近頃の「マナー」って…?

最近、メディア部に数通のメールが寄せられた。
公共の場におけるマナーに関するものだ。
電車の中での携帯の使用、人前での化粧、などなど。

◇       ◇
近頃はどこででも見られる光景。
どこまでが許され、どこからが許されないのか。
以前には見られなかった風景が目に入ったとき、
どんな反応をするのが「常識的」なのだろう?
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車内に例をとり公共の場で何が問題視されているのか、関連記事を紹介する。

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 【ケータイON】  ”バスター”登場
*** 2000/12/19 ***
 「いつまで話すつもりだ」。

 福岡県久留米市から福岡市まで電車で通勤する会社員、浩司(36)は、車内で携帯電話を使用する人に、いつもイライラさせられる。「今日こそはこれを使おう」とスーツの内ポケットを探り、ある機器のボタンに手をかけた。だが迷った末、結局押さなかった。

 浩司が持っているのは通称“携帯バスター(破壊者)”と呼ばれる商品。福岡市内の電器店で、八千円で買った。ライター大で、ボタンを押すと妨害電波を発信し、半径約二メートルの携帯電話を不通にする。効果は自宅で実験ずみだが、外で使ったことはない。無線に詳しい同僚から「電波法に触れないか」と指摘されたからだ。

 九州電気通信監理局はこの種の機器について「使用電波が微弱なので、違法かどうかは微妙」としながらも「通信を阻害されたことで重大な損害が生じれば、罰則が適用される」と付け加える。東京の喫茶店が、携帯で話し込む若者が増え「客の回転が悪くなった」と強力な妨害装置を店内に設置したところ、電波法違反として撤去させられた例がある。

 製造業者によると、この小型の機種は今年秋に登場した。満員電車で通勤する首都圏のサラリーマンに需要が多い。業者は「法律的には問題ない」と言う。

 浩司がこの機器を使わないのは、法律うんぬんではなく「もし本当に緊急の話を邪魔したら申し訳ない」と考えるからだ。その思いやりは、携帯で話し続ける人にはわからない。 =文中仮名(精)

 【四季】 車内化粧族
*** 2000/10/19 ***
 福岡市地下鉄のマナーポスターで「最近の若者、乗車態度、ワガママ、なんとなくイヤじゃないですか」のコピーを見た。なんとなくイヤどころでない。電車やバスの中で激怒寸前になることが多い。

 幼児が座席で飛び跳ねていた。隣の乗客が不愉快な表情をすると、若い母親が「静かにしないと隣のおじさんにしかられるよ」と、しつけ? したのにはあぜんとした。しかられなければ座席に仁王立ちで体操をしてもいい、というしつけ哲学のママである。

 こんな母親の子なのだろうか、満員の車内で堂々と化粧をする女性が出現している。『平然と車内で化粧する脳(扶桑社)』で著者の脳科学者は「電車内で化粧する女は一種の脳機能障害」との新説を述べている。脳障害と思われたくなくて公衆の面前での化粧を自粛するだろうから、この本は車内化粧族を一掃するのに有用かも。

 総合雑誌に「なぜ人を殺してはいけないのか、と子供に聞かれたら」の特集があった。大変な世の中である。なぜ車内で化粧してはいけないのか、説明しても理解できない人種の時代になったようだ。 (歩)

 【デスク日記】
*** 2000/10/7 ***>
 所構わず携帯電話を使い、電車内で化粧をする。「最近の若いのは…」と嘆息していたら、そんな行動を脳科学で分析した「平然と車内で化粧する脳」(扶桑社)という本が目に留まった。「彼らは周りを気にする脳の働きが機能していない。一種の障害とみられる」と解く。

 ヒトはサルと違い体毛が薄いなど、幼児期の特性のまま成長する。それは「幼形成熟」と呼ばれ、逆に言えば、ヒトの脳の成長は長期間に及ぶ。つまり、学習によって賢くなっていく。日本人は戦後、そんな脳を育てるのに確立していた子育て環境や食習慣を「欧米化」によって自ら捨て去り、未熟さだけが助長された―というのだ。

 家庭・地域社会の豊かな人間関係、魚や野菜中心の食文化が脳に良い刺激を与えるという分析。森首相の教育基本法改正論より、よほど説得力がありはしないか。生活の見直しがまずは必要なのかもしれない。 (木)

 ▼読書[新刊]  「平然と車内で化粧する脳」 澤口俊之、南伸坊著
 下着が見えても平気で、電車内で化粧するのも平気。不可解な若者が増えているが、科学者の結論は明解。周囲を「気にしない」のではなく、脳の機能障害のため「気にできない」のだ―。大学教授が人気イラストレーターの素朴な疑問に答える、モンゴロイドのための脳科学。 (扶桑社・一五二四円)
 【気流】
*** 2000/9/3 ***
 電車やバスに乗ると、携帯電話はほかのお客さんの「迷惑」になるからかけないようにとアナウンスがある。この場合の迷惑は、医療機器への影響も含む。ところが、一部の女性たちが化粧バッグを開いてメーキャップに没頭する行為は放置されている。周囲の人にとって、携帯電話ほどの不快感はないということなのだろうか。それとも、個人のマナーの問題で介入はなじまないということか

 「車内化粧」に対しては、公の場での行為として恥ずかしいという指摘は多い。擁護する声はまずない。なのに、なぜ横行するのか

 「玩物喪志(がんぶつそうし)」という言葉を思う。人をもてあそべば徳を失い、物をもてあそべば志を失う。車内化粧は、社会が叱(しか)るという「愛」を失った結果か。周囲が見えない女性には、社会の「一喝」が必要だ。

 【デスク日記】
*** 2000/8/11 ***
 満席も気にせず、一心不乱に化粧を直すOL。ホームに座り込んで動こうとしない高校生グループ。車内でお茶のペットボトルを高々と掲げ、らっぱ飲みする主婦まで見かけた。

 前任地の米国から戻り、電車通勤するようになって一カ月。うわさには聞いていたが、そんな光景を目の当たりにすると、やはり驚く。戦後広まった米国流の個人主義が行き着くところまできたという見方もあるという。それは、どこかではき違えられたようだ。

 米独立記念日の夜。首都ワシントンの地下鉄は花火見物帰りの市民でいっぱいだった。その電車に若者たちが乗り込もうとした瞬間、車内から一斉に声が上がった。「次のにしなさい。赤ちゃんもたくさん乗っているでしょう」。もちろん化粧直しなど見かけたことがない。

 本場では公の場での立ち居振る舞いと個人主義は、きちんと使い分けられている。 (恵)

 【気流】
*** 2000/6/13 ***
 「若者よ、雨が降ったら、出かけよう」と、テレビでおなじみの編集者、山田五郎さんが提唱している。NTTドコモ提供の「ひさしぶりに正論」シリーズ第二弾だが、今回のテーマはマナーと目的意識の関係

 たとえば、日常茶飯事と化した電車内で人目をはばからずお化粧する若い女性。行為の背景には目的意識の欠如があると、山田さん。どんな目的であれ、社会の中で実現させようと思えば他人の「理解」と「協力」の大切さが身にしみてわかる。目的と向上心をもつ人は素敵(すてき)にならざるを得ない

 山田さんは「目的意識さえあれば、雨の日の外出も苦にならない」と言う。営業マンは「ヤル気」を訴える好機だし、電車に乗るときは傘の滴(しずく)を払うことも心がける。マナーを守ることは、自分を大切にする心の反映ということか。

 新大学生「これだけは欠かせない」 
   3種の神器は携帯、パソコン、テレビ
*** 2000/5/30 ***
 いまどきの大学生に欠かせないのは「コンビニ、書店、現金自動預払機(ATM)」。卒業後の進路は、男子は「安定」、女子は「キャリア」志向―。東洋大(東京)が今春の新入生を対象に行ったアンケート調査「新・大学生の生活感」で、こんな現代大学生像が浮かび上がった。

 調査は、ライフスタイルや社会への関心などについて、同大社会学部の学生を対象に実施、六百六十四人(男子二百九十五人、女子三百六十九人)が答えた。

 大学生活に必要な“三種の神器”は(1)携帯・PHS(2)パソコン(3)テレビ―の順。必要な施設や店ベスト3は(1)コンビニ(2)書店(3)ATM―で、以下「図書館」「ドラッグストア」「病院」「ファストフード」と続く。同大は「ひと昔前の学生街のイメージとは異なり、より自由きままでドライになっているようだ」としている。

 また、電車内のマナーについて、「地べたに座り込む」「携帯の長電話」について約六割が「許せない」としたが、「車内の食事、化粧」は約六割が「許せる」と回答した。

 相次ぐ少年犯罪に関連して、「凶悪な少年犯罪の実名公開」には七五パーセントが賛成したが、「大学生は大人か子どもか」という問いには、四割が「子ども」と答えるなど、ちぐはぐな面も。

 さらに卒業後の進路は、男女とも「一生勤められる企業への就職」を約四五パーセントが求めたが、「資格を取得し、転職をしながらキャリアアップをはかりたい」という志向は、女子が男子を一二ポイント上回った。

 【四季】 一億総携帯
*** 2000/4/5 ***
 家庭の三種の神器が「洗濯板、七輪、木炭」の時代を知らない世代に「取次電話」は完全に死語だろう。昔、向こう三軒両隣に電話が一台だったころ、「お隣の番号」に「取次」と注書しわが家の「電話」として利用した。ささやかなお中元とお歳暮で、お隣は「取次」の労を厭(いと)わなかった。文字通り、隣は何をする人ぞ、の現代、想像もできない手のぬくもりのある隣人関係である。

 貴重品だった固定電話が登場してから一世紀、今や移動電話の時代になりつつある。二月末で携帯・PHSなどの加入台数は約五千五百万台で、普及率は約四四パーセントで、三月の統計では固定電話を上回ると予想される。

 公共交通機関で携帯使用は迷惑だからご遠慮を、の車内放送が多い。しかし、迷惑や遠慮が死語化しつつある今、馬耳東風で携帯に淫(いん)する。国会でも審議中の携帯騒音に手を焼き、使用禁止を徹底することになった、良識の「負(ふ)」である。一億総携帯の今、人々は歩きながらの携帯三昧(ざんまい)がファッションだ。「見栄っ張り携帯電話で時報聞き」という流行あやかり族も多いのではないか。 (歩)

 【デスク日記】
*** 2000/1/29 ***
 電車の中での携帯電話は、なくなるどころか、もはや“定着”してしまったらしい。電子音の「着信メロディー」が突然鳴りだし、読書を中断させられるのは毎度のこと。「今、電車に乗ったとこ。今、座った」と、自分の行動を実況生中継(?)しながら乗り込んできた人もいたからビックリする。
 先日、朝刊の編集作業をしていると、通信社からこんな記事が送られてきた。大手私鉄の乗客アンケートによると、車内の迷惑行為は「携帯電話の使用」がトップ。「座り方」「荷物の置き方」など二位以下を大きく引き離したという。
 この記事を使いたかったのだが、あいにくこの日は事件事故など生ニュースが多く、紙面に余裕がない。結局、掲載は見送らざるを得なかった。しかし、その後も、車内で「着メロ」を聞くたびに「あの記事使えばよかった」と、つい思い出してしまう。 (尾)