歓迎人民日報社訪日団 人民日報社社長と西日本新聞社社長

◆ ◆ ◆ 人民日報社長ら本社訪問 友好関係強化で一致 ◆ ◆ ◆

 中国共産党の機関紙・人民日報の白克明社長ら代表団が二十六日、福岡市中央区天神一丁目の西日本新聞社を訪問、清水晃社長らと会談した。両社長は「友好関係をより一層進めよう」と述べ、関係を強化することで一致した。
 白社長ら代表団は外務省の招待で同日、来日した。白社長の希望で最初の訪問地に福岡が選ばれ、同日報華南分社(広東省広州市)と友好・協力関係にある西日本新聞社を表敬訪問した。
 会談で、清水社長が「二十一世紀はアジアの時代。地域報道の視点に立って、アジア報道に力を入れていきたい」と述べると、白社長は「中国では、上海でオンドリが鳴くと福岡で聞こえるといいます」と地理的にも近い福岡と中国の密接な関係に触れ、「両社の友情をより一層深めたい」と力を込めた。
 この後、玉川孝道編集局長が白社長に、中国の事件・人権報道や同日報の経営戦略などについてインタビュー。一行は新聞編集や西日本新聞のホームページの制作現場を視察した。
 白社長らは二十七日、麻生渡・福岡県知事や山崎広太郎・福岡市長を表敬訪問した後、東京へ向かい、三十日まで日本に滞在する。


白克明・人民日報社長に聞く 変革中国 重み増す報道 「腐敗」追及にも力
ネット速報、市民も参加

インタビューに応じる白克明・人民日報社長 =26日午後、西日本新聞本社 中国を代表する報道機関で、国際的にも大きな影響力を持つ中国共産党機関紙・人民日報が、情報技術(IT)革命の進展や経済の国際化など急速な変化の中で、自ら変革の道を歩み始めた。二十六日来日した白克明・人民日報社長に、これから同紙が目指す方向と改革の内容を聞いた。 (聞き手は西日本新聞編集局長・玉川孝道)

 ●国際ニュース強化
 ―人民日報の紙面が変わってきたようだが。
 「党機関紙として、党の考え方や政府の方針を伝えるのが重要な役目であるのは変わらない。同時に、中国を代表する新聞として、内外のさまざまな出来事を報道するという点では、世界の他のメディアと同じ任務を担っている」
 ―中国の社会が大きく変化する中で、一般の人たちが求める情報も変わってきたのではないか。その要求にどうこたえるのか。
 「情報に対する人々の要求は、二十年前と比べ大きく変わってきた。その大きな理由のひとつは経済の発展。特に対外貿易が伸びたためだ。一般の人たちも、国際市場や国際金融、海外の産業の状況についての情報が必要になった。他の国の暮らしぶりを知りたいという要求もある。人民日報も国際報道を強化しており、その中にはビジネス情報もたくさん含んでいる」
 ―中でも、海外の情報の需要はこれからも大きくなる。
 「海外の情報量をできるだけ増やしたい。今、日本を含め、三十三人の海外特派員を置いているが、まだ特派員のいない国が多い。経営改善に取り組み、多くの国に特派員を派遣したい」
 ―テレビやインターネットなど新しいメディアと、新聞の競争や役割分担をどのように考えるか。
 「新しいメディアは、新聞にとって手ごわい競争相手ではあるが、人間の生活習慣はすぐには変わらないものだ。新聞は生活に適応して発達したメディア。新しいメディアの登場は、新聞がよりよい形でさらに発展する道を考えるいい機会だともいえる」

 ●24時間情報を更新化
 ―マルチメディア化にどう対応していくか。
 「人民日報は新聞という伝統的なメディアとしての姿勢は保っていくつもりだが、現在、新たな経営計画を策定中だ。今後五年から十年の間に、単なる新聞から総合的なマルチメディアに発展していくだろう」
 ―具体的に着手しているものは。
 「一九九〇年代半ばにインターネット上でニュース報道をする『人民ネット』をつくった。中国大陸で初めてのインターネット新聞だ。二百人体制で二十四時間、ニュースを更新している。アクセスした人が参加できるフォーラムもあり、自分の意見を直接述べることもできる」
 ―人民日報以外の出版物は。
 「メーンの人民日報以外に十六の定期刊行物がある。国際ニュース専門の『グローバル・タイムズ』や経済・証券ニュースの『証券タイムズ』『マーケット報』、最近では『健康タイムズ』も出している。ほかに出版社もあり、CD―ROMやDVDの生産ラインも七つ持っている。将来的には電子ブックも考えている。今ないのはテレビ局だけだ」

 ●国民に事実伝える
 ―朱鎔基首相が、汚職追放に新聞社がもっと役割を果たすべきと発言するなど、事件に対するメディアの役割が問われているが。
 「反腐敗闘争で、メディアは大きな役割と責任を担っている。一つは腐敗現象を大胆に批判すること。もう一つは、事件が起きたとき事実を報道することだ。それは国民に正義を伝えることであり、犯人逮捕にもつながる」
 ―事件に対する市民の声は、どう掲載しているのか。
 「人民日報では、月に二―三回、地方の人々から寄せられた手紙で特集ページをつくっている。また、重大な事件に対する市民の反応を掲載した記者コラム『社会観察』も設けている」
 ―成果はあったか。
 「一例だが、去年『社会観察』で、貴州省のある県の行政官の詐欺事件を暴露した。記者は(当局から)大きな圧力を受けたが、事実であれば(市民からの)インタビューは載せると答え、実際に掲載した」
 ―その後、どうなったか。
 「結果的には、国務院から高く評価された。なぜなら(司法機関が)現地に人を派遣して調査し、記事の正しさが証明されたからだ。ただ、腐敗を暴くのは難しい。腐敗の当事者が、なんとか報道させないようにしようとするからだ。党中央も、腐敗を暴く活動を支援してくれている」
 ―先日、われわれが広州市を訪問した際、現地の記者の取材方法や司法機関の事件処理方法なども調べた。現地の日本人からは、司法制度が分かりにくく不安だという声もあったが。
 「私たちは法治国家を打ち出している。捜査は公平でなくてはならない。今は、裁判も公開されており取材にも行ける。もし、審理で事実と異なり不公平だと感じたら記事を書く。ただ、司法に干渉することはできない」
 ―実際にそのような記事を書いたことがあるか。
 「人民日報の意見と判決とが違うと、裁判所から手紙が来たことがある。私は二つのことを答えた。一つは、司法に干渉するつもりはないこと。もう一つは、報道の中身が事実だったかを調査するということだ」
 ―記者も、そのことを認識しているのか。
 「正直に言うと、わいろをもらって記事を書く者もわずかだがいる。だが、大部分は事実報道に取り組んでいる」

 ●発展の中、法治強化
 ―中国に対する外国の目が変わってきている。特にブッシュ政権誕生後、人権問題などをめぐり米中関係がぎくしゃくしているようだが。
 「実は江沢民国家主席が先週末、米ワシントン・ポスト紙の取材を受けた際、同席した。中米関係については江主席がすべて答えた。その内容はポスト紙と人民日報紙上で掲載している」
 ―人民日報として中国の考え方をどう伝えていくつもりか。
 「中国が日本を含む列強大国に支配された二十世紀前半に、基本的人権があっただろうか。人権問題は中華人民共和国誕生後、格段に改善されたことは、偏見を持っていない人には分かってもらえると思う。もちろん中国は発展途上国なので、発展の中で法治を強化していくことは重要なことだ」
 ―気功集団「法輪功」についてはどう考えるか。
 「法輪功は邪教だ。中国の伝統的な気功の名を借り、参加すれば健康になるような間違った考えを与えている。焼身自殺に追い込んだりもしている。邪教からできるだけ多くの信者を救済するよう努めたい」

白 克明氏(バイ・コーミン)ハルビン軍事工程学院卒。国家教育委員会弁公庁に勤務した後、89年に国務院研究室教科文衛局長。93年から、中国共産党中央宣伝部秘書長、同副部長(次官)などを歴任。2000年3月に党中央委員会弁公庁副主任(大臣級)に就任、同年6月から人民日報社長を兼務。57歳。


◆ ◆ ◆ 部数300万、大きい影響力 分社設立で地域密着化 人民日報 ◆ ◆ ◆

 人民日報は一九四八年に創刊された中国共産党の機関紙で、中国国内で最も影響力があるといわれている。本紙のほか、華東版、華南版、海外版を発行。東京など海外にも支局を開設し、発行部数は約三百万部。世界の十大新聞のひとつに数えられる。インターネットでは、中国のニュースを日本語などで掲載。一日約百万件のアクセスがある人気サイトとなっている。
 華南版を発行している人民日報華南分社は、九七年七月、広東省の省都・広州市で発行を開始した。中国の新聞社間の競争は激しく、人民日報は、華南分社設立で経済成長が著しい同地区の地域ニュースの拡充を目指している。発行エリアは広東省、海南省、マカオ、香港などで、販売部数は約三十万部。
 華南分社の社員は約百十人。高層ビル内のオフィスに、采訪(取材)部▽専刊(特集)部▽整理部―などの組織が入り、記者はパソコンで原稿を書き、取材先から携帯電話で記事や写真を送信するなど日本の新聞と同じように情報技術(IT)化が進んでいる。

   西日本新聞社と人民日報の交流
1998年 4月 西日本新聞の訪中団が北京で人民日報華南分社と提携・交流関係を締結
  99年 4月 人民日報華南分社の代表団(団長・劉景山副社長)が西日本新聞社を訪問。編集局や製作センターを見学した後、北九州市の環境産業などを視察
  99年11月 人民日報の邵華沢社長や人民日報華東分社の周端金社長らが西日本新聞社を訪問
2001年 2月 西日本新聞社の代表団が初めて、華南分社を訪問
      3月 人民日報の白克明社長らが西日本新聞社を訪問

2001年3月27日掲載