心に残る表現者になりたい 映画「モアナと伝説の海」の吹き替え版でヒロインを担当 屋比久知奈さん

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 公開中のディズニー映画「モアナと伝説の海」の日本語吹き替え版で、ヒロインの少女モアナを担当するのは「ディズニーのヒロイン史上最大級のオーディション」で選ばれた沖縄出身の新人、屋比久知奈さん。ミュージカル女優を志し、この春、沖縄を離れる彼女は、世界を闇から守るため、生まれ育った南の楽園モトゥヌイから大海原へこぎ出す主人公モアナと重なります。英語の原曲を日本語で歌う際には日本語の響きを大事にしながら、主人公の思いを乗せました。

 -現役の女子大生。どんな勉強をしてきたのですか。

 屋比久 専攻は英語文化です。英語で文学作品を読んだり、言語学を学んだりしてきました。

 -じゃあ、英語はペラペラ?

 屋比久 ペラぐらい(笑)。

 -ディズニー映画で好きな作品は。

 屋比久 思い出の作品は幼い頃に見た「バンビ」です。母いわく、英語のセリフを覚えて、一緒にしゃべりながら何度も繰り返し見ていたそうです。それがきっかけで英語に興味を持ったのかもしれません。

 -オーディションに合格した時の心境は。

 屋比久 オーディションを受けるだけで満足し、(完成した)映画を見に行くことを楽しみにしていたので、状況を理解するのに時間がかかりました。頭が真っ白になり、泣いたことしか覚えてません。でも夢のような幸せな気持ちでいっぱいでした。

 -ミュージカルの出演経験はあるそうですが、声優は初挑戦ですか。

 屋比久 はい。声の世界って奥が深くて興味が沸きました。細かいイントネーションや声の高さ、低さ、速さ、息の吸い方や吐き方。私が発する言葉のすべてが(モアナの)感情に伝わる。ミュージカルは体の動きや表情も使って表現できますが、声だけではごまかしがきかない。監督のアドバイスに身を任せて、私はモアナと向き合うことに集中しました。

 -モアナは島の外に出てみたいと思いながら、村のおきてで許されず、葛藤を抱えていました。そんなモアナに共感したところは。

 屋比久 私も海に囲まれて育ったので感覚は一緒だと思います。家族や動物が大好きで、負けず嫌いな性格も。あと立場ですね。モアナは新しい世界に飛び出していきますが、誰もが経験する不安や葛藤もありました。私もいつかは東京のミュージカルに出たいと思っています。島は大好きだけれど、(外の世界に)憧れる気持ちは分かります。

 -作品の主題歌「どこまでも~How Far I’ll Go~」も担当していますが、英語の歌を日本語で歌う難しさはありますか。

 屋比久 特にこの曲はそうですが、英語の歌詞は単語が詰まっていて、日本語に訳す時に文字数の制限があって情報量が少なくなってしまう。それでも込められているモアナの感情は同じ。歌詞の一つ一つをセリフのように大事にして、思いを乗せることを考えながら歌います。日本語の響きの優しさを表現することも考えています。

 -英語版のモアナを担当したアウリィ・カルバーリョさんもハワイ出身の新人。対面した時の感想を。

 屋比久 彼女はまさにモアナでした。彼女が育った環境や持っている感覚は私に似ている。作品を通じていろんな世界を見て、声優の苦労も楽しさも経験することで、家族のような親近感が彼女にも生まれましたね。

 -屋比久さんとカルバーリョさんは声も似ていると思います。

 屋比久 私は彼女のファンなので、そう言われるとうれしいです。

 -ミュージカルへのこだわりは。

 屋比久 もともと歌とダンスが好き。言語が違っても通じ合える音楽の力を信じていて、ミュージカルが持つ表現のパワーは大きいと思います。

 -卒業後はどうするのですか。

 屋比久 ミュージカル作品に多く出たいです。そのために努力をして力をつけなければなりません。この作品では声優を経験し、新しい世界に触れました。表現の世界はどれも同じ。心に残るパフォーマンスができる表現者になりたいです。

 ▼やびく・ともな 1994年6月6日生まれ。沖縄県出身。琉球大学法文学部4年生。4歳からクラシックバレエを続けている。2016年、全国拡大版ミュージカルワークショップ「集まれ!ミュージカルのど自慢」で最優秀賞を受賞した。


=2017/03/19付 西日本新聞朝刊=

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