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■定期1000万円超戻る例も 外貨預金はすべて対象外■
Q 預金の種類によってペイオフが始まる時期が違うようだが。
A そうなんだ。ペイオフは今年四月からと、来年四月からの二段階に分けて実施される。第一弾は貯蓄性の高い定期預金、定期積み立て、貯蓄預金が対象。〇三年四月から、普通預金や当座預金など日常的な資金の出し入れに使われる流動性預金にも広がり、ペイオフが全面実施される見通しだ。
Q どんな金融機関が対象になるの。
A 預金保険機構に加盟する国内の銀行、信用金庫、信用組合などが対象。農協や漁協は預金保険機構には加盟していないが、農水産業協同組合保険制度があり、ほぼ同じ仕組み。四月一日から定期貯金などの払い戻し保証額が元本一千万円とその利息までとなる。
Q 外国銀行の預金はどうなるの。
A 外国銀行は預金保険機構に加盟していないから保護の対象外。このほか、日本の金融機関の海外支店の預金や外貨預金も保護されないので注意が必要だ。
Q 一千万円を超える預金は全く戻ってこなくなるの。
A いや違う。例えば三千万円を預けていて、二千万円がすべて戻ってこないということはまず起こらない。一千万円を超える預金の払い戻しについては、破たんした金融機関の資産状況に応じて支払われる。資産の痛み具合や自己資本比率の大きさによって預金のカット率が変わってくる。
Q もっと分かりやすく言ってよ。
A 破たんした金融機関が資産を売っても負債を返済しきれない状態を「債務超過」というが、一千万円を超える預金については、債務超過の割合と同じ比率の預金がカットされる。例えば、九七年十一月に破たんした北海道拓殖銀行の場合はカット率が約二割、九九年十月に破たんした新潟中央銀行は約三割が削減という具合だ。
Q ずさんな経営のツケが預金者に回るわけだね。
A そう。四月以降は外貨預金などのカット率も一千万円超の定期預金と同じ。カット率の確定には破たん金融機関の財務内容を精査する必要があり、ある程度時間がかかることを覚悟する必要がある。
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■家族名義に移し替えたら「贈与税」かかるケースも■
Q 預金を守るための具体策を教えて。
A 銀行ごとに預金を一千万円以下に分散するのが一般的だ。
Q 管理が面倒になるね。
A うん。五千万円の預金がある人なら五つの違う銀行の口座が必要。とりあえず定期預金を普通預金に移し替え、一年間様子を見る人も多い。預け入れが無制限で国が全額保証する郵便局の郵便振替口座を使う人もいるが、これは利子がつかない。国債や金などを購入して資産のリスク分散を図る人もいる。
Q 同じ銀行に家族名義で口座をつくった場合はどうなの。
A 単なる名義の借用は保護対象外の扱いなので移し替えた預金は保護されない。ペイオフ対策で家族名義に分散すれば、財産の「贈与」とみなされ、贈与税がかかる恐れがある。
Q 贈与税っていくら。
A 年間百十万円までは課税対象ではないが、それを超す分は一人につき五百万円で七十万円、同じく一千万円なら二百六十万円の税金がかかる。
Q えっ、そんなに。
A 移し替える金額が大きくなるほど税額が増えるので、家族への預金分散が割に合うのかどうかを判断してから、移し替えを行う必要がある。
Q 金融界は再編が激しいけど。合併の場合はどうなる。
A 複数の銀行が合併した場合は各行の預金が合算され、一千万円を超える分は保護されない。一方、複数の銀行が金融持ち株会社の傘下に入るケースは別々の金融機関とみなされ、それぞれ一千万円と利息が保護される。
Q 預金を守るのも大変だね。
A 最終的には、健全な金融機関を預金者が見極める目を養うことが重要だ。金融機関のディスクロージャー(情報開示)誌は支店の窓口でも入手できるので、自己資本比率や不良債権の状況を調べるのも方法のひとつだ。
自己資本比率は、海外業務を行う金融機関は8%以上、国内だけなら4%以上が健全性の基準。株価を見たり、インターネットで格付け会社の格付け情報を調べたりするのも手だろう。
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■預金とローンの相殺可能 ただし自ら申し出ること■
Q 預金をしている金融機関が万一、破たんしたときはどうすればいいの。
A ほとんどの金融機関で、借入金と預金を相殺できるから、知っておく必要がある。
| 主な海外諸国のペイオフ |
| あき | 1預金者当たりの支払い限度額 |
| 米国 | 10万ドル(約1340万円) |
| 英国 | 2000ポンド(約38万円)までは全額保護
2000ポンドを超える分は90%ただし3万1700ポンド(約614万円が限度) |
| ドイツ | 預金の90%2万ユーロ(約236万円)が上限 |
| フランス | 7万ユーロ(約236万円) |
| 韓国 | 5000ウォン(約505万円) |
| (為替は3月26日現在) |
例えば、破たんした金融機関に定期預金が二千万円、住宅ローンの借り入れが一千万円ある場合は借入金と預金を相殺して住宅ローンを消すことができる。残りの一千万円の定期預金はもちろん全額保護される。
Q それはいいことを聞いた。
A ただ、注意してほしいのは、銀行などが自動的に相殺を行うわけではないから預金者が必ず自分から破たん金融機関に申し出ることが必要だ。自分から何も言わないと、相殺されないと考えていい。
Q 「うちには預金が一千万円もないからペイオフは関係ない」という人がいるけど。
A 必ずしもそうとは言えないんだ。金融機関が破たんした場合、処理の手続きが終わるまで現金が引き出せなくなるケースも出てくる。期間が長引けば、預金保険機構から一人当たり最高六十万円までの仮払金が出るが、子供の入学金や結婚資金など予定していたお金がすぐに引き出せず、当座のお金に困るケースが生じる恐れがないとも言い切れない。
Q マンションの管理組合の預金も問題になっているが。
A これも要注意事項だね。マンションの管理組合は、一預金者とみなされるため、定期預金は一千万円と利息を超える部分は保護されなくなる。数百戸単位の大型マンションの場合、積立金は優に一千万円を超える。もし、預けた金融機関が破たんすれば、マンションの修繕資金に損失が生じるため、生活への影響は大きいよ。
Q どう対処しているの。
A 預金の分散や普通預金への移し替えなどで当面の対策を講じている組合が多いようだ。銀行選択などは、理事会だけでは決めてはいけない。もし、マンションの修繕資金がなくなる事態に陥れば、理事会を相手にした訴訟問題にも発展しかねないからだ。だから住民全員の意思が反映される総会で決議することが欠かせない。
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▼預金保険制度 1971年に預金保険法が成立し、政府や日銀などが預金保険機構を設立。金融機関の保険料を元に破たん金融機関の預金払い戻しや清算するペイオフ実施を担う。71年の保証限度額は100万円で74年300万円、86年1000万円。00年の預保法改正で1000万円とその利息までとなった。バブル崩壊後、金融機関の破たんが相次いだため、政府は96年から5年間ペイオフ実施を凍結。その後、1年間延長され、02年3月末までになった。預金者保護のためにこれまでに約9兆円の税金が投じられており、政府は国民負担を減らすため、解禁に踏み切る。71年以降、日本でペイオフが実施されたことはまだ一度もない。
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