西日本新聞

風にそよぐ草

 ひょんなことから出会った男女の関係をつづる大人の恋愛映画。監督は「二十四時間の情事」「去年マリエンバードで」など、その革新的手法で映画史に数々の名作を残してきたフランスの巨匠アラン・レネ。女性に夢中になるあまり、暴走する初老の男性と、そんな彼が次第に気になりはじめる女性の風変わりなラブ・ストーリーだ。主演のサビーヌ・アゼマ、アンドレ・デュソリエ、脇を固めるマチュー・アマルリック、アンヌ・コンシニなど、フランス映画界を代表する実力派俳優が揃っている。今年で89歳を迎えるとは思えない、みずみずしい感性と、今も衰えぬ実験精神など、レネ監督の才気と手腕に驚かされる。

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テルマエ・ロマエ (2012・日本) タイムスリップが楽しめるぞ

 ことわっておくが、俺のなかで邦画の地位はそれほど高くない。とりわけ漫画が原作の邦画は見るだけ金と時間の無駄だと思っている。そんな俺が言うのだが、この映画、けっこう楽しめちゃったぞ。

 現在からさかのぼること2000年、古代ローマ帝国にひとりのテルマエ(風呂)設計技師がいた。その名はルシウス(阿部寛)、軽佻(けいちょう)浮薄傾向にあるローマの風呂を憂慮する者である。古き良きローマ風呂を復活させようとするも、施工主からは一顧だにされない。思い悩んだルシウスは、ある日、入浴中に溺れてしまう。湯に呑(の)まれ、翻弄(ほんろう)され、命からがら水面に逃れてみれば、なんとそこは現在の日本の銭湯! そう、タイムスリップしてしまったのだ。湯につかっているジジイどもも、風呂のなかから突如湧いて出た古代ローマ人にびっくり仰天する。ルシウスにしてみれば、こんな平たい顔の民族は見たことも聞いたこともない。が、いかんせん広大なローマ帝国のことだ、属地の奴隷にこのような奇天烈(きてれつ)な民族がいたとておかしくない。ルシウスをさらに刮目(かつもく)させたのは、この平たい顔族の持つ高い風呂文化だ。壁の富士山や風呂上がりのフルーツ牛乳にいたく感銘を受けたルシウスは、またしても湯に溺れるという形でローマへタイムスリップしてもどる。ここからルシウスの快進撃がはじまる。日本で見てきたことをローマで実践してみれば、たちまち当代随一のテルマエ設計技師と称賛を浴びることに。ルシウスは古代ローマと日本を行きつ戻りつしながら虚心坦懐(たんかい)に風呂文化を学び、ついには皇帝ハドリアヌスの目にとまるのだが…。

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