福岡市の人工島(アイランドシティ)事業に絡み、同市の第三セクター「博多港開発」が購入した高額のケヤキ・庭石の取引に、元福岡市議の兄が取締役を務める同市の造園会社が関与していたことが十三日、同社の営業報告書で分かった。当時、元市議は同社の筆頭株主で、転売による差益は一億数千万円に上るとみられ、一連の高額取引はより不明朗さを増した。
庭石は熊本県内の採石業者が同県の川辺川で採取した「五木石」一万トンで、博多港開発が福岡県古賀市の造園業者から二〇〇〇年五月に約三億六千万円で購入していた。これまで「五木石」は古賀市の業者が採石業者から入手したとされていたが、元市議の関係する造園会社の営業報告書によると「五木石」は同社が同年度に古賀市の業者に三億八百万円で販売。さらに、古賀市の業者からの代金支払いをめぐって、元市議が設立した福岡市内の学習塾の関与をうかがわせる記載もある。
関係者によると、採石業者は庭石の販売価格を一億数千万円と説明しており、元市議の関連会社が古賀市の業者に売り渡した時点で帳簿上一億円以上の差益が生じたことになる。
一方、ケヤキについては博多港開発が一九九九年八月に宮崎市の木材生産業者から三百本を三億千五百万円で購入したが、同年度に元市議の関連会社が宮崎市の木材生産業者に約二億三千三百万円でケヤキを売却したと同報告書にあり、関連会社が庭石と同様の転売益を得ていたとみられる。
元市議はこれらの取引当時、関連会社の株の三割弱を保有する筆頭株主で、昨年五月には兄が取締役に就任している。
ただ、元市議は博多港開発幹部に対し「自分はかかわりはない」と説明。関連会社社長も株主らに対し、庭石・ケヤキ売買について「一切関係していない」と説明しているという。
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●「取引に不正ない」 3セク社長 一問一答
博多港開発社長を辞任する意向を固めた志岐真一氏(65)は十三日、福岡市内の自宅で次のように語った。
―辞任の理由は。
志岐氏 ケヤキ、庭石の購入をめぐって混乱を招いたためだ。しかし、一連の取引に不正はなかったし、会社に損失を与えてもいない。あくまで混乱の責任を取るということだ。
―ケヤキや庭石を購入した判断は間違ってないと?
志岐氏 そうだ。いずれの買い物も、市役所が買うより二割は安い値段で購入している。大局的に判断して、街づくりに必要と判断した。
―元市議の関係企業が取引に介在したとの疑惑もある。
志岐氏 民間同士の取引なので分からない。
―市議会では、一連の取引が元市議の資金集めに協力するためだったのではないかと指摘されたが。
志岐氏 絶対にあり得ない話だ。
―月内の退任を求める声もあるが。
志岐氏 私を信用して新たな増資に協力を約束してくれた企業もある。会社は厳しい環境にあり、今日、明日で投げ出すようなことはできない。何も居座ろうと開き直っているわけではない。
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●人工島ケヤキ・庭石問題の経緯
1994・7 人工島建設着工
95・8 福岡市が香椎パークポートと人工島での大規模緑地計画のため、博多港開発にケヤキ確保を依頼
・9 福岡市と博多港開発がケヤキ買い戻しに関する覚書締結
・10 博多港開発がケヤキ200本を林野庁外郭団体から2億600万円で購入
97 福岡市が香椎パークポートの緑化計画を変更
99年度 元福岡市議の関連会社が宮崎市の業者にケヤキを約2億3300万円で販売
99・8 博多港開発がケヤキ300本を宮崎市の業者から3億1500万円で購入
2000年度 元福岡市議の関連会社が福岡県古賀市の業者に3億800万円で庭石を販売
・5 博多港開発が庭石1万トンを福岡県古賀市の業者から3億5910万円で購入
01年 博多港開発が人工島にケヤキ12本を試験植樹。3本が枯死
・11 一部銀行団が博多港開発への新規融資を停止していることが判明。市が緊急融資や増資などの新事業計画を策定へ
・12 博多港開発がケヤキ100本を99年と同じ業者から9975万円で購入
02年 博多港開発が試験植樹の残り9本を含む54本のケヤキを人工島内に植樹
・10 人工島内の道路が供用開始
・12 ケヤキ、庭石の購入経緯について福岡市と博多港開発が市議会に調査報告書を提出