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本紙97年6月18日・朝刊紙面より FUKUOKA経済 流通戦争−眠らぬ街へ |
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客や店員で反応さまざま 平日午後八時半のキャナルシティ。各店舗の営業時間が延長され、施設内には人、人、人。ベンチに座り会話を交わす若いカップルや、仕事帰りにふらりと立ち寄ったOLなどさまざまだ。夜遅くまでサービスを提供するお店と時間延長に対するお客さんの声は「夜型社会」を共有する新たなルール作りを求めているようにも聞こえる。 四十代の男性―「朝開店する時間を遅らせてもいいからもっと夜遅くまでやってほしい」。老若男女四人連れ―「六時からずっといるが退屈しない。ホテルでの食事、ショッピング…。夜のキャナルはベニス(ベネチア)みたいだわ」。 OL二人連れ―「人が多くていい感じ。仕事の後に食事してから来るのにちょうどいい」。 キーホルダーショップ店長―「映画を見る前に来る人が多い。売り上げは伸びた。このままいくと二十四時間やるかもしれない。その時は治安や賃金の問題が出てくるだろう」。 植物店のアルバイト学生―「九時以降は生活のリズムが狂うのでやめてほしい」。 ある店の店長―「売り上げが伸びているという実感はない。本音を言えば八時までで十分だった」。 なるほど予想通りだが、それぞれの立場で意見は違う。では福岡の夜の変化は社会的にみてどういう意味を持つのか。流通経済の専門家である福岡大学商学部の阿部真也教授に話してもらった。 ●便利だが労働環境にはマイナス、福岡大商学部・阿部真也教授 確かに夜遅くまで大型店・施設が営業しているのは消費者にとっては便利だろう。だが、従業員からすれば労働環境という点でマイナスだ。経営者も、従業員に支払う超過勤務手当などを考慮すると採算がとれるかどうか分からないのでは。地元の中小商店は家内労働的な側面が強く、大手の時間延長にはついていけないケースも多いはずだ。 背景には大規模小売店舗法の緩和がある。また、コンビニエンスストアへの対抗措置でもある。 メリットを挙げるならば、福岡が国際観光都市として認められるのに役立つことだろう。今後こうした動きが増えナイトライフの比重が高まって来る可能性もある。だが、欧米と違い、男性の労働時間の関係で夫婦で夜の街を楽しむところまではいっていないのが現実だと思う。 |
仕事帰り楽しさ充実 流通戦争の最前線―福岡市・天神地区では専門店や百貨店など午後八時まで営業する所も増えてきた。「福岡の夜」といえば、仕事帰りにOLなどが行ける場所は意外と少ないというのが通説だが、いまや二十四時間型社会の到来。夜遅くまで働く人がショッピングなども楽しめる営業時間の延長は大きな流れになっているようだ。▽百貨店マンの願い 「ふくろう宴会」という変わったネーミングで福岡東映ホテル(同市・渡辺通り)は五月上旬に新商品を売り出した。午後九時からでも宴会ができる「業界初」(同ホテル)の試みという。 この新商品を思い付いたきっかけはまさに夜型社会を反映している。「営業時間が延びたら、ますます宴会する場所を見つけるのが大変」。百貨店マンの願いを営業担当は聞き逃さなかった。午後十一時までの二時間で一人五千円(飲み放題)の企画を発案、調理場も協力を約束した。PR不足もあって、実際には開かれていないが、中元商戦決起集会に地元デパートから予約が二件入り、企業からの問い合わせも多い。 ▽今までと違う客が 同ホテル営業課の江田敏明さんは「天神は確実に夜型化している。他のホテルとの差別化も狙った」と話す。流通とホテル。厳しい競争を展開する二業界の接点からアイデアは生まれた。 一方、三月から営業時間を午後九時まで延長したのはショッパーズダイエー福岡店。松下和夫支配人は「今までとは違うお客さんが来る。日用品以外の化粧品や紳士服が売れる」と手ごたえを感じている。 午後八時以降の同店では「単身赴任なのでカーテンを買いに来た。仕事が八時にしか終わらないので助かる」「七時に終わり一時間かけて飯塚から来た」など確かに以前には来られなかった人が目立つ。 ▽家族連れも対象にキャナルシティ博多も今春三月から、飲食以外の店舗を午後九時まで営業、閉店を一時間延長した。九時すぎから始まる施設内の映画館のレートショーまで、食事やショッピングを楽しめるようになった。 キャナルシティの運営会社であるエフ・ジェイ都市開発の丸岡克之課長は「これからは夜も家族で楽しめるようにしたい」と話す。オヤジの夜は中洲、息子は親不孝通りという”博多の伝統”は崩れ去ろうとしているのか。 「街で夜と昼の境目がなくなってきた結果、夜のいかがわしさが消え健全なものになってきている」。ダイエーの松下支配人の分析は、深夜のコンビニでなぜか楽しそうにしている若者たちを見ていると、うなずけるものがある。 |