西日本新聞
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2006年10月15日朝刊掲載】
九州国立博物館 開館1周年
歴史と出合う夢舞台 人が活かし、人を活かす 予想を上回る人気

 九州国立博物館が福岡県太宰府市の丘陵にオープンして、16日で1年を迎える。年間入館者数は目標の30万人をはるかに上回る約220万人を記録。全国で4番目、九州では初の国立博物館を待ち望んできた市民の熱い関心は予想以上に広く、本州や四国、北海道、さらにはアジアからも大勢の人々が集まった。開館からの1年間を、写真を中心に振り返った。
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 オープニング効果を勘案しても、驚異的な動員力を示した九州国立博物館。その魅力はどこにあるのだろう?
 アジア史の視点から構成された常設展示や、国宝級の文化財を集めた企画展示が、その充実ぶりで人を呼び集めたことは間違いない。ガラス張りの壁面と優雅な曲線、巨大なエントランスを持つ建築も好奇心を刺激しただろう。しかし、忘れてはならないのは、「人の力」である。
 福岡県や地元財界、市民が数十年に及ぶ粘り強い誘致運動を展開し、さらに太宰府天満宮が建設用地を寄付して九州国博誕生に至ったことはよく知られている。計画が浮上すると、市民から多大な寄付金が集まった。多くの人々の思いと力が、九州国博には宿っている。
 例えば、奈良国立文化財研究所から請われて福岡県に入り、大宰府の史跡発掘を手掛けた元九州歴史資料館副館長、藤井功氏=1985年死去。誘致運動では東京陳情の先頭に立ち続けた。「九州国博の基盤を作った1人」と三輪嘉六館長は語る。
 開館後の好評を下支えしたのも人の力だ。
 入館者を温かく迎えてくれるのは、約300人のボランティアたち。館内のガイドだけでなく、手話通訳、夏休みの子どもを対象としたワークショップの企画・運営から展示室の環境チェックまで、博物館運営へのボランティアの関与は、前例がないほど深い。
 展示という手段だけでなく、修復・保全といった舞台裏の公開(バックヤードツアー)などを通して、「博物館全体を市民と共有する」という新たな理念は、学芸員を含めスタッフの間に着々と浸透してきた。前例がないだけに、試行錯誤の段階ではあるが、1年目でレールを敷くことはできたといえよう。
 無論、チャレンジすべき課題は多い。市民のニーズを的確につかみながら、それを運営や展示に反映させるコーディネーターがほしい。学芸員と来館者をつなぐ存在である。客員研究員を受け入れ、外部の智恵を集めることも必要だろう。3年という任期が設けられているボランティア側には、そのノウハウの蓄積やより主体的な活動を目指すためにNPO法人化が大きなテーマとして浮上するはずだ。
 九州国博は、予想を大幅に上回る好スタートを切った。今後も、運営の中で「人を活(い)かす」ことが、巨大な箱=博物館を活かすことにつながる。
 (文化部・岩田直仁)


開館1周年を迎えた九州国立博物館。常設展示にも第一級の文化財がそろい、入館者の関心を引き付けている

開館1周年記念イベント「太宰府 古都の光」。和太鼓の生演奏が披露され、九州国立博物館前に勇壮な音が響いた

子どもたちに人気のアジア文化体験エリア「あじっぱ」。実際に手にすることもできる玩具類もある
この秋導入された精密三次元計測装置(ATOS)。文化財の表面の凹凸をデジタル情報化できる。九博は文化財の調査・研究の拠点でもある


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●2005年10月16日・開館
 太宰府天満宮の参道では、開館を祝う横断幕やのぼりが上がり、歓迎ムードが高まった=昨年10月16日



●10月30日・最多入館者21,797人
 開館記念特別展「美の国 日本」。アジアの文化交流史をたどる至宝を見ようと大勢の入館者が詰め掛けた=昨年10月16日

●11月21日・50万人突破
  後漢から唐に至る時代の中国美術を集めた開館記念特別展「中国 美の十字路」=2月11日

●2006年2月19日・100万人突破
 九州国立博物館入館者の推移

●5月14日・150万人突破
 開館記念特別展「うるま ちゅら島 琉球」。海を舞台に多彩な交流の歴史を持つ沖縄に関心が集まった=5月