地方自治体の抱える諸問題について 
 
   


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趣 旨
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 1.財政の健全化  

〜危機にある財政を立て直すには、一体どうしたらいいんだろう〜
 ● 財政の悪化  国、地方自治体の財政危機については、最近よく新聞やニュースによって報道されているので、状況がかなり深刻であることはご存じだと思う。国、地方自治体の借金は、総額600兆円を超えるといわれ、地方自治体財政の借金だけでも、190兆円近くにもおよんでいる。なぜ財政が悪化するのかというと、収入額より支出額の方が大きい状態が、慢性化しているということにつきるだろう。
 具体的には、減税や不況により税収は減少し、貯金にあたる「基金」は底をつき、多額の借金を抱えている状況にある一方で、行政施策のための支出は増える傾向にある。
 そして、この状態を放っておくと、どのような地方自治体であれ、いずれ「財政再建団体」に転落ということになる。財政再建団体に指定されると、国の管理下で財政再建を目指すわけだが、独自事業が廃止されたり、経費カットのための具体的な指示まで行われることとなり、自治権が大幅に制限される。民間企業であれば「和議」の適用を受けたようなものであり、経営者(知事)は交代せずに、債務返済を繰り延べしてもらいながら、経費節減をはかり、経営を立て直す(財政再建)こととなる。
 今は、財政再建団体の指定を受けている地方自治体は、福岡県にある赤池町だけであるが、このままいくと、かなりの数の自治体が指定を受けてしまうのではないか。深刻な財政危機にある地方自治体数は、1800以上ともいわれる。都道府県は、実質収支の赤字額が財政規模の5%、市町村は同20%を超えると地方債の発行ができなくなって、事実上、財政再建団体の指定を受けることとなり、概ね7年以内に収入と支出が均衡する「財政再建計画書」を自治大臣宛に提出して再建を目指すこととなる。そして、この計画書は納税者である地域住民にも公開され、計画の中身が適当かどうかについて、厳しいチェックを受けることになる。

 ● 再建への道   それでは、深刻な財政を再建し、財政再建団体への転落を避けるためにはどうしたらいいのだろうか。
 一言でいうと、収入を増やし、支出を減らすしかない。頭ではわかっているけれど、なかなか実行できないでいるのが実態だろう。税収は、減税や景気低迷のあおりをモロに受けて減る一方、支出については、過去に発行した地方債(借金)の返済、景気対策のための公共事業などのため膨らむ一方である。景気は底を打ったといわれるが、本格的な景気回復にはほど遠く、もし景気が回復したとしても、税制改正でもない限り、すぐに税収が潤う状況にはない。
 つまり、支出をどのように減らしていくか。いかにお金を有効に使うか。少ない予算でどれだけの大きな効果をあげられるようにするか。それが大きな意味を持つようになるだろう。経費のかからないシステムをつくることが必要である。このことは、行政改革を抜きにしては考えられない。組織の体系を見直すことで、統合できるものは統合する、事務事業を見直し、ムダを徹底的になくす、民間企業などに委託しても差し支えないものは、思い切って委託するなどの対策を取らなくてはならない。
 よく、税金のムダ使いという言葉を聞くが、率直にいって思い当たる節はある。官公庁が、各年度の支出は、原則として、その年度中の収入で手当するという、単年度主義を採用しているのが大きく影響していると思うが、それは内部にだけ通用する論理でしかないだろう。制度がおかしいのであれば、制度を変えるしかない。そうしなければ、いつまでたっても批判を受け続けることになる。
 また、別の要因として、地方交付税制度のもたらす弊害があると思う。地方交付税とは、誰でも受けることのできる基本的な公共サービスを、日本中のどの地域に住んでも皆が等しく受けられるよう、国が人口や面積に応じて各自治体あてにお金を配分する制度である。 この制度の問題点は、税収力が弱くても、国が収入不足を補ってくれるということではないだろうか。自前での資金調達力の弱い地方自治体の収入は、地方交付税により潤っている。その結果、経費節減への努力を怠りがちとなってしまっている。
 私は、地方交付税の、これまで果たしてきた役割を全く否定するものではないが、これからは、地方自治体が自立しなくてはならない時代であり、地方交付税は、地方自治体の課税自主権の確立を実現した上で、段階的に縮小していき、最終的には廃止するべきだろう。