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ファンタジーな自分でよかった 歌手 手嶌葵さん

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 聴く人の耳元にそっと語りかける歌手、手嶌葵さん。デビュー10周年の昨年はドラマ「いつかこの恋を思い出してきっと泣いてしまう」の主題歌「明日への手紙」や映画「永い言い訳」の挿入歌、アルバム「青い図書室」の発売、中国でのライブなど大活躍でした。神秘的な少女から、一歩一歩、等身大の女性として力強く歩んでいます。

 -映画「ゲド戦記」での主題歌・声優デビューから10年たち、自分でハンドルを操れるようになってきたのでは。

 ★手嶌 緊張しつつも、ホールや野外などで歌う経験を重ねて、あのときは、このときはああだったと学習し、できるようになってきました。

 -前作「Ren’dez‐vous」からセルフプロデュース。その影響も大きいですか。

 ★手嶌 「歌うだけ」でなくもう少し踏み込みたい欲望が芽生えてきて(笑)。作曲、作詞、音を作るヒントとして、自分のもやもやを正確に他人に伝える必要があるなと。それで、私の中にある曲の主人公が、どんな状況にいて、どんな音楽が流れて…という短い文章、物語を書いた「プロットシート」を思いつきました。

 -そのシート一枚一枚から、全9曲の「青い図書室」が生まれました。

 ★手嶌 本が大好きなので、幼い頃母が読み聞かせてくれた話を核にして、人魚やバラ、孤独…もやもや広がった物語を形にしました。好きな本が部屋の片隅にいっぱいあるワクワク感を表したくて「図書室」なんです。

 -アコースティックギターやアコーディオンがノスタルジックな印象でした。

 ★手嶌 アコーディオンの音はぜひ入れたくて。あと、ギターやベースなどの弦は、柔らかな線が一緒に響いて、空気を感じながら聞こえてくるので、好きな音です。

 -1、9曲目は加藤登紀子さんの曲。

 ★手嶌 昔からスタジオジブリの作品、特に「紅の豚」が大好き。(ジーナ役を演じ、歌った)登紀子さんに憧れて、あんな声になれたらすてきだなって。ライブなどで何度かご一緒しても、好きすぎて、一人で舞い上がるばかり。10周年で曲をお願いしたら快く受けていただき、曲作りのために取材までしてくださった。「葵ちゃんは恋をしてるの?」と言われて、困る質問だなと思いながら「片思いが多かったです」って、たわいのない女子話(笑)。私を感じ取ってくださった曲を頂いて、うれしかった。特に1曲目の「想秋ノート」、「あれは19 夏の終わり 初めての恋 終わった夜」という歌詞に、「ゲド戦記」のときを思いだして、涙が出そうになった。

 -「ゲド戦記」からの嵐のような日々は、ある意味恋に近かった?

 ★手嶌 そうですね。大好きなジブリさん、大好きな映画でデビュー、わぁって顔が赤くなって、その赤みも抜ける前に全てが終わって。夢か、現実か。楽しさ、切なさ。恋という言葉でその全てを表してくださった。

 -放送中のドラマ「女の中にいる他人」では主題歌「赤い糸」も歌われている。主題歌への思いは?

 ★手嶌 いつも皆さんがぐっとなるところで曲をかけていただき、私としては、うれしい思いもありながら恥ずかしさがこみ上げて、最後まで作品をきちっと見られなくなってしまう。でも物語は、現実から少し離れて特別な世界に連れてってもらえるので、作品で歌わせてもらえて幸せです。ファンタジーな自分でよかったなと。

 -ファンタジー? それは物語と共鳴できる自分ということ?

 ★手嶌 今でもよく、「実際に、いらっしゃったんですね」とお客さまから言われるんです(笑)。実在していないように感じられるらしく。

 -その実在の手嶌さんを体感できる、ライブが間もなくありますね。

 ★手嶌 初めのうちは緊張しすぎてぼうぜんとしていたのですが、皆さん本当にニコニコ聴いてくださって、最近はむしろお客さまの顔を見た方が安心できることに気づきました。「青い図書室」の曲やカバー、10年分が詰まったライブになると思います。

 -これからの10年は。

 ★手嶌 この10年、最初はたっぷりあると思いながらも、あっという間だった。今後は他の方のライブも見に行ってみたい。外国でも歌いたい。日本語で自分らしい曲を届けることも、もう少し短い間隔でリリースを続けてもっと楽しい10年にしたいです。 (文・大矢和世、写真・菊地俊哉)

 ▼てしま・あおい 1987年生まれ。福岡県出身、在住。2006年のスタジオジブリ作品「ゲド戦記」でデビュー。昨年はアルバム「青い図書室」を、今年1月にはデジタル配信シングル「赤い糸」を発売した。2月19日午後3時、福岡市・天神の福岡市民会館で、昨年行った10周年記念コンサートの追加公演を行う。指定席6800円。BEA=092(712)4221。


=2017/02/12付 西日本新聞朝刊=

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