福岡市の人工島事業に絡む高額ケヤキ・庭石購入問題を受け、第三セクター「博多港開発」は二十日、新社長に山崎広太郎市長(61)を選任した。疑惑が相次ぐ三セクを実質的に「管理下」に置いて経営を透明化するのが市側の狙いだ。だが、就任早々の会見で、市長が三セク社長を兼ねることによる「存在の矛盾」が露呈する場面もあった。
「市にとっては安く買えたとも言える」
博多港開発での社長就任会見。同社が市に売却する人工島・中央公園用地の価格が見込みを五十二億円も下回ったことについて、山崎市長はこう弁明した。
同社所有の中央公園用地約十五ヘクタールは、昨春策定した新事業計画で、売却額を約百七十八億円と想定。だが、実際の評価は約百二十六億円にとどまった。市と三セクのいわば「身内の取引」ですら、現実は厳しいことを見せつけられたわけで、ある自民党市議は「人工島の先行きを考えると、ケヤキ・庭石疑惑より本質的な問題だ」と言う。
山崎市長は、公金での直接的な穴埋めについては「市長」の立場で強く否定した。が、どうやって減収を補うのか。「三セク社長」としての十分な説明はなかった。
課題はまだある。山崎市長は、ケヤキ・庭石問題への関与が疑われている前社長の志岐真一氏(65)=元市助役=を先月末に解任。自分は六月の定時株主総会まで社長を兼務し、その後は民間から経営者を招く意向だが、地元経済界は「社長を出せば責任を負わされかねない」と消極的だ。
市長と社長。二つの顔が一つになることは、同社に融資している銀行団にとっては頼もしい。「市の責任」が明確化することで、事業が暗礁に乗り上げた場合でも、公金投入を求めやすいからだ。
「土地分譲は地価が下がれば、損するのが常識。それでも黒字にするには、天から金を降らせ続けるしかないのか…」
人工島推進派の議員ですら、ため息を漏らす現状。市の事業を請け負ってきた博多港開発という“影武者”と一つになった市長は、逃げ場のない重圧と向かい合っている。 (地域報道センター・池田郷)
●「情報の公開でガラス張りに」 山崎社長会見
福岡市の人工島事業をめぐる高額ケヤキ・庭石購入問題で揺れる第三セクター「博多港開発」の社長に就任した山崎広太郎市長は社員への訓示と会見で次のように語った。
◇訓 示
初めまして。今、博多港開発の信用は失墜している。みなさんと一緒にオープンな雰囲気の中で信用回復を図りながら、アイランドシティ(人工島)事業を強力に推し進めていきたい。どうぞよろしく。
◇会 見
―改革の決意を
山崎市長 私が社長に就いたのは三セクと市の関係をきちんと(整理)するため。会社の独立性を強めると同時に、情報公開によるガラス張りの組織を目指す。ケヤキ・庭石疑惑の解明にも努力していく。
―後任人事は?
山崎市長 まだ就任したばかりなので…。
―市長が社長のままの方が「市の責任が明確になるので安心」という見方もあるようだが。
山崎市長 (そういう意味で)私なりの役割がある。落ち着いたら能力のある人にバトンタッチしたい。
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