唐津舞台の映画「花筐」 反戦への思い熱く 上映会で舞台あいさつ

 ●大林監督「権力に負けない心映す」 常盤さん「演技通して平和つなぐ」 満島さん「親や先祖、沖縄考えた」

 唐津を舞台にした映画「花筐/HANAGATAMI」の先行上映会が唐津市と玄海町で開かれている。独特に日本の美しさを描き、試写を通じて海外の注目も集めている。初日の7日、舞台あいさつに立った大林宣彦監督と俳優の常盤貴子さん、満島真之介さんの3人が唐津市民会館で報道各社の取材に応じ、新作への思いを語った。

 映画の原作は檀一雄の小説「花筐」。日本が戦争へと突き進んでいく時代に書かれ、日中戦争が起こった1937(昭和12)年に出版された。「青春が戦争の消耗品なんて、まっぴらだ」。大林監督は、父親の世代に当たる檀が小説に込めた切実な思いをくみ取って映像で表現した。

 大林監督 映画を製作する際、唐津の人から「今の日本に必要な映画だから、一緒にやりましょう」と声を掛けていただいた。その言葉に、どれだけ勇気が湧いたことか。過去の戦争に対する反省が次の戦争を止める。檀さんのつらい体験がようやく戦争を無くしていく力になろうとしている。

 常盤さん 黒澤明監督が「平和のために映画をつくってほしい」という言葉を大林監督に残したと聞く。俳優として、そのバトンをつないでいく一端を担いたい。戦争を知る大林監督の世代が「戦争が始まるころに似ている」と指摘する今の状況に危機感があり、恐怖に思う。そうならないための方向を映画で伝えたい。

 満島さんは沖縄育ちで、祖父はアメリカ人。映画は日米が戦争に突入する時代に平和を切望し、自分らしく純粋に生きた若い男女を描いた。

 満島さん 大林監督は40年前から唐津でこの映画を作ろうと考え、僕が生まれる前から動いていた。何か大きな力によって、僕は唐津の町や文化との出合いを与えられたのだと感じた。2カ月間の撮影で唐津に溶け込むうち「僕は誰なんだろう」と、自らのアイデンティティーを考えるようになった。唐津では静かな生活の一部として自然と向き合えた。東京で閉じていた心が、唐津の海辺にいると「ここなら大丈夫」と開き、親や先祖、沖縄を考え、戦争の時代に思いは及んでいった。

 映画で、唐津くんちの14台の曳山(ひきやま)が虹の松原を幻想的に曳(ひ)かれていく情景が映し出される。町人である曳き子たちが時の権力に負けず、平和な暮らしを懸命に守ってきた姿が伺えた。

 大林監督 映画は自分たちの鏡。気付かなかったことを映画を通して知り、古里の良さを発見できる。唐津の人は権力が戦争をしようとしても、自分たちは「戦争は嫌だ」と平和を望む心のありようをくんちで見せてきた。その唐津の素晴らしさを映画が表している。唐津の人は「これが唐津なんだ、平和な世界なんだ」と誇りを持って言ってほしい。

 ●好評受け、24日に追加上映 映画製作推進委 唐津市の2会場で

 映画「花筐/HANAGATAMI」の先行上映会を開催中の唐津映画製作推進委員会は、満席で観客が収容できなかった会場が出たため、24日に追加上映を決めた。

 会場は、唐津市南城内の大手口センタービル・オーテホールと、同市相知町の相知交流文化センターの2会場で、いずれも午前10時と午後2時の2回。

 先行上映会は7~17日に同市や玄海町の8会場で計18回を予定。9日のオーテホールと10日の相知交流文化センターの上映会は、週末で出演俳優の舞台あいさつもあったため満席となり、それぞれ約70人と約300人が入場できなかった。委員会は、日時や会場を替えての鑑賞を呼び掛けたが、交通の便の問題などから両会場での追加上映を強く望む声が出たという。

 委員会は映画のロケ地が市内全域に及ぶことから8会場を設け、すべてで鑑賞できる全席自由のチケットを販売中。委員会事務局は「2会場に観客が集中してしまい、入場できなかった人には大変申し訳ない」と話している。

 唐津映画製作推進委員会=0955(72)3278。


=2017/12/14付 西日本新聞朝刊=

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