19991222付 朝刊
1.福岡県/福岡市の大規模10事業点検 見直し経過 明示されず 財政再建に即効性なく
二十一日に最終方針が明らかになった福岡市の大規模十事業の見直し・点検作業は、最後まで「どこを」「どのように」見直したのか、結局、分からないままに終わった。点検結果は来年度予算編成に反映されるが、現時点の市費削減効果は九十七億円と、想定総事業費(一兆千八百六十七億円)の〇・八パーセントにとどまった。山崎広太郎市長が、公約に掲げた大規模事業の見直しだったはずだ。見直し事業を絞り込んだうえで、市民の意見も募った。見直しがなぜ、こうなったのか、市民に分かりやすい経過説明が求められる。
■市民の関心高く
市がプロジェクトチームによる見直し対象事業の絞り込みを終え、十大事業を公表したのは四月二十日だった。
なぜ見直しか。当時、まず市は財政の健全化を挙げた。借金である一九九九年度の市債発行残高(全会計)は二兆三千億円を超える見込み。二〇〇二年度までに市債の償還額と発行額を同額にし、市債残高を増やさない方針(九七年策定の行財政構造改革基本方針)の達成が「現状では困難なため」と説明した。
このため、五月十七日から市民の意見募集も始めた。山崎市長は「市民の感触、受け止め方を知ることは必要だ」と述べている。集まった意見・提言は、締め切った六月七日までの約二十日間で、六百六十四通、五百六十三項目に上り、市民の関心の高さを示した。
■論戦も不透明感
見直しの一応の結果は九月三日、素案という形で発表されたが、そのときも、見直しの「経過」と「根拠」は示されないまま。市議会の論戦でも、不透明感が漂った。今回、ほぼ素案通りの最終結論をまとめたが、市民の関心の高さに十分にこたえたとは言い難い。
同じく行財政改革に取り組む北九州市は、市長の諮問機関「公共事業・公共施設再検討委員会」を設け、委員会が十六日、十四件の事業見直しを提言したばかりだ。未着手事業とはいえ白野江人工島(若松区)埋め立てなどの事実上「中止」を求め、着工済みの門司区の埋め立て緑化事業も「休止」を勧告した。
福岡市の場合、見直し事業の絞り込みから実際の見直し・点検まで、市内部でしたことに、特異点があった。行政の透明性という観点に立てば、どうしても不十分だったと言わざるを得ない。
■200億円以上不足
山崎市長は今回の見直しを、第二次行財政改革大綱(来年度から三年間)、市経営管理委員会の提言(来年三月の予定)と並んで、市財政再建策の柱と位置づけていた。市長は「全体の四分の一(二千百七億円)の執行を先送りできた」と成果を強調する。
しかし、見直し結果は、来年度以降予想される毎年二百億円以上の財源不足を考えると、「即効性」のある処方せんかどうか、疑問が残る。
見直した事業は、どうなるのか、市長の責任が問われる。山崎市長は「今後は、事業の立案・計画の段階から、市役所横断的な点検ができる方法を考えたい」と語る一方で、事業点検を今回一度で終わらせない考えを示した。そのためにも、今回の見直し・点検作業の説明責任が福岡市にあるのではないか。