|
||||||
|
|
■どう守る都市・静岡からの報告 地震列島<5完>防げ大惨事 「想定外」なくす対策
二十日、福岡を襲ったマグニチュード5・8の余震。運行中の新幹線は緊急停止したが事故には至らず、玄海原発も異常が見られず通常運転を続けた。巨大地震の直撃を受ければ大惨事を招きかねないこうした施設について、防災先進地はどう備えているのか。
●原発直下に震源域 遠州灘をのぞむ海岸線に、巨大な「四角い箱」が整然と並ぶ。静岡市から南西に五十キロ。海風が吹き付ける静岡県御前崎市に、中部電力の浜岡原子力発電所はある。 浜岡原発が注目されるのは、マグニチュード8クラスの東海地震が、すぐ真下で発生する恐れがあるためだ。「地震国日本の中でも、最も危険性の高いところにある」という地震学者もいる。 一九七〇年代の初めに1、2号機が計画・着工されたときは、その直下に地震を引き起こすプレート境界が存在していることは分かっていなかった。八二年に着工した3号機以降、耐震強度が上がった経緯がある。 中電は「1、2号機も後から検証し、耐震安全性は国により確認されている」という。地面を二十メートル掘り下げ、施設は岩盤に直接設置した。構造の安定性は「まさにピラミッド」。さらに地震計が震度5強程度の揺れを感知すると、原子炉は自動停止する仕組みだ。 ●基準一気に高める それでも、近隣住民の不安は根強い。「もし東海地震で原発事故が発生したら…。道路が寸断された状況で、迫り来る放射性物質からどう逃げればいいのか」―。 これまで地震対策と原子力防災は分けて考えられてきた。「原発は地震にも耐えられる」との国の審査をパスしたためだ。静岡県の地域防災計画も、東海地震で浜岡原発が被害を受けることを想定していない。 しかし、「万が一への対策は必要」と太田茂・静岡県原子力安全対策室専門官は言う。「原発の安全性は高い。だが、地震後に施設の一部でも壊れたらパニックが起きかねない」。広報態勢や避難路の把握方法などについて、本年度中に対応策をまとめるという。 中電も近く、独自に浜岡原発の耐震補強を始める。東海地震で想定される約四百ガル(ガルは加速度の単位で、地震の揺れの強さを示す)を上回る六百ガルに耐えるように設計されているが、それを一気に一千ガルまで高めるという。一千ガルは、地上のものを浮き上がらせるほどの力に相当する。 ●新幹線にも「盲点」 静岡県沼津市にある住宅地。新幹線が猛スピードで駆け抜ける線路の上に、車一台が通るのがやっとの小さな跨線橋(こせんきょう)がある。橋脚は築四十年。震度7の揺れには耐えられない。同県内数カ所で跨線橋が落下し、そこに新幹線が突っ込めば、数百人の死傷者が出ても不思議ではない。 だが、同県内にある四十七橋の耐震化が進むのは、ようやく本年度からだ。「防災上の盲点だった。財政難で手早く対処できなかった」と同市担当者は打ち明ける。 市町村が管理する跨線橋は、全国的に耐震化が遅れている。そこで同県は、一般道路の整備を後回しにして国庫補助率のかさ上げや助成を強化。市町村を後押しし、工事に入るめどをつけた。 ◇ ◇ 列島各地で大地震が起きるたびに「想定外」の事態が発生する。人知の及ばない自然災害への備えに「これで十分」という到達点などない。備えは、気付いた先から一つひとつ積み重ねていく―。地震対策の先進地・静岡が教えるのは、息を抜かずに地道な取り組みを続けるしかないということだ。 =おわり (この連載は東京報道部・浜田耕治、社会部・田中伸幸が担当しました) [2005/04/21] |
|
|
■[2005/4/21]<5>防げ大惨事 「想定外」なくす対策
■[2005/4/20]<4>家庭の防災 個人でしっかり備蓄 ■[2005/4/19]<3>闘う住民 避難所運営も任され ■[2005/4/18]<2>備える自治体 1兆円超す対策事業 ■[2005/4/17]<1>予知に挑む ミリ単位の異変監視 <<<福岡沖地震トップに戻る |
| Copyright 2004 The Nishinippon Shimbun.All rights reserved. | ||
|
||