耐震強度偽装問題を受け、全国のマンション居住者が「うちは地震がきても大丈夫なのか」と不安を感じています。姉歯秀次元一級建築士(48)が構造計算書を偽造した建物は、十五日までに全国で七十三件、九州ではホテルとマンション計五件が確認されました。国会の証人喚問などで真相究明が進んでいますが、なぜ、偽装ができ、マンション居住者が自宅の強度を調べたい場合はどうしたらいいのでしょうか。
Q そもそも耐震強度とは何ですか。
A その建物の、地震に耐える力です。日本では大地震が起こるたびに建築基準法における耐震基準を強化しています。今は一九八一年に定められた「震度6の地震でも倒壊しない」という耐震基準が採用されており、この条件を満たさない建物は建ててはいけないのです。
Q 「構造計算書」という言葉をよく聞きます。
A 耐震基準を満たした建物であることをコンピューター計算で証明した書類で、三階建て以上の建物を建てるときに作らなければなりません。姉歯元建築士はこれを偽造していたのです。自治体や審査機関が「建築確認」と呼ばれる事前チェックを行うのですが、偽造に気付きませんでした。その結果、柱の本数や太さが足りず、耐震基準を満たさないマンションやホテルが建ってしまったのです。必要最低限の耐震強度を1とすると、0・5未満が二十二件。それらは震度5強や5弱で倒壊する恐れがあります。
Q 責任を追及しなければならないのは元建築士一人だけではないようですね。
A 背景に建築業者などから姉歯元建築士へ圧力があったと指摘されています。建築確認のチェック機能が働かなかったこともあって、建築業界や建築行政全体の構造的問題ととらえられています。政府は「行政責任がある」として、分譲マンション居住者への支援策と併せ、建築確認制度などの抜本的改革に乗り出すため、約八十億円の補正予算を組むことを決めました。
Q 耐震基準が強化された八一年以前の建物は大丈夫ですか。
A 八一年までの耐震基準は「震度5程度で損壊しない」でした。国土交通省によると、現在の「震度6」の耐震基準を満たす建物は、全国平均で75%。中越地震や福岡沖地震など大型地震が相次いでおり、早く耐震診断を受けて、改修や補強をする必要があります。
Q マンションの住民が、偽造の有無や耐震強度を調べるにはどうしたらいいのですか。
A マンションの場合は管理組合に相談し、最低限、構造計算書と竣(しゆん)工(こう)図を手に入れることが必要です。それから各都道府県の建築士会などに問い合わせて、構造建築専門の建築士に見てもらってください。構造計算書などは組合になくても、管理会社や建築業者が持っているはずです。
Q 費用はどれくらいかかるんですか。
A 構造建築専門の建築士でつくる日本建築構造技術者協会は、偽造の有無を調べる簡易調査で五万円を目安にしています。さらに耐震強度を調べたい場合は、建物の形状や延べ床面積次第で、別途、五十万円から百万円程度かかります。期間も一カ月近くかかることもあります。
Q 居住者が全額を負担しなくてはならないのですか。
A 国はマンションなどの耐震診断に、国と地方で補助金を出す方針を決めました。居住者は三分の一の負担で済みます。詳しくは今後、各都道府県や政令市で申請条件や手続きを定めるので、補助を受けたい場合は事前に担当課に問い合わせてください。
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●九州・山口の主な問い合わせ先
▽各県や政令市の建築、住宅担当課
▽福岡マンション管理組合連合会
(電話092―752―1555)
▽日本建築構造技術者協会九州支部
(ファクス092―732―8450もしくは
http://www.jscakyushu-u.megax.ne.jp/)
▽日本建築士事務所協会連合会
(電話03―3552―1281)
▽日本建築士会連合会
(電話03―3456―2061)
[2005/12/16]