きよた・やすゆき
1954年、熊本市生まれ。77年に九州大学経済学部を卒業し、当時の日本専売公社に入社。JT本社広報課長代理、アテネ事務所長、本社営業部長、千葉支店長などを経て2005年から現職。趣味は仏像鑑賞や大衆演劇鑑賞など。
日本たばこ産業株式会社福岡支店長
清田 康之氏
[日本たばこ産業株式会社ホームページ] http://www.jti.co.jp/
快適な環境づくり推進
どんたくで「ひろえば街が好きになる運動」
「The Delight Factory」(ゆとりや豊かさを生み出す)を企業スローガンに掲げるJT-日本たばこ産業株式会社。たばこのほかに、食品、医薬品の分野にも事業を広げている。社会的に分煙が進む中、たばこを吸う人と吸わない人が協調し共存する社会の実現を目指して、公共の場所での喫煙スペースの設置などのほか、街頭のごみを拾う「ひろえば街が好きになる運動」を展開。3日から始まる福岡市民の祭り「博多どんたく」でも「皆さんと一緒に、どんたくを美しい祭りにしましょう」と、市民の参加を呼び掛けている。JT福岡支店の清田康之支店長に、JTの世界戦略や、たばこ産業の将来などを尋ねた。聞き手は、白石克明・西日本新聞社経済部長。
[2007年5月3日朝刊掲載]

「こんなに拾ったよ」と、ごみ袋を手渡す家族(昨年のどんたく)
-今年もまた、どんたくで「ひろえば街が好きになる運動」を実施されるそうですね。
清田 この運動は、1970年代にたばこの投げ捨て防止などをテーマにした「スモーキンクリーン・キャンペーン」が始まりです。当初、社員や販売店の方たちがボランティアで取り組んできた駅前や繁華街での清掃活動を、市民参加型として発展させたものです。街のごみを拾ってもらうことで、市民の皆さん一人一人に「ごみを捨てない」という気持ちを育てていただくのが目的です。地域での大きなお祭りやイベントのときに実施していて、福岡では「博多どんたく」、北九州市の「わっしょい!百万夏祭り」などで実施しています。
-どのくらいの人たちがこの運動に参加されているのでしょうか。
清田 昨年は全国で約32万人。そのうち、どんたくでの参加者数は、祭り期間の2日間で延べ約4千人。約2トンものごみを拾っていただきました。どんたくで最初にこの運動をするときは「果たして、祭り見物の人たちが、ごみを拾ってくれるだろうか」と不安でしたが、お母さんが、小さいお子さんに「ごみを拾いに行こうね」と、話しておられるのを見て、私は「こういう体験を通して公徳心が育っていくのだな」と、実感し感動しました。
-多くの方々に参加してほしいですね。
清田 今年もどんたく隊の出発地点となる冷泉公園(博多区)と、終点の福岡中央公園(中央区)にブースを設け、参加者にごみ袋やごみを挟むトングなどをお渡しします。ぜひ今年も多くの方々に参加していただき、一緒にごみを拾って歩きたいですね。
-青少年の健全育成の活動にも取り組まれていますね。
清田 より良い地域を築くには、次世代を担う青少年の育成が大事です。毎年実施している「JT将棋日本シリーズ」のこども大会はその一環。日本の伝統文化である将棋を通して、子どもたちに礼儀などを学んでほしい。また、NPO(民間非営利団体)などが取り組んでいる福祉や環境の美化、保全を目的にした事業にも助成しています。今年は総額5100万円を、全国の41法人に助成しました。福岡支店の管内では、佐賀県伊万里市のNPOを助成します。

福岡支店1階にある無料喫煙ラウンジ「スモーカーズスタイルふくおか」
-福岡支店の1階にあるガラス張りの喫煙ルームは、支店長の発案で造られたそうですね。
清田 「快適な環境で気兼ねなく、ゆっくりたばこを味わっていただきたい」と思ってのことです。昨年8月1日にオープンさせ「スモーカーズスタイルふくおか」と名付けました。喫煙者向け無料喫煙ラウンジは全国の支店の中でも初めての試みです。
-結構、広いですね。
清田 室内は約30平方メートルで、20人が座れるようになっています。特に工夫を凝らしたのが空調。仕切りを設け、換気扇をつけただけでは、煙は外に漏れてしまいますが、このラウンジでは、煙やにおいも気になりません。分煙コンサルティングに力を入れていますが、分煙のモデル施設として、分煙を考えておられる企業やオフィスビルのオーナーなどの参考にしていただいています。
-好評のようですね。
清田 毎朝ここに寄って、一服されて出社される会社員やOLの方がいらっしゃいます。それがうれしいですね。警備員がひんぱんに巡回して、未成年者の喫煙にも目を光らせています。
-条例で歩きたばこを禁止する自治体も増えていますから、街中の喫煙スペースや施設は重要ですね。
清田 たばこを吸う人と吸わない人とがいがみ合わず、共存できる社会を創造したいというのが、私たちJTの願いです。そのためには、やはり、たばこを吸うためのきちんとした場所が必要です。オフィスビルの改装や公園、駅前広場の整備の際に、喫煙コーナーや分煙設備設置の提案、大形の灰皿寄贈などの協力をさせていただいています。
-現在、JTの提案による喫煙スペースはどんなところに設置されていますか。
清田 福岡市・天神の警固公園に2カ所のほか、大丸デパート近くのパサージュ広場、西鉄天神大牟田線・福岡(天神)駅のホームなどに大形の灰皿を置いた喫煙コーナーができています。ほかに飯塚市のバスセンター。つい最近も、久留米市に大形灰皿7基を寄贈し、西鉄久留米駅前に設置されました。また、九州一の繁華街・中洲(博多区)の老舗たばこ店の一角にも喫煙スペースを設けさせていただきました。これからもさまざまな機会をとらえて、行政や企業、商店街などに設置を働きかけていきたいと考えています。
●グローバル化へ加速
-たばこ以外の事業についてはいかがですか。
清田 たばこ事業と合わせて、将来の3本柱になりそうなのが、食品と医薬品の事業です。中でも缶コーヒーのブランド「ルーツ」のアロマブラック無糖は「香り立ちが良い」と人気。缶コーヒーのブラックの分類では、売り上げトップクラスに位置しています。
-「香り」の秘密は何でしょうか。
清田 「香り」はたばこを作り続けてきた私たちにとって、一番こだわるところです。徹底的に製法を研究しました。缶コーヒーは、最後の工程で殺菌するために火を通します。これで香りが飛んでしまう。JTでは特殊な缶の形を考案して、殺菌する時間を短くすることに成功し、それによってコーヒー本来の香りを保つことが可能になりました。また、飲み口が広いので、開けたときに香りが立つ。私たちのこだわりが生かされた商品です。ほかに冷凍食品の「いまどき和膳」「お弁当大人気!」というシリーズが人気。競争が激しい分野ですが、着実に売り上げを伸ばしています。
-医薬品はどうですか。
清田 最近は、抗HIV(エイズウイルス)剤や生活習慣病にかかわる薬の開発に主力を置いています。
-着実に多角化が進んでいるようですが、主力のたばこ事業の将来性についてはいかがですか。昨年、たばこの税率がアップしました。厳しくなりそうですね。
清田 増税で例年より売り上げが減少しました。この厳しい環境を乗り越えるために、私たちは思い切った効率化を進め、市場規模に見合う体制への転換を進めています。
-海外のたばこメーカーの買収も積極的ですね。
清田 1999年に米国レイノルズ社の米国以外の事業を買収し、今年は英国のギャラハー社を傘下に収めました。今回の買収額は2兆2000億円を超えます。
-企業買収では過去最高額だと思いますが、海外のたばこメーカーを買収するメリットは。
清田 国内市場は縮小傾向にあります。これはたばこを吸わない人が増えたこともありますが、やはり少子化による人口減の影響が大きいですね。一方、海外ではまだまだ伸びる要素があります。実際、海外での販売数量は、国内を追い越しました。すでに台湾ではトップブランドになるなど東南アジアの市場では人気があります。海外企業の買収を機に、ヨーロッパやロシアなどの市場で伸ばしていく。グローバル化が一気に進むと考えています。

来年度からたばこを自動販売機で購入するときに利用者の顔写真入りの“たばこのパスポート”=タスポカード(写真)=を使わないと購入できなくなる。
すべての自動販売機が、成人識別自動販売機に置き換わる。未成年者の喫煙を防ぐのが主な目的。現金を入れ、カードを自動販売機の読み取り部分にタッチすると商品が出てくる仕組み。電子マネー機能も付いていて、同販売機に入れた現金をカードに記録することで、キャッシュレスでたばこが買えるようになる。
カードは所定の申込書と顔写真、成人であることを証明する書類を添えて、(社)日本たばこ協会に申し込む。福岡では来年2月から申し込み開始、同5月から稼働する予定。
たばこ、医薬品、食品の3事業展開
1985年に日本専売公社から分離・誕生した日本たばこ産業株式会社(本社・東京、木村宏社長)。「価値創造ビジネスを多角的に展開するグローバル成長企業」を目指し、たばこに加え、医薬品、食品の3つの事業を展開している。国内たばこ事業は、毎分1万4000本のたばこを製造する超高速マシンなど、世界最高水準の製造技術と品質管理で多彩な商品ラインアップが魅力。海外たばこ事業は「キャメル」「ウィンストン」「マイルドセブン」「セーラム」の4ブランドをグローバル・フラッグシップ・ブランドと位置づけ、世界約120カ国で販売している。
■本社=東京都港区虎ノ門2−2−1
■資本金=1000億円
■売上高=単体2兆3706億円、連結4兆6376億円(2006年3月期)
■経常利益=単体1928億円、連結2978億円(06年3月期)
■従業員数=グループ含めて3万1476人(06年3月31日現在)
■事業所=支店25、工場14、原料本部6、研究所3、在外事務所3(06年4月1日)
■福岡支店=福岡市中央区大名2−10−10
1985年に日本専売公社から分離・誕生した日本たばこ産業株式会社(本社・東京、木村宏社長)。「価値創造ビジネスを多角的に展開するグローバル成長企業」を目指し、たばこに加え、医薬品、食品の3つの事業を展開している。国内たばこ事業は、毎分1万4000本のたばこを製造する超高速マシンなど、世界最高水準の製造技術と品質管理で多彩な商品ラインアップが魅力。海外たばこ事業は「キャメル」「ウィンストン」「マイルドセブン」「セーラム」の4ブランドをグローバル・フラッグシップ・ブランドと位置づけ、世界約120カ国で販売している。
■本社=東京都港区虎ノ門2−2−1
■資本金=1000億円
■売上高=単体2兆3706億円、連結4兆6376億円(2006年3月期)
■経常利益=単体1928億円、連結2978億円(06年3月期)
■従業員数=グループ含めて3万1476人(06年3月31日現在)
■事業所=支店25、工場14、原料本部6、研究所3、在外事務所3(06年4月1日)
■福岡支店=福岡市中央区大名2−10−10