|
■「経済」に市民の関心
A 一九九七年のアジア開発銀行(ADB)福岡総会に比べて、福岡蔵相会合は「地味だ」との声が経済界や市民に多かったね。
B ADBに続いて通訳ボランティアを務めた女性会社員は「英語を使う機会がほとんどなかった」とがっかりしていたよ。
A 経済効果はあったのかな。
C 福岡市の百貨店では期間中、来店客が約二割減。関係者は「中元商戦や夏物セールの稼ぎどきにぶつかって痛手」と嘆いていた。
B タクシー会社も交通規制で大幅に車を減らし、減収だった。
C 「警備が厳重すぎた」という声も強かった。
A 福岡県警は交通規制も含めて全警察官の半数にあたる総勢五千人を投入。会場周辺には「ベランダに出るな」「外出を控えろ」と、自治会を通じて一種の“おふれ”も出た。
B 市民に最も影響が大きかったのは交通規制だ。都心部では検問が七十カ所。都心部の交通量は「まるで正月」のように減り、県警からすれば「市民の協力で大成功」。しかし実態は「規制で嫌な思いをするよりは」と市民がマイカー利用を渋々がまんした、というところだろう。
●飛躍への布石に
D 経済効果は薄く警備は厳しすぎと、やや辛口意見が出たが、全体的印象はどうかな。
B 福岡市幹部は「市民と各国蔵相との交流の場面が少なかった」と残念がっていた。せっかくの歓迎行事でゲストの参加がなく中止したものも。その意味では、地元の期待が大きすぎた面もあった。
C ただ、前日にあった「世界経済シンポジウム」は市民の関心が高かったね。
A 主催者は参加者五百人を見込んでいたが、当日は約八百人が一般参加。会場から質問も相次ぎ、経済問題への関心の高さがうかがえた。
B 経済効果は薄かったかもしれないが、福岡市がトップクラスの国際会議をやれる実力を世界に示した意義は大きい。今後、いろんな面で福岡がいっそう飛躍する布石になったと思う。
|
■「手作り」の国際化進む
G 宮崎県は外相会合を無事に乗り切り、誘致開始から四年がかりで悲願を達成した。
F 受け入れ態勢に対する参加各国の評価は高かった。共同会見で三人の外相が周到な準備ともてなしに賛辞を贈ったが、世界規模の会議では異例のことだ。
E 宮崎の熱意は並々ならぬものがあった。シーガイアの国際会議場を「サミット」と名付けたのが象徴的。全国の地方都市に先駆けてサミット誘致に乗り出した宮崎が、初の地方開催に道を開いた功績は大きい。だが、一方では「シーガイア救済目的」との批判もあった。それでも千二百億円を超すシーガイアの累積赤字が外相会合で消えるわけではないし、これからが正念場だ。
G 受け入れ準備は大変だったろうね。
F 県の旗振りで全市町村・議会、主要企業・団体、マスコミなどが協力推進協議会をつくり、その中の各専門委員会が歓迎ムードの盛り上げ方まで研究した。
●知名度がアップ
E でも、宮崎市以外の地域は冷めていたし、沖縄、福岡との連携にも疑問符が付いた。
G 外相会合には国、県、宮崎市が約六十億円投じたようだね。
F 宮崎情報の発信をねらった広報やマスコミ対応が手厚く、知名度アップなどに一定の効果を上げた。
G 県民は「国際化」を身近に感じたと思う。子どもたちが外相会合を機に学んだことも多かった。国際交流員によるサミット出前教室、小中高生向けサミット副読本の配布など経済効果より教育効果をねらった仕掛けが目立った。
F 歓迎準備に小学生から大人まで加わり「手作りの国際化」が進んだ。二百五十人にのぼる通訳ボランティアも、地方の国際化を担う人材発掘につながった。
E シーガイアに合格点が付いたのは確かだが、県がいうシーガイアを目玉とした国際会議・観光都市づくりには限界がある。施設のりっぱさや大型会議誘致だけでは行き詰まるよ。成功熱が冷めないうちに新たな戦略を打ち出さないといけない。
|