完成を目前に控えた九州国博に入り、国博設立準備室の職員の案内で三層の館内を巡った。
入り口からメーンエントランスへ。二層(階)部へエスカレーターが伸びる。特別展の舞台となる企画展示室(二層)、収蔵品を常設するアジア文化交流展示室(三層)へ向かうには、このエスカレーターを使う。開館後、未知なる展示品へ期待をふくらませた来館者の列ができるのだろう。
工事現場独特の塗料や溶剤のにおいが漂う中、すーっと木の香りが鼻をかすめた。二層の企画展示室の奥からにおってくる。「あれが収蔵庫です」と工事担当者。九州国博は、「舞台裏」を見せるバックヤード・ツアーを計画し、常識的には人目につかぬよう館の奥にある収蔵庫まで鑑賞の対象にしているという。収蔵庫壁面にある窓も、九州国博ならでは。バックヤード・ツアーでは、この窓から収蔵品の様子を見ることができる。もっとも「セキュリティーには細心の注意を払わなければいけない」(三輪嘉六・設立準備室長)そうだが。
内部に入ると、収蔵庫はもっと身近に感じる。全面に張り巡らせた杉材は、熊本・小国など九州産が中心。九州の木材が「お宝」を守っているという図は、安心感がある。
二層にある企画展示室、三層のアジア文化交流展示室はとにかく広大さに圧倒される。企画展示室が一五〇〇平方メートル、アジア文化交流展示室は四千百平方メートル。合わせて、実に福岡ドームのグラウンドのほぼ半分の広さ。仏像、陶磁器、螺鈿(らでん)漆器、南蛮屏風(びようぶ)―。時代と距離を経て、太宰府を終息の地に決めた品々と向き合うには、格好の舞台ではないだろうか。
館を出て、外観を振り返ったとき、この特集の一面写真に登場してくれた小学生の「カメみたい」という感想を思い出した。なるほど、波形の屋根の形はカメに見えなくもない。そのカメが今、伝統や実績のある既存の博物館という「ウサギ」を追って、一歩を踏み出そうとしている。周辺の重機の響きを聞きながら、そう思った。
(文化部・塩田芳久)
◇準備室が4月移転 収蔵品搬入は来年から◇
4月中に、東京にある九州国立博物館(仮称)設立準備室が完成した九州国博に移り、開館準備が本格化する。
まず、5月をめどに竣工(しゆんこう)式を実施。その後、展示スペースの工事に取り掛かる。温度・湿度の適切な管理など、館全体の環境に目を配りつつ、展示ケースなどを設置してゆく。この間、新たな展示品の選定や購入を続ける。
収蔵品の九州国博への搬入が始まるのは来年1月の予定だ。本格的な展示・収蔵作業が始まり、修復や研究と並行して2005年秋の開館を目指すことになる。