパは、この勝利の勢いに乗るしかない。(竹下)
× ×
●次戦は22日
アビスパ福岡は、二十二日(福岡)と二十六日(市原)にジェフ市原とホームアンドアウエーの2試合を行う。同じ二十二日と二十六日には、コンサドーレ札幌とヴィッセル神戸が2試合を行い、この二つのカードの勝者が1部に参入。さらに、このカードの敗者は、一部参入、最後の一枚のキップを目指して十二月二日と五日にホームアンドアウエーで対戦する。
× ×
●アビスパ選手の一言
▼森孝慈監督「心臓が半分止まったよ。選手の執念が同点ゴールを呼んだ。サポーターがいつも以上に応援してくれた。次は中二日でジェフと当たる。気持ちを切り替えていきたい」
▼DF岩井厚裕主将「一発勝負でつらかった。先制点を取られたのが大きい。あの1点で空回りしてしまった。平常心がいかに大切かと、あらためて知った。次の市原戦も自分のすべてをかけてやる」
▼GK塚本秀樹「リードされているときは、攻撃に加わりたかった。勝ってとりあえずホッとした。九九パーセント負けていた試合ですから」
▼MF久藤清一「先に点を取られてやばい雰囲気になったけれど、自分が動いて1点取れてよかった」
▼MF藤本主税「相手のツートップは予想以上にうまかった。こちらは攻めばかりで守りが薄くなってしまった気がする。それにしても、サポーターの声援はすごかった。励みになった」
●ファン感涙
1998年11月20日付 朝刊
「まるでドラマ」ファン感涙 アビスパJ1参入戦勝利「やったぞアビスパ!」―。十九日夜、福岡市博多区の博多の森球技場で行われたサッカーJ1リーグ参入決定戦。アビスパ福岡は、ロスタイムでの同点、そして延長Vゴールという劇的な勝利でリーグ残留に望みをつないだ。底冷えのするスタンドはサポーター約一万三千人の熱気で埋まった。
スタンドが地響きのように揺れた。後半終了直前、アビスパが同点に追いついた瞬間だ。「正直、負けたと思った。ドラマのようです」と、福岡県宗像市の会社員福田周一さん(30)。延長に入るとサポーターは総立ち。Vゴールが決まると、歓声が沸き起こり、選手をたたえる拍手が続いた。
危機はしのいだが、次の市原戦(二十二、二十六日)が勝負。福岡市東区の会社員永井秀徳さん(21)は「次も大勢のサポーターで応援したい」と気を引き締めた。
福岡市長選に初当選した山崎広太郎氏もスタンドに姿を見せ、「市の財政は厳しいが、(チームが)苦しいときに支えるのが本当のファン。前向きに支援していきたい」と語った。
●市原に0―2
1998年11月23日付 朝刊
Jリーグ=J1残留決定戦 アビスパ市原に0―2 攻守に焦り、完敗招く
26日は敵地 課題も山積 神戸が先勝
後半17分、福岡のデュカノヴィッチ(左端)と森の2人がかりの攻撃も市原の厚いDFに阻まれる 来季からの一、二部制移行に伴うJリーグの一部(J1)参入決定戦2回戦の第1戦は二十二日、博多の森球技場ほかで行われ、アビスパ福岡―ジェフ市原は市原が2―0で快勝。ヴィッセル神戸―コンサドーレ札幌は神戸が2―1で逃げ切り、ともに勝ち点3とした。
市原は後半から攻撃的になり、20分に右CKに武田が頭で合わせて先制。31分にはスコルテンが2点目を挙げた。神戸は前半34分、永島がPKを決めて先制。41分に海本がゴール前の混戦を押し込んで加点し、札幌の後半の反撃を1点でかわした。
第2戦は二十六日に市原と室蘭で行われ、2試合の勝ち点合計で上回った方がJ1に参入する。(共同)
▽博多の森球技場(市原1勝) 市 原 2(0―0)0 福 岡 (3) (2―0) (0) ▽得点者【市】武田、スコルテン試合後の監督会見。市原のフェルシュライエン監督は言い切った。「前半の二十から二十五分を我慢すれば、アビスパの力は落ちる。あるのは最初の勢いだけだ」。福岡側にはまったく返す言葉もない敗戦だった。
前半は押し気味だった。放ったシュートは市原の3本に対し、福岡は10本。だが、この“ガケっぷち”でも決定力不足が顔を出す。
それが尾を引いたのか、後半は一気に形勢が逆転した。10本に対し、わずか1本。攻撃での焦りが守備も乱し、65分、76分と立て続けにゴールを許す。「ビッグチャンスを逃すと後半にやられる」。森監督もあっさりと“負けパターン”を認めるしかなかった。
抱え続けてきた数々の課題を露呈。「自分たちが決定的チャンスを逃したのが、この結果を招いた」。デュカノヴィッチが攻撃陣の気持ちを代弁すれば、守備のかなめ・岩井主将も「苦しいが、まだ終わったわけではない」と立て直しを誓う。
二十六日のアウエーで求められるのは3点差以上の勝利だけに、市原を相手にJ1残留を決めるのは難しくなった。が、内容だけでも次につながるものを残さなければいけない。(富永)
【市 原】下川 江尻 中西 山口 武藤 スコル 酒井 栗原 マスロ 鈴木隆 武田 GK DF MF FW 【福 岡】塚本 森 岩井 西ケ谷 西田 久永 藤本 フェル 久藤 上野 デュカ 12 7 28 13 GK CK FK SH 10 6 19 11 ▽交代【福】山下(久藤)石丸(久永)栄井(藤本)【市】茶野(武藤)鈴木和(酒井)村井(栗原) × × ●神戸が先勝 ▽神戸ユ(神戸1勝) 神 戸 2(2―0)1 札 幌 (3) (0―1) (0) ▽得点者【神】永島(PK)海本【札】棚田両チームとも激しいプレーで主審の笛がよく鳴ったが、神戸はそれを得点につないだ。前半34分、縦へのロングパスに走り込んだ永島が倒され、PKで先制。41分にはFKからゴール前の混戦を海本が押し込んだ。札幌は後半に1点を返したが及ばなかった。(共同)
●「ミラクル」見せて
1998年11月23日付 朝刊
Jリーグ=J1参入戦アビスパ0―2
いけ!そこ!打て!あ〜あ
チャンスまだまだ 「ミラクル」見せて「次こそは頑張って…」―。サッカーのJ1リーグ生き残りをかけて、二十二日、福岡市博多区の博多の森球技場で行われたジェフ市原とのホーム戦。アビスパ福岡は再三の好機を生かせず、0―2で完敗した。声援を送った約一万二千人のサポーターはがっくり。二十六日のアウエー戦(千葉県市原市)に希望をつないでいた。
球技場はアビスパを応援する観衆でほぼ満員。チームカラーの紺と青のポリ袋を振りながら、懸命の声援を続けた。だが、チャンスにシュートを外すたび、歓声は悲鳴に。十九日の逆転劇の再来を期待して「ミラクル福岡」のかけ声を繰り返したが、終了の笛とともにため息に包まれた。
福岡市中央区の会社員平山誠さん(31)は「好機をものにできない悪いところが出た」と歯がゆそう。大分市の会社員佐々木陽子さん(29)も「九州からJ1の灯を消さないために頑張って」と祈るように語った。
アビスパがアウエー戦でJ1残留を決めるには、3点差以上での勝利が必要。サポータークラブ「ウルトラオブリ」代表の山本圭吾さん(25)は「勢いをつなげたかったが…。選手は“後はない”と思って戦ってほしい」と話していた。
●3トップは破たん
1998年11月27日付 朝刊
Jリーグ=闘志空振りアビスパ連敗 J1参入決定戦 市原と神戸、残留決定
西ケ谷退場 3トップは破たん 「残るは1つ」札幌と
【市原―福岡】前半18分、ゴール前に攻め込む福岡・西ケ谷。GK下川
▽市原臨海競技場(市原2勝) 市原 2(0−0)1 福岡 (2−1) ▽得点者【市】鈴木隆、酒井【福】森3トップで“逆転残留”をかけたアビスパ福岡は、1ゴールがやっとだった。二十六日、来季からの一、二部制移行に伴うJリーグの1部(J1)参入決定戦2回戦の第2戦が行われ、アビスパ福岡はジェフ市原に連敗。コンサドーレ札幌に連勝したヴィッセル神戸と市原がJ1への参入を決めた。福岡は、残る一つのワクを目指し、ホーム&アウエーで札幌と戦う。
福岡は、前半33分にDF西ケ谷がレッドカードで退場し、十人での戦い。後半15分までに2ゴールを許し、残り30分で残留に必要な5ゴールを奪うことはできなかった。
福岡―札幌の敗者復活戦(第3参入クラブ決定戦)はまず、十二月二日午後七時から博多の森球技場で、第2戦は五日正午から室蘭市入江陸上競技場で行われる。
市原が堅い守りで福岡を退けた。慎重な守備に手を焼く相手は焦りから攻撃が空回り。前半30分すぎに退場者が出てからは、完全な市原ペースになった。後半4分に鈴木隆が先制点を挙げると、15分には酒井が豪快なミドルシュートで2点目を挙げ、試合を決めた。
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ギャンブルすら許されなかった。前半33分、ジェフ市原のFW鈴木隆がドリブルでアビスパゴール前に攻め込んだ。ペナルティーエリアの直前、アビスパのDF西ケ谷には後方からのタックルしか、止める手立てはなかった。太田主審の右手にはレッドカード。著しい不正な行為で一発退場。アビスパのこの日の戦術のすべてが白紙に戻った。
アビスパはホームでの第1戦、0―2と完敗した。J1に生き残るためには、3点以上の差をつけて勝つしかなかった。そのために森孝慈監督が取った作戦は、FWを前線に三人並べる3トップ。今季初のシステム。、まさにギャンブル。しかし、DF陣に退場者が出たことでFWの一人、上野を中盤に下げ、3―4―2のシステムに変更せざるを得なかった。
「あの時間で一人減るというのはショッキングなこと。十人になるハンディは重かった。選手はよく頑張ってくれたが、フィニッシュの部分でなかなか点が取れない」。森監督は思わぬ誤算に試合後も厳しい表情は変わらなかった。
しかし、J1の望みが消えたわけではない。コンサドーレ札幌との第1戦は来月二日、地元博多の森球技場。今季2戦2勝の相性のいい相手だけに、初戦がホームという地の利は大きい。そして、エース山下が札幌戦に強いことも好材料。第1ステージ、0―1の後半11分から出場して2得点。逆転勝ちをおさめた。
試合終了後、「胸を張って帰ろう。次の試合を頑張ろう」とロッカールームでゲキを飛ばした森監督。参入戦に勝ち残ったチームは初戦をものにしている。J1のカギは博多の森での勝利にかかっている。 (日高)
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●DF森、意地の1点
「ゼロで終わるより次につながる」。アビスパの意地が詰まった1点を、DF森は振り返った。後半18分、MF藤本の左CKに頭で合わせた。森は「初めてみんなで意思統一してやれた。結果はこうなったが満足している。次のホーム戦では勝てると思う」。
●最後の望みへ
1998年11月27日付 朝刊
アビスパ無念 最後の望みへ ファン「次だ」
福岡のJ1残留を願って、懸命の声援を送るアビスパのサポーターら =26日夜、千葉県市原市の市原臨海競技場 温かい応援だった―。二十六日夜、サッカーのJ1リーグ生き残りをかけたジェフ市原との第2戦。アビスパ福岡の逆転勝利はならなかったが、千葉県市原市に乗り込んだ約三百人のサポーターは最後まで「アビスパ福岡」の大合唱を繰り返し、敗戦後も「最後まであきらめるな」と熱いメッセージを送り続けた。
試合中、アビスパの応援旗を振り続けた福岡市東区の会社員深江政弘さん(25)は「1点を取り返し、あきらめないという気持ちが伝わってきた」と強調。選手に向かい「次がある」と叫んだ。
一方、福岡ドーム(福岡市中央区)内のスポーツバーでも約五十人が大型スクリーンに向かって声援を送った。サポータークラブ「ウルトラオブリ」の益田明典さん(42)は「選手の士気は下がっていない。大丈夫だ」と語り、コンサドーレ札幌戦(十二月二日、五日)に期待を込めた。
●札幌と対戦
1998年12月2日付 朝刊
アビスパ きょう札幌と対戦
J1残留決定戦 FW・山下が先発かアビスパ福岡は二日午後七時から福岡市博多区の博多の森球技場で、J1残留の残り1席をかけた第3参入クラブ決定戦、コンサドーレ札幌とホームアンドアウエーの初戦を戦う。
札幌との2試合の合計勝ち点で勝たなければ、来季からJ2に落ちる。その勝敗の行方の八割以上を占めるといわれる第1戦。福岡はシーズン中と同じく3―5―2のいつものシステム、上野、山下のツートップで臨むことが濃厚だ。
「FWは上野、山下、デュカノビッチのいずれか。今日(一日)の練習は上野と山下だったが、相手がどう感じるかということも考える。まだ(スタメンは)決めていない」。トップにだれを起用するかについて、報道陣に森監督は本音を語らなかった。今までの起用法からは上野―デュカノビッチ、上野―山下の組み合わせが考えられる。
その山下は「やるだけです。博多の森のファンの期待にこたえたい」と意気込むが、リーグ戦終盤から調子が上がってきていない。それだけに首脳陣の頭を悩ませている。他の選手も連戦の疲労がたまっているが、森監督は「痛い、きついと言っている場合ではない。今シーズンに蓄積したすべてをかける」と初戦に総力を注ぐ。(坂田)
●札幌に意地の先勝
1998年12月3日付 朝刊
J1参入戦 アビスパ福岡が札幌に意地の先勝
上野決めた千金ヘッド
【福岡―札幌】後半16分、アビスパ上野(右)が決勝のへディングシュートを決める ホームアンドアウエーで行われるJ1残留への最後の決戦で、アビスパ福岡が先勝した。二日、来季からの1、2部制移行に伴うJ1残留決定戦の第3参入クラブ決定戦(敗者復活戦)の第1戦が行われ、福岡はコンサドーレ札幌を1―0で下して勝ち点3を手にし、JI残留へ大きく前進した。
前半の決定的チャンスを何度も逃した福岡は後半9分、FW山下を投入。より攻撃性を増したところで、札幌の攻撃の起点となるマラドーナが足を痛めてピッチを出る幸運も重なり、同16分にFW上野が先制ゴールにつなげた。
福岡はディフェンスでもよく粘り、前線のバルデス一人に頼ってロングボールを多用する単調な札幌の攻めをしのいで完封した。
五日正午から室蘭市で行われる第2戦で、福岡が勝つか、引き分ければ、J1への参入が決定。札幌が90分以内で勝って1勝1敗となった場合、勝ち点で並ぶため、二年間の総合順位ポイントで上回る札幌のJ1参入が決まる。
▽博多の森球技場(福岡1勝) 福 岡 1(0―0)0 札 幌 (3) (1―0) (0) ▽得点者【福】上野優勢に試合を進めていた福岡が、上野のヘディングで均衡を破った。福岡は後半16分、デュカノビッチがスペースの空いた右サイドをドリブルで攻め上がり、中央へセンタリング。これを上野がタイミングよく頭で合わせた。
◇
●「まだ半分」「これでタイ」 アビスパイレブン敵地戦へ闘志一丸
決勝ゴールを決めたFW上野優作が「まだ半分しか終わっていない」と表情を引き締めれば、再三好セーブを見せたGK塚本秀樹は「やっとこれでタイに並んだだけ」と守護神らしい冷静さを見せた。ただ一つ残されたJ1参入枠をめぐる争いに最少得点差で先勝したアビスパイレブンの心境を、この日の攻守のヒーローが代弁していた。
負けが許されないのはもちろん、できるだけ差をつけて勝ちたい立場で臨んだホームでの試合。主導権を握りながらチャンスを生かし切れない、これまで繰り返してきた悪いパターンを打ち破ったのが、後半16分の上野のゴールだった。
右サイドのFWデュカノビッチからの折り返しを、札幌DFと競り合った上野は、相手のチャージにもめげずボールを頭でコントロール、決勝のヘディングシュートが札幌GKディドを破った。「うれしいのひと言。死に物狂いで(ボールで)詰めました」。終了間際にはボールをフィードするディドに体を預ける闘志を見せた上野の気迫の一発が、チームをJ1生き残りに一歩近づけた。
だが、予断を許さない状況に変わりはない。五日のアウエーでの戦いで仮に90分以内に1点差で敗れれば、リーグ戦の順位が上の札幌がJ1に生き残り、福岡は涙をのむ。この日の勝利は、福岡にとってアウエー戦で延長での負けが許されるという最低のアドバンテージしか与えなかった。
「最後だからやるしかない。全員が守り、全員が点を取りに行く。もちろん目指すのは勝利だけ」とDF岩井。森孝慈監督も「アウエーに行ってからが本当の参入戦。点差は計算していない」。中二日で最後の戦いに臨むイレブンと指揮官の気持ちは一つだ。(室中)
◇ ●90分で勝てば札幌に参入権
福岡が第1戦を制し、勝ち点3を得た。しかし、ホームで1点しか取れず、アウエーとなる第2戦の開催地を考慮すれば、福岡が断然優位とは言い切れない。
福岡は第2戦に同点で90分間を終えれば、J1参入が決まる。だが、札幌は1勝1敗で勝ち点、得失点差とも同じ場合、二年間の総合順位ポイントが16位で福岡の18位を上回るため、90分間以内で勝てば逆転となる。また、第2戦は北海道・室蘭で実施。福岡の選手にとっては、不慣れな寒さや雪がどう影響するか。
●札幌に1勝
1998年12月3日付 朝刊
アビスパ奮起
サッカーのJリーグ1部参入決定戦で札幌に1勝サッカーのJリーグ1部参入決定戦(敗者復活戦)で、アビスパ福岡はコンサドーレ札幌を相手に後半16分、上野が先制のゴールを決め、フィールドに降りたサポーターたちとアビスパイレブンは抱き合い喜びを分かち合った。
アビスパは1―0で先勝し、5日の第2戦へ向け1部残留の期待が高まった=2日、博多の森球技場
●スタンド総立ち
1998年12月3日付 朝刊
サッカー・アビスパ先勝 残留へ先制ゴール スタンド総立ち
「北海道でも勝て」 13000人沸く
最後の一枠を争うサッカーのJリーグ1部参入決定戦(敗者復活戦)、アビスパ福岡―コンサドーレ札幌の第1戦が二日夜、福岡市博多区の博多の森球技場で行われ、アビスパが後半16分に上野優作選手のヘディングシュートで奪った1点を守り、1―0で先勝した。福岡は五日に北海道室蘭市の入江陸上競技場で行われるアウエーの第2戦で勝つか、引き分ければ来季の1部残留が決まる。
コンサドーレ札幌を下し、残留へ王手をかけたアビスパ福岡。降りしきる雨の中、博多の森球技場を埋めた約一万三千人のサポーターたちは、声をからして応援を送り続け、1勝に沸いた。
互角の展開からアビスパが攻勢に転じた後半の16分。待望の先制ゴールが決まるとスタンドは総立ちとなり、興奮の渦に。家族四人で応援に来た福岡市西区の自営業国友正文さん(48)は「四人そろって来ると絶対に勝つ、というジンクスがあるんです」。
追加点を狙うアビスパだが、そのままゲームセット。引き揚げる選手たちに「よくやったぞ」の拍手が送られる一方で、「次(五日)は寒い敵地、北海道での試合。1点差では心配だ」の声も上がった。
福岡県須恵町の会社員上田義樹さん(25)は「二部落ちしたら、藤枝市(静岡県)の人たちにも申し訳ない。五日は北海道まで応援に行くので絶対勝ってほしい」とサポーターの思いを代弁していた。