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■市民と企業連携を 震災の備え行動に 三月二十日に発生した福岡沖地震をきっかけに、市民や企業はどのような防災態勢をとるべきか―をテーマにした「都市防災シンポジウム―福岡沖地震の教訓」が十五日、福岡市・天神のエルガーラホールで開かれた。次の地震災害への「備え」として、安否確認の手段、地域での住民や企業の協力など、話題は多岐にわたった。約二百五十人の参加者が熱心に耳を傾けた議論を紹介する。(司会は吉田宏・西日本新聞経済部長、文中敬称略)
●対応と課題 直後に20倍の通話集中 メールや伝言板活用も
増田 災害時に一番重要なのは安否情報。地震直後は通常の二十倍近い通話が集中し、消防などへの連絡を優先させるため通信規制を実施した。そのため地震直後は電話がつながりにくく、ユーザーに迷惑をかけた。災害時には電話よりメールの方がつながりやすいことや、iモードの伝言板サービスの認知にも努めたい。また、今回の地震を教訓に、震度5以上の地震で管理職が自動出社するマニュアルを定めた。 東 地震発生直後、ヘリコプターで現地を上空視察し、福岡市に情報提供した。玄界島に衛星通信車や災害対策支援車、照明車などを配備した。今後はお互いに情報をやりとりして、行政機関がいち早く情報をとれるようにしたい。 ―建物や施設の被害をどうみるか。 東 道路は国が耐震補強を進めており被害が少なかったが、箱崎埠頭(ふとう)など港湾関係の被害が大きかった。岸壁が耐震構造ではなかったことが要因に挙げられている。博多港や北九州港はアジアに近い重要港。将来に備え、港湾部の耐震化を検討したい。 村上 住宅の耐震基準には地域差があり、福岡は基準値が低く設定されている。このままで良いのかという声が上がっている。また、「福岡は地震が起こらない」という認識で、地震を想定しない建築設計をする事例もあった。今後のことを考えると耐震診断や補強が必要だ。
宮崎 自分や家族がけがをしたら、仕事もボランティアもできない。JCのメンバーには自宅の家具の固定など、家庭人としてできることは普段から気をつけておこう、と呼びかけている。 村上 大地震などで多くのけが人が出たとき、電気や水が十分でないのにけがの程度が軽い人が一番先に病院に殺到して、医療水準が下がってしまうことになる。一人ひとりがけがをしないための備えは、他の人を助けることにもなる。 菅谷 ガス会社には、地震を感知すると自動停止する機能が付いた家庭用のガスコンロの復旧方法を問い合わせる電話が最初に殺到し、ガス漏れの通報と錯綜(さくそう)した。復旧方法のハウツービデオをテレビ局に放送してもらうことで、問い合わせは減った。 村上 山口県では、昨年の台風で三分の一の世帯が停電し、私の家も三日電気が止まった。電力会社には「復旧はいつか」という苦情電話が山ほどかかり、その対応に人手を取られてまた復旧が遅れるという状況があった。状況や見通しを早め早めに情報提供すれば、企業の負担も軽減されるはずだ。 東 行政も、各機関が情報を共有して、いち早く情報を取れる体制をつくっていきたい。 ●次へ心構え 「のど元過ぎたら」戒め 3月20日を特別な日に
―次の地震が起きる確率は、専門家の間でどうみられているか。 ■基調講演「今すぐ始める地震への備え」 山口大工学部助教授・村上ひとみ氏 緊急時の体制強化急げ
福岡県はこれまで、地震の少ない地域とされてきた。福岡沖地震が起こったことで、日本中どこでも地震は起こりうるという教訓になったと思う。
福岡沖地震を阪神・淡路大震災、新潟県中越地震と比べると、震度は各地震とも6前後で大差はない。だが、地震によって起こった地面の振動(地震動)の強さをみると、阪神、新潟の地震は福岡沖地震の数倍の揺れだったことが分かる。そのため、福岡沖地震による火災発生は一件もなかった。 また、人的被害も他の二地震に比べ、少なかった。福岡での人的被害(四月二十二日現在)は、死者一人、重軽傷者九百二十五人だった。特に、繁華街で雑居ビルの多い福岡市中央区の負傷者が40%近くを占める。 同市消防局によると、救急搬送されたのは男性三十六人、女性七十三人だった。負傷原因のトップは、避難する際の転倒で約30%。そのほか、落下物によるけが、熱傷などがあった。搬送者の約半数が高齢者だったことも、注目すべき点だ。 同市中央区の大名、警固、今泉地区では家屋やマンションの被害が多かった。壁に亀裂が入ったり、ブロック塀が倒壊したりしたため、避難の際に戸が開かないなどの影響があった。労働災害は八十二件に上る。主に飲食店の従業員が、調理中に熱湯や油をかぶったという例が多かった。自宅だけでなく、職場も決して安全とはいえないということだ。 阪神・淡路大震災、新潟県中越地震に比べ、福岡沖地震は揺れ方、死傷者数、電気やガスといったライフラインへの影響など、被害は最小限だった。しかし、今後は、警固断層あるいは他の断層が震源となって地震が発生する可能性もある。耐震診断や耐震補強を進めていく必要がある。 企業には、緊急時の管理体制や対策のより一層の強化、防災マニュアルの作成が求められる。また、地域全体が協力する態勢も必要だ。学校、企業、住民らが地域の資源や情報を出し合い、災害時には互いに助け合うことが望ましい。 福岡沖地震で十分怖い経験をし、震災に関する知識も増えたはずの皆さんには、その危機感をバネにして、対策を少しずつ実行してほしい。 ■九州・山口119社アンケート 「住民との協力」4割前向き 防災マニュアル周知 「家族まで」3社のみ
企業と周辺住民との協力態勢では「福岡沖地震以前から協力」(11・8%)「地震後に住民と話し合った」(0・8%)「検討中」(28・6%)を合わせ、四割以上が前向きな姿勢を示した。 ただ、同業他社との協力については、「予定はない」が52・1%を占め、他社との厳しい競争を浮き彫りにした。災害後に企業が事業を継続するには、同業他社の協力が欠かせない面もあるが「助け合う業界慣行がある」は18・5%だった。 防災マニュアルの社員への周知徹底については、社員の家族まで含めた対応はわずか三社。「主要な社員のみ」とする企業も十四社あった。「その他」の回答では「防災マニュアルそのものがない」とした企業もある。マニュアルをどう整備し、どう周知していくかが問われている。 |
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