| 連載 閉山のあと・池島 暮らしは続く |
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1.ごみ大量投棄の懸念 2.自然回復夢見る住民 3.しのびよる心の問題 4.企業誘致、望みつなぐ 5.再出発へ試練のとき |
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12/12 朝刊掲載
■猫たちの住みか 池島港桟橋近くの岸壁に無人の車が十数台。ヘッドライトや窓ガラスが割れ、車内にはごみが捨てられている。ほとんどの車にはタイヤやナンバープレートがない。「いつのころからか島を出ていく人が乗り捨てていった」(近くの住民)放置車両だ。 炭鉱アパート近くの空き地にも、雑草に埋もれるように、所々さびた車両が数台。住みかにしているのか、猫が数匹、走り抜けていった。 三学期が終わる来年三月には、住民の多くが島を離れ、引っ越しラッシュが始まる。車をはじめ冷蔵庫、エアコン…。大量のごみ投棄を心配する声は少なくない。 一九七四年に閉山した高島町端島は、今でも粗大ごみが放置されたままだ。「無人化が決まっていたため、所有者の三菱石炭鉱業(当時)も黙認していたのではないか」(同町)という。しかし、池島には住み続ける人たちがいる。 ■隠して出ていく 「うちは一階やけん、畳ばはがせば深さ一メートル位の空間があるとさ。古かエアコンやらは、そこに隠せるけん」。年明けにも島を離れる炭鉱アパートの住人は、そう打ち明けた。 今年四月、家電リサイクル法が施行された。テレビや冷蔵庫などの廃棄家電製品は有料で販売店等に引き取ってもらわねばならない。 池島の場合、エアコン一台の運搬料は三千百五十円。リサイクル料を含めると六千八百二十五円にもなる。メーカー指定の引き取り場所がないため、運搬料は離島を除いた県内平均の約二倍。職をなくした元炭鉱マンには重い負担だ。 作業着は炭で真っ黒になるため、洗濯機を二台持っている家庭も少なくない。元炭鉱マンは、はき捨てるように言った。「先の暮らしも見えんとに、リサイクルやらに金をかける余裕はなか」
「町で処理してくれないか」「運搬料だけでも支援して」―町役場には業者からの切実な訴えが相次いでいる。 島内の電気店員(38)は「家庭用よりもっと深刻なのは業務用大型電気製品」と話した。島には現在、約三十の小売店があるが、外海町のアンケートによると、「島で営業を続ける」と答えた業者はわずか三店。大半の店が廃業する見込み。「業務用冷蔵庫だけで島内に六十個近くあるはず。再利用するにしても運搬料はかなり高くつく」と店員も心配顔だ。 「法律は守ってもらわないといけない。不法投棄や放置車両のパトロールも検討する」。外海町幹部はこう言いつつも「負担を少しでも軽くすることはできないか」と頭を悩ませる。法の執行者の一方で、同じ町の住民でもある。心が揺れ動く。 ヤマの始まりから終わりまで見てきた島生まれの男性(61)は「『石炭の島』の次は『ごみの島』では笑い話にもならん」とつぶやいた。リサイクルという時代の要請が池島に新たな難題を突きつけている。
池島炭鉱(外海町)が閉山した。千人が職を失い、島には仕事と生活補償を求める人たちがあふれている。やがて人口の流出が始まり、商店は閉鎖する。石炭の島は消えた。しかし、島の“肩書”は変わっても人々の営みは続く。再出発する池島をリポートする。
写真説明/桟橋近くに放置された車。大半がナンバープレートを外されていた▲
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