学歴詐称問題で福岡県警と福岡地検の事情聴取を受けた古賀潤一郎衆院議員(無所属、福岡2区)は二十四日午後、秘書を通じて衆院議長あてに辞職願を提出した。議員辞職表明の記者会見が福岡県庁で開かれ、代理人の徳永賢一弁護士と秘書らが出席したが、本人は姿を見せなかった。会見した弁護士は「国政の場にとどまることは混乱を深めるばかりで、有権者の負託にこたえることができないと判断。道義的責任を取る」とする古賀氏の辞職コメントを読み上げた。
古賀氏は二〇〇三年十一月の衆院選で民主党公認として立候補し、自民党の山崎拓副総裁(当時)を破って初当選した。古賀氏の辞職で、来年四月二十四日に補欠選挙が行われることが決まった。
古賀氏は二〇〇三年十一月の衆院選の際に、米ペパーダイン大(カリフォルニア州)を卒業したとの学歴を公表。初当選直後に、学歴詐称の疑いが浮上し、卒業していなかった事実が判明した。民主党から除籍処分されて無所属となった古賀氏は「在任中は歳費を受け取らない」として、議員活動を続けていた。
市民団体からの告発を受けて捜査に乗り出した福岡県警の事情聴取に対し、当初は「卒業したと思っていた」と主張していたが、大学の卒業単位が約四十単位不足していた事実などを突きつけられ、経歴詐称の事実を大筋認めた。
県警は近く公職選挙法違反(虚偽事項の公表)の疑いで福岡地検に書類送検する方針。古賀氏側は議員辞職することで「裁判で争うよりも、起訴猶予や罰金刑となる略式命令などの寛大な処分を引き出したい」との思惑があるとみられる。
来春の補選には、前回衆院選で古賀氏に敗れた山崎拓氏が再起を期して立候補することが確実なほか、古賀氏を除籍した民主党も近く候補者を擁立する方針で、女性候補を軸に選考を急いでいる。古賀氏自身は補選には立候補はできない。
古賀氏はこれまで、西日本新聞の取材に対して一貫して「裁判になれば最高裁まででも争い、事実関係を明らかにしたい。次の衆院選にも立候補したい」と語っていた。
【写真右】古賀潤一郎氏が議員辞職することを表明する古賀氏の代理人(中央)=24日午後0時43分
追い込まれて辞職 古賀潤一郎衆院議員
「迷走」を重ねた末、幕切れは「雲隠れ」だった。二十四日、学歴詐称問題での責任を取り、議員辞職願を提出した古賀潤一郎衆院議員(無所属、福岡2区)。今年一月の問題発覚後には突然渡米し、帰国後、有権者に「離党」「歳費返上」「米大単位取得」を約束したが、結局果たせぬまま。「卒業していたと思っていた」という主張も、捜査当局の調べが進むと一転、翻した。自らの議員辞職を表明する最後の会見にも姿を現さず、説明責任を果たすことはなかった。
二十四日午後、福岡県庁の記者会見室。古賀氏の辞職会見に臨んだのは、本人ではなく、弁護士と秘書だった。詰めかけた約五十人の報道陣から「おかしいよ」「最後まで逃げるのか」とどよめきが起こった。
弁護士は「本人は出席するよう(みなさんに)申し上げていたが、その必要はないと思い、私が出席させていただいた」と語り、同日午後零時十五分に衆院議長あてに辞職願を提出したと説明。「みなさまの疑念を払しょくできないばかりか、かえってその疑いを強めかねない事態になった。政治的、道義的責任を取り、衆院議員を辞職する決意をいたしました」と古賀氏が書いた書面を読み上げた。
学歴詐称について「虚偽の学歴という認識があったのか」との質問が飛ぶと、弁護士は「本人の調書がどうなっているか分からない。捜査上の秘密があるため答えられない」と回答。
古賀氏は、弁護士に対し「当初は卒業していたと思い、単位不足の認識はなかった。だが、(大幅な単位不足など)捜査の結果が明らかになった時点で、そういうことがあったなと思い起こした」と説明していたという。昨秋の衆院選時点で未卒業の認識があったかどうかについて弁護士は「その時点では故意ではなかったと思う」と述べた。
古賀氏の支持者らはこの日午前、福岡市内のホテルで会合を開き、「今後のこともある。本人を傷つけないためにも会見には出ない方がいい」との意見が大勢を占めた。「それでは有権者は納得しない」との意見もあったが、結局、本人は会見場に姿を現さなかった。
古賀潤議員「お詫び」全文
有権者の皆様へのお詫び
私、古賀潤一郎は、本日午後、衆議院議長宛に議員辞職願を提出いたしました。
私の学歴に関する問題がマスコミ等で取り上げられてから8ケ月余、政治活動のかたわら、事実関係の調査を続けてまいりましたが、今日に至るも皆様の疑念を払拭(ふっしょく)できないばかりか、かえってその疑いを強めかねない事態になりました。
なお調査継続中につき、詳細な説明は差し控えさせていただきますが、私が国政の場にとどまることは混乱を深めるばかりであり、これ以上は皆さまの負託に応えることができないと判断し、この際政治的、道義的責任を取り、衆議院議員を辞職する決意をいたしました。
密室政治や金権政治が蔓延(まんえん)する政治に対する国民の不信感を解消したいと、政治家を志しましたが、逆に、私自身が政治不信を招く結果になってしまいました。
私に投票してくださった10万人の有権者の皆様、そして主権者である国民の皆々様に、心からお詫びを申し上げます。
また、私個人の問題で大きな損害をこうむられた方々に対しては、大変心苦しく、申し訳ない気持ちでいっぱいです。
今後は原点に立ち返り、失われた信頼を取り戻すために、一つ一つ眼前の問題に真摯(しんし)に取り組んでいく覚悟です。
最後に、今日まで私を支えてくださいました国内外の皆々様に、心から感謝を申し上げます。
平成16年9月24日 古賀潤一郎
来年4月24日補選へ 衆院福岡2区 与野党が候補擁立準備
古賀潤一郎氏(無所属)が辞職願を提出したことで、来年四月二十四日に衆院福岡2区で補選が実施されることが確定した。補選には、昨年十一月の衆院選で古賀氏に敗れた自民党の山崎拓前副総裁の立候補が確実視されるほか、古賀氏を除名した民主党も候補を擁立する方針。
民主党は在京テレビ局のキャスターの名前が浮上するなど女性候補を軸に選考を急ピッチで進めている。同党福岡県連幹部は「地元を中心に候補者擁立作業を進めているが、今のところ白紙」とするものの、同党本部関係者は「地元(の党県連など)が了解してくれるのならテレビキャスターを擁立したい。知名度のある女性なら山崎氏に勝てる」と話している。
共産党も候補者を擁立する方針で、この三党の候補者を軸に選挙戦が繰り広げられるとみられる。
【古賀潤一郎衆院議員の学歴詐称問題の経過】
| 1月17日 |
学歴詐称疑惑が発覚。古賀氏は記者会見し「ペパーダイン大を卒業したと認識。事実確認ができなければ辞職せざるを得ない」 |
| 21日 |
古賀氏が渡米。「帰国後に説明責任を果たす」。ペパーダイン大は西日本新聞の電話取材に「単位不足」と卒業を否定 |
| 22日 |
UCLA(カリフォルニア大ロサンゼルス校)が西日本新聞の照会に対し「公開講座も含め在籍記録なし」。古賀氏が「在籍したのはCSULA(カリフォルニア州立大ロサンゼルス校)の公開講座。勘違いだった」 |
| 23日 |
ペパーダイン大が古賀氏に対して「単位不足のため卒業していない」と直接説明
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| 24日 |
CSULAが西日本新聞の電話取材に対し「在籍記録なし」と回答。古賀氏が公開講座参加はCSULAではなくUCLAだったと再訂正
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| 27日 |
帰国した古賀氏が福岡市南区の西鉄大橋駅前で街頭演説し、ペパーダイン大卒業の事実がなかったことを認め「故意にやったとは思っていない」と詐称を否定。「けじめ」として民主党離党と議員報酬(歳費)を受け取らないと表明。民主党に離党届を提出
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| 29日 |
民主党が古賀氏の離党届を受理せず、除籍処分
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| 2月 2日 |
市民団体などが公選法違反(虚偽事項の公表)容疑の告発状を福岡地検と福岡県警に提出
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| 17日 |
古賀氏が在日外国人から政治資金の寄付を受けていた政治資金規正法違反疑惑が発覚。古賀氏の事務所は「日本国籍がないとは知らなかった。寄付金は返金したい」
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| 3月 1日 |
奈良市の政治団体が政治資金規正法違反容疑で福岡県警に告発状を提出
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| 7月 中旬 |
福岡県警が古賀氏について政治資金規正法違反容疑で捜査書類を福岡地検に送る
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| 29日 |
福岡地検と福岡県警が検察官と捜査員を米国に派遣
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| 8月 2日 |
福岡地検が政治資金規正法違反容疑について古賀氏を嫌疑不十分で不起訴にしたことが判明
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| 12日 |
捜査員らが米国から帰国
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| 9月21日 |
ペパーダイン大の不足単位が本人説明の「19」ではなく約40だったことが発覚。
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| 24日 |
古賀氏が辞職願を提出
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