福岡異常渇水から23年
福岡市が節水型都市を目指す契機となった一九七八年の異常渇水から、今月で二十三年。この間、同市が“即効薬”として普及させた「節水コマ」が最近、家庭の蛇口から消えつつある。従来の「ひねる蛇口」より便利な「レバー式蛇口」が主流になり、節水コマが使えなくなったためだ。レバー式は簡単に水を止めやすい、と同市も奨励しているが、節水効果を疑問視するデータもある。膨らみ続ける百三十万都市にとって家庭の節水は生命線。蛇口の変化から、現代の節水事情について頭を“ひねって”みた。


レバー式に押され 試算は年1000リットルの差 実際は少ない変化

23年前の渇水を機に
福岡市が普及させた節水コマ

節水コマが使える従来の蛇口
節水コマは、通常のコマに代えて蛇口内に取り付け、蛇口から出る水の量を抑えるもの。特に、比較的長い時間出しっぱなしにする台所で効果を発揮し、使用量は最大半減する。同市は異常渇水を体験した七八年から無料配布し、一時は九割前後の家庭に普及。福岡を参考に渇水対策を始めた全国の自治体にも広がった。
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 しかし、約十年前からレバーの上げ下げで湯水を出すタイプの蛇口が急増。今は新築や建て替え住宅の台所は「ほぼ一〇〇パーセントのシェア」(給水栓メーカー)という。同市も九〇年から、レバー式蛇口は(1)温度や水量を調整しやすい(2)止水が簡単―などの理由で「(節水コマと)同様の効果が見込める」と奨励を開始した。  果たしてどちらが節水に効果的なのか。メーカーが四人家族で試算したデータによると、レバー式の節水効果は年間一万一千リットルで、年間一万二千リットル節水できるという節水コマより一千リットル少ない。これでいくと、世帯数が六十万近い福岡市全体では、かなりの量の水がムダに流れる計算になる。  節水蛇口の効果を調べた日本水道協会などによると、レバー式は節水コマと比べると、湯沸かし器に点火するため水量を抑えられないほか、「操作が簡単な分、水を出し過ぎる面もあり、市民の節水意識がより問われる」との結論だ。  ただし、現在のところ、家庭使用量でみた市民一人当たりの一日平均使用量は、九四年からの断水もあって、この十年間二百リットル前後で推移しており、節水コマの減少が水使用量を大きく増やしたデータはない。  都市圏の水資源問題に詳しい九州大工学研究院の河村明助教授(環境システム)は「節水型都市といわれる福岡市では、事業用水は節水が進んでいるものの、家庭での一人当たりの平均使用量は同規模の都市とほぼ同じ。『レバー式には節水コマは入っていません』と逆にPRすれば、市民が水量調整に配慮するきっかけになるのではないか」と提案している。

西日本新聞社 2001/05/08掲載
▼福岡市水道局


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