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福岡沖地震から1年


■住は安心か 3.20福岡沖地震から1年<4>風化 住民の連帯どう築く―連載


大名小で行われた防災イベントでは、防災グッズに住民の関心が集まった =19日、福岡市中央区
 「五千人を一度に、しかも安全に避難場所まで誘導する方法を提案したい」―まちづくりを考えるデザイナーらでつくる「FUKUOKAデザインリーグ」のメンバーがこう切り出すと、集まった約百人の住民はぐっと身を乗り出した。

 十九日、福岡市中央区の大名小学校で開かれた同校区の防災イベント。デザイナーらは、観光案内も兼ねた「避難マップ」や自動販売機を利用した災害情報の広報、夜間でも見やすい誘導表示など、日常生活に溶け込む震災グッズのアイデアを紹介した。
 九州最大の繁華街・天神を含む同校区は、見た目の発展の一方で、空洞化が進んでいる。三千二百世帯に対する人口は四千五百人。核家族や老老世帯、高齢者の独り暮らしが大半で、共同体意識は乏しい。
 昨年の福岡沖地震は、その地域事情に異変をもたらした。行き場を失った高齢者らが避難場所の同小体育館に身を寄せ合ったことで、そこに連帯が芽生えたのだ。「一人では生きていけないんですね」。自主防災組織「大名校区防災会」の大崎信昭会長(66)は、被災者の漏らしたひと言が、今も耳に残る。
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 ただ、避難所で始まった交流は、役所が「個人情報保護」を理由に住民の連絡先を明かすのを拒み、お互いの所在が不明となって自然消滅した。校区の防災マニュアルづくりも、自治会活動が他の業務に忙殺されて進んでいない。震災体験の風化を懸念する大崎会長は、イベント会場で「日ごろの備えの大切さが少しは再認識できたのではないでしょうか」と安(あん)堵(ど)の表情を見せた。
 大名小と同じ中央区の平尾小校区防災会は昨年十一月、住民防災訓練を行った。参加者は三百人。震災後初の訓練にもかかわらず、数字は過去二度を下回った。震災後、積極的に住民の防災意識の啓発に努めてきた同会は、落胆した。
 約九千八百世帯の同校区は八割がマンション住まい。平尾公民館の相正和館長(58)は言う。「地震はもはや人ごとになっている。特に、マンションに住む単身者を地域防災に取り込むのは容易ではない」
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 福岡市は、住民自らが地域防災の中心となる自主防災組織の設立を促している。しかし、市が今月発表した市民意識調査によれば、約千八百人のうち84・9%が自主防災組織を知らなかった。
 「防災は一朝一夕にできることではないし、これだけやったら大丈夫ということもない」。同市博多区の春住校区自治協議会の安武清蔵会長(78)は強調する。
 同校区は「高齢者が三分以内で到着するため」と、公民館や小学校のほか、住宅街近くの飲食店や病院、公衆浴場などを緊急避難場所に選定。高齢者や子どもに緊急連絡用の笛を配り、結束のため地域ソング「春住音頭」もつくるなど、多彩な活動を続けている。  原点は、安武さんら同校区の役員が阪神大震災の被災地を視察して得た教訓だ。「災害時に最も頼りになるのは『向こう三軒両隣』。地域住民のつながりが深ければ、何とか乗り越えられる」
 震災を機に、各地域で醸成されつつあった防災意識は、早くも一年で薄らぎ始めた。「安心」を失わないために、どう地域コミュニティーを築くかが問われている。


[2006/03/20]


【連載】住は安心か 3.20福岡沖地震から1年




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