■アビスパ関連記事・99年11月
久永 トルシエ見返す
正念場で痛い連敗
福岡“判定負け”
入場者数 第2S 3位健闘
リズム乗れず5連敗
後援会費でアビスパ支援
アビスパ福岡・ホーム最終戦
マスロバル 退団へ
残留ピンチ 市原に0−5
残留へあす横浜戦
「J1自力残留」に決意
鼻差残留 得失点差「1」
悔しさにじむイレブン
福岡薄氷J1
福岡J1残留
サポーターやれやれ
J1残留 市民の声
テレビで飛躍誓う

●久永 トルシエ見返す
1999年11月13日付 西日本スポーツ
福岡からシドニーへ執念チャレンジ 久永 トルシエ見返す
「アビスパ?どこ、それ」に反発 残り4試合アピール

久永選手 写真右=シドニー五輪代表への滑り込みを狙うアビスパ福岡のMF久永
 開幕当初の勢いもすっかり消え去り3連敗。上位進出どころかJ1残留を目前にして足踏みしているアビスパ福岡でMF久永辰徳(21)が、キラリと光る存在になってきた。初めての出会いでトルシエ代表監督から発せられた衝撃の発言が忘れらず、監督を見返すためにもシドニー五輪代表への滑り込みを狙うという久永の執念の挑戦が見ものだ。

 心に深く刻まれた一言だった。「アビスパ? どこ、それ」。MF久永辰徳の耳に突き刺さった言葉はトルシエ監督の口から発せられた。

 トルシエ監督が就任した直後の昨年10月、3日間の日程で五輪代表合宿が実施され、アビスパからはFW山下芳輝とMF久永が参加した。初めて代表合宿に呼ばれた久永は期待でいっぱいだった。

 全選手が自己紹介。そこで、山下が名前と所属を言った瞬間に冒頭の言葉が出た。ぼうぜんとする山下。首をひねるトルシエ監督を久永はにらみつけた。来日して間もないとはいえ同様の反応をしたのはアビスパの名だけ。下位チームの悲哀を味わった。

 「見返してやる。シドニーへ行きたい」。このときから五輪はあこがれではなくなり、常に出場を意識するようになった。「今も五輪代表に入ることを描きながら調整している」。代表合宿は、リーグ戦の合間に行われてきたが、いつ呼ばれてもいいように体調を維持し続けてきた。

 だが、その後は一度も代表に呼ばれたことはない。アビスパでも昨年は34試合中31試合に出場するレギュラーだったが、戦術が変わり今季はわずか出場6試合。ようやく10月30日のG大阪戦でスタメンを奪い、12日の練習でもレギュラー組でプレーしている。

 残りは4試合。優勝争いをしているチームとの対戦が続く。「だからこそ、協会関係者も試合を見る。絶好のアピールの場だ」。久永はこの4戦でシドニーへの扉をこじ開けるつもりだ。(坂田恵紀)

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●正念場で痛い連敗
1999年11月18日付 朝刊
アビスパ福岡 「安全圏」のはずが… 正念場で痛い連敗

【柏−福岡】前半7分、福岡のMF石丸(左)が先制のゴールを決める                      
 ▼柏 3―1 福 岡

 J1残留へ安全圏に突入するはずが、うかうかできない状況に追い込まれてしまった。4連敗。菊川監督は「痛い試合を落とした。面白くないゲームにしてしまった」。試合後の記者会見で、報道陣の質問を振り切るように自ら席を立った。

 1―1の同点で迎えた後半42分だった。DFの藤崎が自陣のゴールエリア内で相手と競り合い、これがPKの判定。MF三浦らの猛抗議は認められず、柏のDF洪がPKを放つ。これをGK小島伸がクリア。しかし、そのボールをMF下平に決められてしまったのだ。ここで終わらない。「下平が(PKを)ける前にペナルティーエリア内にいた」(MF篠田主将)。ルール違反と福岡の選手が主審に詰めより、一時はピッチは異様な雰囲気に包まれた。判定は覆らず、逆に44分にもダメ押しの1点を奪われ、引導を渡された。

 福岡にとっては重い1敗。勝ちゲームを落とし今季の総勝ち点は28。総合順位で15位の浦和が勝ったため、J1残留の戦いは福岡を含め、浦和、市原との3チームに絞られた。残り3試合。相手は首位の清水、そして市原、横浜。厳しい戦いが続く。(田中 耕)

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●福岡“判定負け”
1999年11月18日付 西日本スポーツ
福岡“判定負け” 抗議…抗議…届かず逆転被弾
残留当確、連敗脱出逃した 石丸先制フイ

                      【柏―福岡】柏のディフェンダーにドリブルを阻まれる山下。
山下選手  後味の悪いゲームになってしまった。柏に痛い逆転負け。J1残留へ安全圏に突入するはずが、うかうかできない状況に追い込まれた。菊川監督は顔を硬直させ、言葉を吐き捨てた。「痛い試合を落とした。面白くないゲームにしてしまった」。試合後の記者会見で、報道陣の質問を振り切るように自ら席を立った。

 1―1の同点で迎えた後半42分だった。DFの藤崎が相手と自陣のゴールエリア内で競り合うと、PKの判定。MF三浦ら福岡の選手が主審に詰め寄り、猛抗議。そのPKをけった柏のDF洪のシュートをGK小島伸がクリアしたが、そのボールをMF下平に決められてしまった。

 しかし、福岡の選手は「下平が(PKを)ける前にペナルティーエリア内にいた」(MF篠田主将)と主審に抗議のあらしを浴びせ、一時はピッチは異様な雰囲気に包まれた。

 それにしても福岡には運がなかった。前半7分にMF石丸のゴールで先制。有利に試合を運びながらも、後半9分に柏のMF平山が左サイドからセンタリングしたボールがそのままゴールマウスへ飛び込み同点、そして微妙な判定で逆転負け…。

 勝ちゲームを落として4連敗となり、今季の総勝ち点は28のままで「最悪の事態になった」と福岡の町田常務がうつむいた。14位の浦和が勝ったため、J1残留の戦いは、福岡を含めて浦和、市原との3チームに絞られた。残り3試合。アビスパの相手は首位の清水、そして市原、横浜。まさに残留への最後の正念場、アビスパイレブンは厳しい戦いに臨まなければならなくなった。(田中 耕)

 福岡・菊川監督 面白くないゲームをして申し訳ないと思っている。だが、柏とこれだけのゲームをしたので、次はいい試合ができると思う。

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●入場者数 第2S 3位健闘
1999年11月19日付 夕刊
アビスパ福岡 残留争いのスリルたまらない 入場者数 第2S 3位健闘
1試合平均7000人増 得点増がアピール 23日最終戦も動員PR

 プロサッカー、Jリーグ1部・アビスパ福岡のホームゲーム(福岡市・博多の森球技場)での観客動員数が第二ステージで急増している。1試合平均約一万五千人で現在同リーグ16チーム中3位。低迷するチーム成績(12位)とは裏腹の大健闘。チームが目標としていた一ケタ順位をひと足早く観客動員数で達成する勢いだ。

 八月開幕の第二ステージ、福岡はここまでにホーム・ゲーム7試合中6試合を消化した。1試合平均入場者数は第一ステージより約七千人も多い、ほぼ倍増の一万五千百三十九人。浦和レッズ、横浜Fマリノスに次ぐ好成績で、人気チームの鹿島アントラーズやジュビロ磐田を上回る。第一、第二ステージ合わせた年間の入場者数順位は昨年まで、チーム成績同様、常に二ケタ台だった。しかし、今年は第二ステージの人気で、年間通算でもリーグ7位と一ケタ台が射程内だ。

 観客増の理由をアビスパの柳善博専務は「第一ステージで過去最高の11位の成績を残すなど選手の頑張りが一番」と分析。ホームゲームで昨年は無得点試合が7試合もあったのに対し、今年は1試合。ゴールシーンを楽しめる試合が増え、次に望みをつなげているのが大きいとみている。加えて、まだ完全に安全圏内とはいえないJ1残留の激烈な争いも、応援熱に拍車をかけているようだ。

 後援会などはこの勢いでホーム最終戦(二十三日・市原戦)のスタンドを埋め尽くそうと「博多の森20000人大作戦」を展開中。ビラ七千枚を配るなど観戦を呼びかけている。すでにチケット一万五千枚以上が発券済み。フィナーレも熱いスタンドになりそうだ。

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●リズム乗れず5連敗
1999年11月21日付 朝刊
福岡「残留」お預け リズム乗れず5連敗 市原戦、正念場に

【清水−福岡】ドリブルでゴール前にボールを持ち込むも、清水・アレックス(8)にカットされる福岡・西田(13)                      
西田選手  泥沼から抜け出せない。福岡が首位清水に0―1の惜敗。これで九月十八日の京都戦以来、二カ月間白星なしで5連敗。この日、市原が敗れたため、福岡が勝つか引き分けでもJ1残留が決まっただけに、痛い1敗となった。

 「残念だ。リズムが乗れない立ち上がりの失点が痛かった」と菊川監督。前半3分に久保山に決められたゴールが最後まで重くのしかかってしまった。

 連敗中の総得点がわずか3点しか奪えなかった攻撃陣も、後半に入り、再三にわたって決定的な場面をつくったが決定力不足を露呈。厚い清水のDFの壁を崩すことができなかった。

 今季は、残り2試合。次の試合(二十三日、博多の森)の相手、市原には総勝ち点で6点リードしているが、昨年の入れ替え戦で敗れている。この試合で、勝つか引き分けでもJ1残留が決まる。

 しかし、負ければ今季最終戦(二十七日、横浜)の相手が優勝争いを展開している横浜だけに、嫌な雰囲気が漂いかねない。「負けたが、きょうは90分間、選手の集中力が切れなかった。次の試合への手ごたえを感じた」と菊川監督は地元最終戦で市原に勝って、自力で残留を決める覚悟だ。(田中耕)

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●後援会費でアビスパ支援
1999年11月23日付 朝刊
後援会費でアビスパ支援 「選手強化に役立てて」
目標は5年で1億5000万円 地域と一体「福岡方式」

 現在二つあるJリーグ一部、アビスパ福岡の後援会が来年一月、「アビスパ福岡後援会」に一本化されるのを機に、同後援会は会費のほとんどをチームの選手強化などに充てるユニークな財政支援に踏み切る方針を決めた。五年間で約一億五千万円の会費を集めるのが目標。

 後援会年会費は個人三千円、団体(二人以上)が一人二千円、法人一口五万円。個人と団体会員で三万五千人、法人で千口集め、累積赤字が三十億円を超えるアビスパを直接支えたいとしている。会員が増えれば高額な外国人選手などの獲得資金にもなり得るだけに、アビスパの柳善博専務は「ありがたいお話。サポーターの方々の支援を願っている」と期待を寄せる。

 これまで後援会費はオリジナルグッズなどの特典として会員に“お返し”されてきた。「チケットを購入してもらう分がチームへの支援」(後援会事務局)という考えからだ。

 今回、この会員特典分を大幅に削減して、チームの財政支援に回す方針。資金の使い道はチーム側と話し合い、後援会側が決めることになる。

 後援会事務局は「例えば、選手の移動用バスの購入に充てることも考えられる」としている。
 後援会は十二月にも会員の募集を開始する。地域社会と一体となったクラブづくりを理念とするJリーグだけに、この試みは全国から「福岡方式」として注目されそうだ。(坂田恵紀)

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●アビスパ福岡・ホーム最終戦
1999年11月23日付 朝刊
地元で「残留」決める アビスパ福岡・ホーム最終戦
きょう市原と対戦

 アビスパ福岡は二十三日午後三時から、福岡市・博多の森球技場でジェフ市原とホーム最終戦を行う。
 アビスパが勝てばJ1残留が決定、逆に市原は敗れると浦和の結果次第で降格が決まる。両チームにとって大事な一戦でアビスパはMF三浦を試合ではまったく経験のないスイーパーとして起用する。守備のかなめ小島光が累積警告で出場停止となったための措置だが、菊川凱夫監督は「外せない選手。リスクはあるがチームの精神的支柱だから」と不慣れからくるリスクより、三浦の存在にかけている。チケットの発券枚数は市原戦にしては好調な一万五千枚を突破。5連敗でJ1残留をなかなか確定できないアビスパだが、三浦は「ファンの結集の数字。それにこたえるのがプロだ」と自らに言い聞かせながら、イレブンを鼓舞していた。

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●マスロバル 退団へ
1999年11月23日付 朝刊
マスロバル アビスパ福岡を退団へ 契約交渉進展なく

 十一月末で契約が切れるアビスパ福岡のMFマスロバルが二十二日、自らの去就について「僕の仕事は終わった」と退団する決意を語った。クラブ側は「交渉を続けたい」としているが、この日、二十三日の市原戦のメンバーから外れることが決まり、契約更改交渉も不調なことから退団を決めたものとみられる。

 マスロバルは二十二日の練習後、「アビスパは(総勝ち点が)28。市原は22。もう僕の仕事は終わった。アビスパは僕をいらないようだ」と、退団の意思を示し、「明日(二十三日)の試合は見に行くが練習にはいかない」と語った。

 マスロバルは今季リーグ戦22試合に出場し4得点。空爆を受けていた母国ユーゴスラビアに家族を残しながらも活躍。数字以上に貢献した第1ステージ躍進の立役者の一人だった。

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●残留ピンチ 市原に0−5
1999年11月24日付 朝刊
暗雲 アビスパ福岡大敗 残留ピンチ 市原に0−5

                      【福岡−市原】1部残留争いをかけた市原との直接対決でまさかの5失点、10あった得失点差の貯金を一気に無くしたアビスパイレブン
アビスパイレブン  市原 5―0 福岡

 勝てばJ1残留が決まる本拠地最終戦。ところがそこに、予想外の大きな黒星が待っていた。「ふがいないゲームをやって、責任を感じている」。菊川監督は肩を落とした。

 0―5。「相手の出足と気迫にスタートから負けていたところに、すべての敗因がある」と監督は振り返る。開始早々から押しまくられ、前半18分にPKで許した先制点で、福岡イレブンはがたがたと崩れだした。前半にさらに2点、後半にも2点。「こういう状況のときは流れを非常に変えにくい。最後までリズムを出せなかった」。ベンチも打つ手を完全に失ってしまった。

 「PKで追いつめられた感じになってしまった」。DF三浦は厳しい表情で話した。累積警告で出場停止となった小島光に代わっての起用も、首脳陣の期待にこたえられなかった。「最初から雰囲気が変だった。1点で目を覚まさないといけないのに、もっと変になってしまった」とは藤崎。大量失点を許したDF陣の声に力はない。

 これで試合前には10点もリードしていた市原との得失点差が消滅した。浦和は川崎と引き分け、勝ち点差2で追いすがる。残留レースの決着は、二十七日の今季最終戦まで持ち越されたが、福岡の相手は優勝争いを演じた横浜だ。

 これに敗れても、市原か浦和の結果次第でJ1に残留する可能性はある。だが、そうした他力に頼る以前に「勝って残留を決める」の強い意志が必要だ。「このショックが次に残っていたら落ちる。そういう人間がいないことを祈っている」。GK小島伸の祈りは、サポーターの願いでもある。(富永博嗣)

 ●J1残留争い 一転大混戦に
 J1残留争いが一段と混とんとしてきた。前節まで4連敗し、年間通算順位15位の市原が同13位の福岡に5―0で大勝したからだ。これで前節までは残留濃厚とみられていた福岡も一気に降格のピンチに陥った。

 最終節は福岡が横浜、年間通算14位の浦和は広島、市原がG大阪と対戦する。この中では福岡の相手となる横浜が実力的に高く、福岡は苦しいが、同様に市原は勝たなければ浦和を勝ち点でしのげず、浦和も90分で勝たないと得失点差で不利となる。目の離せない残留争いになっている。

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●残留へあす横浜戦
1999年11月26日付 西日本スポーツ
残留へあす横浜戦 フェルナンド闘魂 「他チームの結果気にするな」
勝って決めてやる!! 

                      「勝って決める!」。横浜戦に闘志を見せるフェルナンド =雁の巣球技場
フェルナンド  J1残留がけっぷちに立たされたアビスパ福岡。27日、優勝争いを展開した横浜Fマリノスを相手にした今季リーグ最終戦に敗れると、J2落ちの可能性もある決戦を迎える。サポーターの頼みの綱は、昨年の参入戦でもチームを引っ張ったMFフェルナンド(32)だ。チームの大黒柱は前節(23日)、ライバル市原に0―5で大敗して6連敗を喫したチームをどう見ているのか、そして横浜戦ではどう戦うのか。25日の練習後、胸のうちを熱く語った。

 来日したばかりの昨年、環境が合わずに苦しむ家族の問題に悩まされ、自身も食事が合わず体調を崩しながら、ピッチに立ち続けた。J1参入戦はフル出場。コンサドーレ札幌との室蘭決戦前日には、生まれて初めて雪を目にし、寒さにショックを受けた。だが、極寒のピッチに向かうときは両チーム22人のなかで唯一、グラウンドコートをつけず、ユニホームで整列。「戦いにいくのだから」。プロ魂、勝負に対する思い入れは計り知れない。

 そんなフェルナンドは市原戦での0―5の大敗直後、控室で出迎える倉田ヘッドコーチをつかまえ、詰め寄った。「日常の練習でやってる、いろんな積み重ねの結果だ。誤っていることもあって爆発したんだ」。胸に秘めておくことはできず、アビスパ全体に訴えたかったのだ。

 「自分は戦士のような気持ちで試合に臨み、勝利を目指している。だが数週間前から選手は他チームの結果ばかり気にしていた。だからこういう状況になったんだ」

 首脳陣にも「負けられないというところに意識が行き過ぎ、失点をおそれ、守備ばかり。試合運びもそうだ。失点の前に得点を挙げないと」。ほとばしる思いはやまない。

 すべてがかかる最後のゲーム、横浜戦ではチームの意思が一つになることを祈っている。それは「勝つ、という気持ち」にだ。この言葉を、何度も何度も繰り返した。

 「プレーの質が高く、重要な選手」とたたえるMFマスロバルは第2ステージほとんどスタメンから外れ、退団の方向。「マスロバルの代わりに活躍していたかも」と振り返るMFラニエリもピッチに立つチャンスは少なく、横浜戦でもスタメンから外れることが濃厚だ。そんな厳しい状況の中で、昨年と同じく、アビスパサポーター、選手、スタッフの願い、期待をだれよりも背負って、フェルナンドが決戦の舞台に上がる。(坂田恵紀)

マスロバルが横浜戦先発?
契約が切れる11月末で退団する意思を表明しているMFマスロバルが25日、横浜戦に向けた戦術練習で“先発”を言い渡された。試合前の戦術練習は控え組が相手チーム役になり、スタメン候補チームが動きの確認をするが、この日、戦術練習に入る直前、倉田ヘッドコーチが呼んだスタメン候補の中にマスロバルの名前があった。

 だがマスロバルは倉田ヘッドに険しい表情で詰めより、その後、控え組がつけるゼッケンを自ら手にして控えチームに入った。倉田ヘッドは会話の内容について「見たまま。何も話せない」と口にチャック。菊川監督も「起用するのは…」と明言を避けた。

 クラブ側は27日に代理人も同席して話し合う席を設けるが、交渉にならず、別れのあいさつになりそう。マスロバルは「26日も練習にはくる。プロだから」とだけ言い残した。

応援ツアー増発 NHKも生中継
 〇…“いざ、ヨコハマ”―アビスパが危ない。いてもたってもいられないサポーターの熱意が、旅行会社も、NHKも動かした。超格安でアウエーでのサポーターの観戦を支援してきた西鉄旅行の応援ツアー。加えて急きょ24日夜になって日通旅行も超格安の応援ツアーを組んだ。同日夜にアビスパの公式ホームページ上で募集を開始したが、早速25日午前には50件を超す問い合わせが殺到し、わずか1日で目標としていた30人を突破した。また、NHKも25日夕になり、総合テレビで福岡地区での生中継を決定。がけっぷちのチームをサポーターが後押しする。

順位チーム勝点=1S+2S得失点差
13福 岡28=16+12-16
14浦 和26=13+13-20
15市 原25=12+13-16
16平 塚13=9+4-41

平塚はJ2転落確定

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●「J1自力残留」に決意
1999年11月27日付 朝刊
「J1自力残留」に決意 アビスパ きょう最終戦

 九州唯一のJ1の灯を守れるか。はたまたJ2落ちか。Jリーグ一部、アビスパ福岡は二十七日、横浜市の横浜国際総合競技場で強豪、横浜F・マリノスとリーグ最終戦を戦う。アビスパが勝つか引き分ければJ1残留。敗れて、浦和、市原が90分間で勝った場合などはJ2に転落する。瀬戸際に立ったイレブンは口々に「自力で残留を決める」と力を込めた。

 勝ちにこだわる。浦和、市原の結果を気にする星勘定はしない。MF三浦は「負ければ終わりだと思っている」と決意を語る。FW山下もまた「90分間、体が壊れるぐらいやる」とサッカー人生をもかける。イレブンの意気込みはサポーターへの報いの気持ちだ。

 前節の市原に0―5と大敗。サポーターの前で醜態をさらしてがけっぷちへ。それでも必死に声援を送ってくれた観衆の姿が選手の目に焼き付いている。

 「悔しさは忘れない」(三浦)、「あの日の夜は眠れなかった」(MF篠田)…。勝ってサポーターを歓喜させたい。二十六日、福岡市東区の雁の巣球技場での練習では約一時間、軽めの練習を行ったが、選手たちの意気込みは菊川監督に十分に伝わった。

 「選手たちの目を見て確信した。必ず勝ち点をとれる」。菊川監督は選手たちに「今まで最高のプレーをしよう。グラウンドで暴れよう」とだけ伝えてもいる。チームは一つになって決戦を迎える。(坂田恵紀)

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●鼻差残留 得失点差「1」
1999年11月28日付 西日本スポーツ
福岡 鼻差残留 得失点差「1」 「落ちない神話」再び!!
「九州唯一の灯」死守

【横浜―福岡】7連敗で今季全日程を終えたものの、薄氷のJ1残留を決め、手を振ってサポーターにこたえるアビスパイレブン(撮影 伊東昌一郎)                      
サポーターにこたえる選手

▽横浜国
横 浜  2(1−0)0 福 岡
      (1−0)
▽得点者【横】城2

 JリーグのJ1第2ステージは27日、最終戦が行われ、J2転落の危機に立っていたアビスパ福岡がきわどくJ1残留を決めた。福岡はこの日、横浜国際総合競技場で横浜と対戦、0―2で敗れ7連敗。この日広島に延長Vゴール勝ちした浦和に年間通算勝ち点28で並ばれた。しかし、得失点差がマイナス18で、浦和の同マイナス19をわずか1だけ上回り年間総合順位で14位を確保、かろうじてJ1残留を決めた。しかし、この日フェルナンドの退団が明らかになるなど、残留こそ決めたものの来季もチームを取り巻く環境は厳しい。

 試合が終わり、選手がセンターサークルに整列しているときだった。「浦和が延長に入った。残留だ」。スタッフがベンチに駆け寄る。菊川監督が「本当か、得失点差は大丈夫か」と取り乱した。
 ほっとした表情で握手を交わしているベンチに選手たちが気づく。大きく手で〇を作ってスタッフがこたえた。それに気づいたサポーターがアビスパの名を連呼しながら涙を流した。
 苦しかった。悔しかった。そして、情けなかった。九州唯一のJ1の灯を死守したが、選手らに笑顔はない。
 「ただ、残っただけ。得たものがない。恥ずかしい」とMF三浦は首を振った。主将のMF篠田も「去年と同じ。サポーターに申し訳ない」と肩を落とした。

 勝ってJ1を決めたかった。心配をかけたサポーターに報いるためだった。だが、11分に先制され、23分にはMFフェルナンドが不可解な判定で一発退場。優勝争いをした横浜に一人少ない人数での戦い。ただ、目の前にきたボールをけり上げるばかり。DFのかなめ、小島光は「観客はプロのプレーを見にきているのに」と唇をかんだ。シュートはわずか2本。防戦一方、2失点で切り抜けるのがやっとだった。

 浦和と市原の経過を選手はハーフタイムで市原リードを聞いただけだった。一方、福岡ベンチはリアルタイムで知っていた。「市原の先制を聞き、フェルナンドは退場。地獄の底を見た感じだった」(菊川監督)。倉田ヘッドコーチは「浦和が点を取ったら、攻めに転じていた」。

 眠れない選手が続出、得失点差までもつれたJ1残留レースが終わった。常勝クラブを渡り歩いた三浦は、この1年でアビスパの弱さを実感した。「選手もフロントも見直しをすべき」という。クラブ側も来季から、若手育成に力を入れ、長期的戦略にシフトチェンジする。

7連敗、笑えぬ「他力」命拾い ピッコリ体制で再出発
 菊川監督は「監督」または「総監督」として続投する。しかし、実質的に指揮を執っていた倉田ヘッドコーチがフロント(強化部)入りし、代わりにピッコリコーチが手腕をふるうことが内定。MFフェルナンドを失うがFW山下を生かすチームづくりを念頭に補強を進めている。

 2年連続して薄氷を踏むようなJ1残留。菊川監督は「2回とも最後に神様が助けてくれた。来年こそ神様がくれたこのチャンスで強いクラブをつくりたい」と心機一転で来季に挑む。

 九州唯一のJ1の灯を、もっと強く輝かせるために、アビスパが再スタートを切る。もう神の手を煩わせないように。何よりサポーターに心配をかけないように。(坂田恵紀)

選手強化図る
真鍋純哲・アビスパ福岡社長
 「降格していれば福岡に帰れない心境だった。第1ステージ11位と今年はいけると思ったが、第2ステージでずるずる連敗…昨年、今年とハラハラ続きでファンに申し訳ない気持ちです。選手を強化して来年に備えたい」

イレブン帰福約200人が祝福 福岡空港
 〇…J1残留を決めたアビスパイレブンは27日夜、空路帰福し、福岡空港で出迎えた約200人のサポーター、球団職員らの祝福を受けた。午後10時すぎ、到着ロビーに姿を現した菊川監督と選手たちは、試合に敗れての残留決定だっただけに表情は厳しかったが、サポーターの「おめでとう」の声に主将の篠田善之が「来季はこれを糧に頑張る」とこたえた。
写真=約200人のサポーターに迎えられ帰福したイレブン =27日午後10時23分、福岡空港

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●悔しさにじむイレブン
1999年11月28日付 西日本スポーツ
アビスパ残留 ツキ1本 悔しさにじむイレブン

自力残留を決められず、ファンに頭を下げるアビスパイレブン(28日西日本新聞朝刊掲載)                      
ファンに頭を下げるイレブン 【記者の目】付け焼き刃的チーム編成
 第1ステージをチーム最高の11位で折り返しながら、第2ステージの終盤に7連敗。最終戦にやっと“他力”で残留を勝ち取った。その躍進と失速はともに外国人選手がカギだった。その背景に、昨年までの付け焼き刃的なチーム編成のしわ寄せがある。

外国人選手頼り
 第1ステージの躍進は、MFフェルナンド、MFマスロバル、DFヴィジャマジョールの3人がそろって活躍したことによるものだった。3人でチーム総得点(23得点)のほぼ半分の11得点。他の日本人選手の得点も、この3人が絡んだものばかりだった。
 外国人選手には相手にボールをとられないキープ力があるため、展開上でのタメができた。他選手は余裕を持って攻撃に参加できた。起点が複数できるため、相手も守りづらかった。
 だが、第2ステージはヴィジャマジョールが退団。代わって入団したMFラニエリも力不足で起用されず、マスロバルもケガで開幕から出遅れたことで調子が上がらず、終盤に再びケガ。昨年同様、終盤には外国人がフェルナンドだけで、起点が一つになって失速していった。

起用法に疑問
 選手の起用法にも問題があった。事実上の指揮を執った倉田ヘッドコーチの戦術は、マンツーマンとゾーンディフェンスを併用する方式。海外の一流クラブが使い、理想的な戦術だが、選手には豊富な運動量と判断力が求められる。
 「戦術を理解しているから」とコマのように戦術通りには動くものの、ボールを持っても何もできない選手たちを起用し続けた。若手選手に経験を積ませるならわかるが、それも違った。実力を持つ選手が力を発揮する場もなかった。理想と現実にギャップがあり、選手との溝も広がった。
 今季の戦術に主力級は合わなかった。倉田ヘッドも嘆いていた。それでも自らの戦術を推し進めたのはチームの指揮を執ったのが初めて、という経験のなさを指摘する声もある。そのリスクを承知でチームを任せざるを得なかったのは、これまで外国人選手の獲得に多大な予算を使い、無駄にし、経営危機にさせたしわ寄せだった。

教訓生かす時
 なんとか残留は果たしたものの、来季もチームを取り巻く環境は厳しい。加速する予算削減でMFフェルナンドの退団が濃厚。実質的な指揮もピッコリコーチが執ることが内定している。
 ピッコリコーチも指導者としては未知数。それより今季、活躍したベテランが、調子を持続できるかが課題になる。「みんな30歳を超えていて、来季は計算できない。早く若手が伸びないとシーズンを戦えないかも…」とフロント幹部も不安を募らせる。これまで「余裕がなかった」と手つかずだった若手の育成を、何よりも優先させなければならない。
 それには指導者、フロントの人材育成に本格的に取り組むのが急務だろう。2年連続して窮地に立った教訓を生かすしかない。結果にかかわらず、毎年何かを残し、サポーターが将来への展望を持てるような“魅力あるクラブ”に生まれ変わるしかアビスパが生き延びる道はない。(アビスパ福岡担当・坂田恵紀)

パンチングするGK・小島 写真=【横浜―福岡】横浜のシュートをパンチングでクリアする福岡のGK・小島(右)=横浜国際

悔しさにじむイレブン
 あらしのような横浜のシュートに耐え続けた。シュート数は、2対17。「1人で守るから、つらいわ。こっちは1人足りなくなって、チャンスらしいチャンスもつくれんかったしね」。前日、日本代表候補にアビスパからただ1人選ばれたGK小島伸は残留決定にも複雑な表情をみせた。

 好セーブの連発で、2部落ちの危機を救った。勝ち点を挙げれば無条件で残留が決まる試合だったが、前半11分に城に先制点を決められた。同23分、司令塔のフェルナンドがレッドカードで一発退場になって防戦一方。さらに、後半に入り、城に2点目を奪われてからは、ベンチから屈辱的な「守れ」の指示が出た。

 そして、0―2の負け試合…。得失点差で残留は決まったものの、アビスパイレブンの表情は険しい。中盤で必死にゲームを組み立てたMF三浦は「ただ残ったというだけ。もう一度やり直したい。このままじゃ終われないですから」と出るのは反省のコメントばかり。清水、川崎と強豪チームを渡り歩いたベテランの言葉には重みがある。

 ベテランMF野田も思いは同じだ。「最悪の結果は逃れたけど、喜んでいいのか…。2部落ちを免れた最大の要因? 運がよかったことですかね」。他力本願の残留決定に、悔しさがにじんでいた。

 2年連続で2部落ちの危機を乗り越えたが、アビスパイレブンに笑顔はない。来季への課題を胸にバスに乗り込んだ。(日高三朗)

都並敏史氏(サッカー解説者、元アビスパ福岡)
 「負けてJ1残留が決まったが、厳しい状況の中でも(横浜相手に)よく頑張った。2年連続のJ2落ちの危機だったが、この経験は来年に必ず生きてくるはず」

声援の熱さでは負けず
 横浜国際総合競技場のアビスパ福岡の応援席が、安どの表情で埋まったのは試合終了から3分後だった。携帯電話で浦和の90分以内の勝利がないことを確認したサポーターが「J1残留」と叫ぶと、200人を超える福岡ファンから「よかった」「安心した」の言葉がもれた。

 人数では本拠地の横浜ファンに劣っても、福岡ファンの声援はその熱さで負けていなかった。アビスパ福岡のサポーターズクラブ「エスコティーバ」の幹事で医師の井上隆則さん(41)=福岡市南区=も、試合開始前から熱烈な声援を送り続けた。井上さんは「正直、ホッとした」と語ったが「2年連続でこういう状況での残留。いい加減にしてほしいという気持ちです」。

 福岡市出身で、現在は神奈川県横須賀市に住む大学生、牛島健さん(24)は「残留で騒がれるのではなく、優勝で話題を呼ぶようなチームづくりをしてほしい」と話した。

地元で声援残留にホッ
 福岡市中央区のパブ「プレアデス」では、100インチのスクリーンを用意、アビスパのユニホームを着た約50人のサポーターが集まり、試合場の横浜まで届けとばかりに大声援を送った。

 アビスパは敗れたものの、浦和が90分を0―0で終わると、スクリーンには「アビスパ残留決定」の文字が躍った。この瞬間、サポーターは歓喜の声を上げながら、拍手したり、抱き合ったり。

 今年の博多の森での試合をすべて観戦したという福岡県夜須町の成富義文さん(34)は「とりあえずホッとしました。選手の力はあるんだから、来年は戦う集団を目指してほしい」。

 その一方で、福岡市東区の大木正司さん(29)は「残留はうれしいのですが、こんな試合でいいのでしょうか。監督やコーチの選手の起用法がおかしい」と納得いかない様子だった。

鷹からエール
 〇…J1残留を果たしたアビスパ福岡に、福岡ダイエーの佐々木代表がエールを送った。この日は球団事務所のテレビの前で懸命に応援。「ハラハラドキドキしながら、ゲームを見守っていました。福岡の球団としてお互いの交流を深めてきただけに、J1残留でひと安心しています」と話した。福岡とは今季、マスコットの交流をしたり、それぞれのゲーム経過速報を福岡ドーム、博多の森球技場で流すなど、福岡に本拠地を置くチームとして交流を深めてきただけに、「お互い来年に向け、より一層の努力をしていきたいですね」と笑顔で話していた。

球団職員も一喜一憂
 〇…福岡市博多区のアビスパ福岡の球団事務所では柳善博専務ら職員8人が残り、テレビで応援した。アビスパが序盤でリードを許すと職員がパソコンで市原と浦和の途中経過を検索。市原が1―0でリードしているのを知ると「危ないよー」を連呼した。しかし、アビスパの残留が決まると、職員は一斉にバンザイをしながら握手を交わした。「九州からJ1の灯が消えなくてよかった」と笑顔の柳専務らは祝福の電話の対応に追われていた。

●アビスパ球団史● 96年Jリーグ入り
 静岡県藤枝市で警備保障会社の同好会組織として1982年に発足した「中央防犯SC」がチームの前身。日本リーグの2部、JFLで徐々に力をつけていた94年6月に静岡市から福岡市へ本拠地を移転、「福岡ブルックス」が誕生した。
 Jリーグ準会員として戦った95年のJFLで優勝を飾り、96年にJリーグ入りを果たした。「アビスパ福岡」とチーム名を変更したJリーグの1年目は清水秀彦監督、2年目の97年はパチャメ監督、昨年は森孝慈監督と1シーズンごとに監督を入れ替えたが、1年目が年間6勝、2年目が同7勝と低迷。昨年も8勝で年間総合順位の最下位、J1参入決定戦を勝ち抜いて、やっとJ1残留を果たした。
 今季からフロントの取締役管理強化部長だった菊川凱夫監督を迎え、第1ステージは6勝9敗の11位と健闘したが、第2ステージの失速で苦戦を強いられた。

フェルナンド退団へ 評価最高も年俸払えず
 アビスパ福岡の大黒柱、MFフェルナンド(32)が契約が切れる今季限りで退団することが27日、濃厚になった。クラブ側が来季は契約できない見通しをフェルナンドに伝えた。

 昨年来日したフェルナンドは、J1参入戦にもフル出場。他チームからも「アビスパはフェルナンドのチームだ」とたたえられた。今季も30試合中25試合に出場し、チーム最多の8得点。手抜きをまったくせず調子に波もなく、他選手から手本とされ、スタッフからも絶大な信頼を得ていた。

 フロント幹部は「チーム内で最高に評価している」。それゆえに来季、契約を結ぶ場合は最低でも今季の年俸(推定年俸8500万円)の維持が必要だが「これまでも無理をしてきたが、来季はとても払えない。半額ならば」というチーム状況。「最高の選手。それゆえ、半額を提示するのも…」とあまりの予算の少なさに条件提示すらできそうにない。

 昨年オフも磐田などが獲得に乗り出したが、今季もすでに日本国内4チーム、ブラジルから3チームが獲得に名乗りを上げている。それだけにフェルナンド側は「条件が合わないなら退団するだけ」と強気。アビスパの至宝がクラブを去るのは確実な情勢だ。

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●福岡薄氷J1
1999年11月28日付 朝刊
福岡薄氷J1 最後も完敗…得失点差に救われ
「神様が助けてくれた」 大黒柱退場、10人で懸命守備

【横浜―福岡】横浜・中村(10)のドリブルを懸命にカットする福岡・藤崎(12)                      
ドリブルをカットする藤崎  ▼横 浜 2―0 福 岡

 またも首の皮一枚で残った。横浜に0―2と完敗。7連敗を喫しながらも福岡が浦和を得失点差でわずか「1」上回り、きわどくJ1残留を果たした。菊川監督は残留に「ホッとしている。しかし、自力で決められずに残念」と複雑な表情を浮かべた。

 厳しい試合だった。前半11分に城に先制ゴールを決められ、さらに23分には大黒柱のフェルナンドが退場処分を受け、がけっぷちに立たされた。「あのときは地獄の底が見え始めていた」と菊川監督にも悪夢がよぎったというが、数的に不利になりながらも体を張って横浜の攻撃を2点に抑えたことが、残留への道を切り開いた。

 が、手放しでは喜べない。今季第1ステージを過去最高の11位で折り返したものの、第2ステージでまさかの連敗街道。残留当確の寸前にいながら、前節の市原戦で0―5と大敗。昨年、辛くもJ2降格を免れた経験が生かされなかった。

 来季も菊川監督が続投するが、今季実質的に指揮を執っていた倉田コーチに代わって、ピッコリコーチがその役目を担う。しかし、財政面の厳しさは増すばかりで、選手補強は不透明。戦力低下は否めず、来季に向けた明るい展望は見えてこない。

 今季福岡に加入した三浦が「選手もフロントも考え直さなければいけない」と話せば、菊川監督も「昨年、今年と神様が二度助けてくれた。来年は神様がくれたこのチャンスを生かしてチームをつくらないといけない」と口元を引き締めた。

 J1に昇格して四年が経過したのに、アビスパは低迷し続けている。二年連続で危機を逃れた教訓を、来季こそ生かさなければならない。(田中耕)

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●福岡J1残留
1999年11月28日付 朝刊
今年もハラハラドキドキ… 福岡J1残留

                      試合には敗れたもののJ1残留が決定し控え目ながらも喜びの福岡イレブン
=27日午後、横浜国際総合競技場

 サッカーのJリーグ一部(J1)の第2ステージは二十七日、最終戦が行われ、二部(J2)への転落の危機に立っていたアビスパ福岡がJ1残留を決めた。

 アビスパ福岡はこの日、横浜国際総合競技場で横浜Fマリノスと対戦、0―2で敗れて、この日サンフレッチェ広島に延長Vゴール勝ちした浦和レッズに年間通算勝ち点28で並ばれた。

 しかし、得失点差マイナス18で、浦和の同マイナス19をわずかに1だけ上回って年間総合順位で14位を確保、かろうじてJ1残留を決めた。

 これで来季はJ2優勝の川崎フロンターレと同2位のFC東京がJ1へ昇格、入れ替わって浦和と年間総合順位で最下位(16位)のベルマーレ平塚がJ2へ転落する。

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●サポーターやれやれ
1999年11月28日付 朝刊
アビスパJ1残留 サポーターやれやれ
瞬間「よかった」 「来年は強くなれ」

J1残留を願い懸命に声援を送るアビスパ福岡のサポーターたち =27日、横浜市の横浜国際総合競技場                      
 首の皮一枚で九州の「J1の灯」は残った―。サッカー・Jリーグ一部(J1)の最終戦が行われた二十七日、アビスパ福岡は横浜国際総合競技場(横浜市)で横浜F・マリノスと対戦。0―2で敗れ、7連敗でリーグ戦を終えたが、勝ち点で並んだ浦和レッズを得失点差で上回り、かろうじてJ1残留を決めた。「とにかくホッとした」。横浜、福岡、大分で胸をなで下ろすサポーターの声が広がった。

 福岡から横浜に駆けつけたサポーターは約二百人。敗戦に無念さをにじませた応援席に、浦和レッズの延長戦突入という「朗報」が届いたのは試合終了の三分後だった。「J1残留!」。携帯電話で結果を知ったサポーターが叫ぶと、あちこちから「よかったー」とため息交じりの声が上がった。

 スタンドで声援を送り続けたサポーターズクラブ「エスコティーバ」幹事の井上隆則さん(41)=福岡市南区=は「冷や冷やの残留は今年でやめにしてほしい」。

 福岡市・天神のパブ「プレアデス」には、地元に残ったサポーター約五十人が集まり、大型モニターで中継を見ながら応援した。敗戦が決まると重苦しい空気に包まれたが、「残留」のテロップが画面に流れた瞬間、安どと歓喜の声が交錯。レディース支援会「アニーモ!」の伊藤千草代表(38)は「どんな形にせよJ1に残ることが大切」と大粒の涙をぬぐった。

 サッカー教室でアビスパイレブンに直接指導を受けた愛宕少年サッカー(福岡市西区)の福松洋佑主将(12)=愛宕小六年=は「練習しながら結果が気になったけど、残留が決まってうれしい。来年も応援に行きたい」と声を弾ませた。

 大分市の自宅でテレビ観戦していた全九州サポーターズクラブ連絡協議会「K BLUE K」の長瀬さち江代表は「九州からJ1の灯が消えるという最悪の結果だけは免れ、とにかく安心した。来年こそは九州の他のプロチームのお手本となるようなチーム運営を期待したい」と話した。

チーム強化へ支援の約束も 出資企業も歓迎
 アビスパ福岡がJリーグ一部残留を決めた二十七日、球団運営会社の福岡ブルックスに出資する地場企業からは「J1のチームがあることが福岡の活性化に役立つ。残留してよかった」(佃亮二・福岡銀行頭取)などと安どの声が聞かれた。

 球団は行政、財界、市民が一体となって誘致した経緯があるだけに、ゼンリンや三洋信販、明治屋産業は「来季も市民球団として温かく見守りたい」と口をそろえる。今後のチーム強化には外国人選手採用などで資金が必要になりそうだが、筆頭株主のコカ・コーラウエストジャパンは「球団から要請があれば、増資に応じたい」(久保長・会長兼CEO)と支援を強める考えだ。

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●J1残留 市民の声
1999年11月28日付 朝刊
アビスパJ1残留 市民の声
ひと安心・来季もがんぱって いらだち・夢持てる工夫を

              「アビスパJ1残留決定」の速報に大喜びするテレビ観戦のサポーター=福岡市中央区渡辺通
テレビ観戦のサポーター  福岡市に本拠地を置くプロサッカー、Jリーグのアビスパ福岡は二十七日、今季最終戦で横浜F・マリノスに0―2で敗れたものの、得失点差でかろうじて来季の同リーグ一部残留を決めた。二年連続で最終戦まで残留決定がもつれる綱渡りの戦いぶりに、地元関係者からは安どや激励だけでなく、厳しい注文や不満の声も聞かれた。

 アビスパ福岡の前身チーム誘致のため、五十万人の署名集めに取り組んだ福岡青年会議所の田中彰洋前理事長は「紙一重の差だったが、残留が決まってひと安心。チームは福岡市民の財産。市民の応援を裏切らないよう、来季も頑張ってほしい」とエールを送った。

 また、来年度まで低利融資の支援を決めている同市議会関係者も胸をなで下ろした。アビスパ福岡支援議員連盟の浜田雅之事務局長は「一部と二部ではチームの収入も大きく異なり、運営にも大きな影響がある」と、ほっとした様子。

 一方、後半戦で七連敗と、成績が低迷するチームに対して厳しい声も。プロサッカー界に多くの選手を送り出している東福岡高校サッカー部の志波芳則監督は「チームの厳しい事情は分かるが、地元の有望選手が夢を持てるような工夫を」と注文。県サッカー協会の山本克己会長は「これまでじっと見守ってきたが、今の状況は来年も変わりそうもない」といらだちを隠さなかった。

 アビスパ福岡後援会の田中健蔵会長は「試合結果に関係なく、サポーターが資金面で球団を支援する取り組みを始める予定だった。それにしても七連敗とは…。選手は市民の目をもっと真剣に受けとめてほしい」と、選手たちの自覚も促した。

選手はよく戦った
山崎広太郎・福岡市長の話
 最終戦には敗れたものの、Jリーグ一部残留決定の知らせを受け、胸をなでおろしている。選手の皆さんは、プレッシャーの中でよく戦ったと思う。貴重な経験を来シーズンへの大きなエネルギーとし、チーム一丸となって今後も多くの市民にこたえてくれるよう期待している。

来年こそ上位進出
福岡市議会アビスパ福岡支援議員連盟会長の津田隆士議長の話
 昨年に引き続き、冷や汗をかいたが、残留が決定しほっとしている。成績は期待に反したものとなったが、観客動員数は一試合平均一万一千人を超えるなど、広く市民に支えられている。誇れる市民球団として来年こそ上位進出を期待している。

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●テレビで飛躍誓う
1999年11月29日付 西日本スポーツ
「来季は心配させません」アビスパイレブン テレビで飛躍誓う
筆頭株主も増資で支援

 アビスパ福岡が得失点「1」差で薄氷のJ1残留を決めてから一夜明けた28日、菊川凱夫監督、MF篠田善之主将、DF藤崎義孝の3人が、地元民放テレビ番組の生放送に出演。心配をかけたサポーターにあらためてわびるとともに、来季の飛躍を誓った。また、筆頭株主のコカ・コーラウエストジャパンが増資の構えをみせている。
 眠い目をこすりながら3人は放送局に姿を見せた。菊川監督は顔がむくみ、篠田らの目もうつろだった。「昨夜はほとんど眠れなかった。気がおさまらなかった」。菊川監督の声はかすれていた。睡眠3時間の篠田も「なんか、気持ち悪い」とグロッギーだった。
 もし降格していたら…。「テレビ出演は決まっていた。頭を下げ、力強く、昇格するまで応援を、とお願いしていただろう。でもなあ…」(菊川監督)。篠田は「まず福岡には戻ってくることができなかったでしょう」と福岡の地を踏みしめながら安どの表情を浮かべた。
 藤崎と篠田は同日夕の別の番組にも生出演。左ほおに市原のFW武田にひっかかれた傷が生々しい藤崎は「来季は上位の争いで注目されたい」と抱負を語った。

 また、残留決定直後にアビスパの運営会社、福岡ブルックスの筆頭株主、コカ・コーラウエストジャパンの久保長・会長兼CEOが「球団から要請があれば、増資に応じたい」とさらに支援を強める可能性があることを示唆した。

 アビスパイレブンは激闘の疲れをいやしながら、残留の実感に浸っている。(坂田恵紀)

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