西日本政経懇話会四月例会が十六日、飯塚市片島一丁目の「ことぶきかいかん」であり、前福島県矢祭町長の根本良一氏が「真の自立めざして―小さな町の大きな挑戦」と題して講演した。
一九八三年に町長に就任した根本氏は、昨年四月まで六期二十四年務めた。二〇〇一年十月、同町議会が全国初の「市町村合併をしない宣言」を議決、一躍名をはせた。
「その町に暮らす人たちの将来を考え、私は合併しないことを決めた。それ自体は、さほど大きな判断ではないのだが、なぜか注目を浴びた。結局は、市町村合併を(半ば強引に)推し進める国に対し、矢祭町は逆らった、というのが実態だったようだ」
宣言後、週末でも役場窓口を開くことや、公共料金を職員宅で受け付けられるようにするなど、次々と改革を打ち出した。
「これらはすべて、職員が考えたことだ。最大で百数十人もいた職員が、いまでは半分以下。人数は減っても、サービスは向上している。合併しない宣言をしたことで、職員間に『もう後戻りはできない。頑張るしかない』という覚悟が生まれた。これが自立へと進む最も大きな力になった」
保育料や給食費は、周辺の自治体に比べて安い。子ども向けの土曜スクールも開校。企業誘致にも力を入れた。
「いかに人口減を食い止め、増加を図るか。働く場所を作ってやるか―。それが矢祭町が自立していくための課題だ。地方自治とは、地方を国と同格にとらえ、大切にすることだと思う。私は、そのスタートを切ったところで退いた。各自治体が高い志を掲げ、自治を発展させていくことを願っている」
=2008/04/17 西日本新聞=