西日本シティ銀誕生 気持ちは新入行員 「誇れる銀行つくる」
顧客、サービス向上に期待 旧シティ銀・四島前頭取
「この空のように、心は澄み切っています」(四十五歳男性行員)―。西日本シティ銀行が発足した一日朝、旧西日本、旧福岡シティの両行員たちは、新たな気持ちで職場に臨んだ。利用者からはサービス向上への期待も集まった。
JR博多駅前の新銀行本店。通常より一時間早い午前六時半ごろ、行員たちが次々にビルに入った。福岡シティ出身の課長代理男性(54)は「旧銀行のバッジは自宅に置いてきた」。オレンジと赤でデザインされた新銀行のIDカードを胸に着け、「九州トップバンクを目指します」。別の男性(57)は「新入行員のようなさわやかな気持ちです」。
午前六時四十分には、新藤恒男頭取も姿を現した。昨日まではライバル行だった社屋を見上げ、「いい銀行ができたと思いますよ」とほほえみ、新銀行名が刻まれた社碑をなでた。
午前八時からは、全二百八十二店で朝礼が一斉に始まった。本店営業部でも、行員約八十人を前に、礒山誠二取締役が「あなたたちは新銀行創立メンバーです。誇れる銀行をつくっていきましょう」と力を込めた。
営業がスタートした午前九時。本店で第一号の口座開設となった福岡市早良区の会社員、森田健一さん(35)は「福岡銀行との二大銀行としての将来に期待したい」。旧銀行の通帳からの切り替えにきた女性会社員(26)は「新銀行には、客を待たせず、話をきちんと聞いてくれる姿勢を持ってほしい」と注文を付けた。
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●生みの親 寂しさと喜び
あいさつを聞きながら、何度も目をしばたたかせた。西日本シティ銀行の記念式典。合併の立役者のひとりで旧福岡シティ銀行の前頭取、四島司氏(79)は、新銀行幹部や来賓と少し離れた一般行員と同じ場所にひっそり立っていた。三十四年間トップを務めた銀行が消えたさみしさと、合併がようやく形になった喜びが、同時にこみ上げているようだった。
四島氏は、父の故四島一二三氏の後を継ぎ一九六九年、トップに就任。銀行経営が厳しさを増す中で「金融再編は大きな流れ」と、旧西日本銀行の元頭取、後藤達太氏(80)と協議を重ね、二〇〇二年に合併合意にこぎつけた。昨年六月の頭取退任後も、顧問として「旧行意識を捨て、新しい銀行をつくろう」とアドバイスを重ねた。
式典で、四島氏はいすもなく、名前を紹介されることもなかった。だが、除幕式で新頭取や来賓が綱を引き「西日本シティ銀行」の文字が現れた瞬間、四島氏の顔に笑みが戻った。後藤氏が差し出した手をがっしりと握り、ともに合併の苦労をねぎらった。四島氏は「私も長すぎた。これ以上やったら老害だよ」と笑ってみせた。
新銀行では役職を外れ、今後は、ビジネスリーダー養成の「九州・アジア経営塾」の塾長に専念する。車座形式の講義には毎回参加する熱の入れようで「若い人との議論が楽しい。人を育てる事業は終わらない」。そう言い残すと、一人で式典会場を立ち去った。
20041001付 朝刊
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