どの役も違う人に見える、無色女優でありたい 映画「嫌な女」主演 吉田 羊さん

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 ドラマやCM、バラエティー番組などで幅広く活躍中の女優、吉田羊さん。映画初主演作品「嫌な女」が公開中です。地元・福岡で見どころを語ってくれました。ドラマやCMの役柄通り、明るくて気さくな女性でした。

 -まずは、おかえりなさい。

 ★吉田 ただいまです(笑)。

 -今作の監督は、福岡県八女市出身の女優の黒木瞳さん。筑後の先輩に出演を持ちかけられた経緯を。

 ★吉田 筑後出身は関係なかったのですが、瞳さんは、女優である自分が監督をする作品に面白がって出演してくれる女優を探していて、この子ならと私に声を掛けてくれたそうです。

 -映画初主演ですね。

 ★吉田 私は主役肌ではないと思っているのですが、チャンスを与えられたのは、このタイミングで挑戦しなさいということなのだと考えました。主役を経験することで見える景色、感じられることもあると思いました。

 -黒木さんにとっても初めての監督作品でしたね。

 ★吉田 私でいいのか、最初は怖かったのですが、瞳さんは「あなたがいい」と言ってくれました。立場は違うけれど、初めてのことに挑戦する人間が撮影現場に2人いることは心強くもありました。同志として支え合い、作品をつくっていけるという安心感が大きかったです。

 -黒木さんはテレビドラマ「嫌な女」で、吉田さんと同じ「徹子」を演じていましたね。

 ★吉田 この作品にかける瞳さんの情熱を体現し、瞳さんが伝えたいことを演技で再現して、見た人に喜んでもらいたいと思いました。瞳さんは徹子に対して思い入れがあって、細かく指導されました。弱い人なら逃げ出すぐらい。それを乗り越えられたのは、監督が瞳さんだったから。撮影現場で強さを備え付けさせてもらいました。

 -黒木さんはどんな監督ですか。

 ★吉田 瞳さんは、常に自分がどう見られているのか、自分をどう見せるかを意識させるんです。女優ならではの視点ですね。「徹子は地味で内向的だけど、決して根暗ではない。徹子を見て元気になってもらいたい。羊ちゃん、根暗にはならず、地味というラインを探ってね」とも言われました。映画は本来、見た人を元気にする、見た人の人生に一石を投じるエンターテインメントなんだという思いが、瞳さんにはあるのだと思います。

 -同い年のいとこで、対照的な2人の女性の物語。堅物の徹子よりも、木村佳乃さんが演じた、奔放な「夏子」の役が向いていたのでは。

 ★吉田 木村さんは太陽みたいな人で、撮影現場の雰囲気が明るくなる。木村さんの夏子を見ると、私ではなかったなって思うし、どちらかというと私は徹子に近い。自分は自分と言い聞かせながら、でも周りの意見や、すてきだと思う人が気になり、うらやんでしまう。その人の嫌だなって思うところに実はひかれている。そこが徹子と私は似ているんです。だからこそ徹子役を挑戦したいと思いました。

 -大河ドラマ「真田丸」にも出演中ですね。

 ★吉田 (真田信幸の妻)「稲」という役はファンが多くて、皆さんそれぞれのイメージが強い。私が信じる稲像で演じています。最初は真田家を拒否するけれど、彼らの家族愛や人間愛に触れながら変わっていく稲の姿を、演じて感じられるのが楽しいですよ。

 -地元を意識しますか。

 ★吉田 今の吉田羊がいるのは福岡県があるから。自分が生まれ育った場所を大切にしてこそ、頑張れる。「吉田羊は福岡出身なんだね」って誇ってもらえるような活躍をしたい。

 -女優・吉田羊の今後は。

 ★吉田 吉田羊はこういう人だよねって思われたくないんです。自分の枠を外して、これはやらないんじゃないかって思われることにチャレンジし続けたい。どの役を演じても違う人物のように見えるというのが、私にとって最高の褒め言葉。もちろん吉田羊の要素はあるのだけれど、その役にしか見えなかったと言われたい。無色女優でありたいんです。

 ▼よしだ・よう 福岡県久留米市出身。舞台女優として活動を始め、2014年のテレビドラマ「HERO」の検事役で人気を集める。昨年は「映画 ビリギャル」「愛を積むひと」「HERO」などに出演、日本アカデミー賞優秀助演女優賞などの映画賞を受賞した。「SCOOP!」「映画 ボクの妻と結婚してください。」など話題作の出演が続く。


=2016/06/26付 西日本新聞朝刊=

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