時流の逆いき「正統派」に 2016年M‐1王者 銀シャリ

写真を見る
写真を見る

 漫才日本一を決める昨年末のM-1グランプリで、マイクの前から動かずしゃべりだけの「正統派」スタイルを貫いた橋本直と鰻和弘の2人組「銀シャリ」が、全国3500組の頂点に立ちました。ボケとツッコミが役になりきり、コント風の漫才を展開する「コント漫才」が全盛の中、時流に逆らって栄冠を勝ち取った2人の次なる目標は?

 -一昨年2位から悲願の優勝。さぞやうれしかったのでは?

 ★橋本 「やった!」という感じはなかったです。(5票中3票だったので)まだ足りない、もっとやらなあかんな、という気持ちと、薄氷の差だったので良かったという安堵(あんど)感の両方ですね。

 -なぜお笑いの世界に?

 ★橋本 昔から憧れていましたが、なれるわけないと思っていました。大学卒業後に諦めるためにNSC(吉本興業の養成所)に入った。そしたら、在学中に賞を取れたので「すぐ辞める感じでもないな」と思って。でも基本は辞めるスタンスでいました。

 ★鰻 お笑い芸人って楽でお金もらってええ商売やな、と思ったんで。高校卒業してなめたままNSCに入りました。生のお笑いも見たことなかったんです。だからここまで来るのにえらい時間がかかりました。

 -2人がコンビを組むきっかけは?

 ★橋本 NSCを卒業して3年ぐらいそれぞれ別々のコンビ、トリオでしたが、お互い同じタイミングぐらいで解散したんですよ。そしたら鰻さんから電話かかってきて。

 ★鰻 「橋本ええでぇ」と前の相方から聞いたので、40キロ離れた家まで原付で行って、飯食って話して…。

 -銀シャリの漫才は今の若い人たちと違って正統派ですね。

 ★橋本 そう言ってもらえるのが一番うれしい。時流から離れたものをするのはしんどいけど、僕らが見ていた時代の人はあんまりコントの要素が入っている感じがなく、動かずにワーッとやっていた。それが単純にかっこいいと思っていたんです。日常のおっさん2人の立ち話みたいなのが最高やと思うし、そのまましゃべっていると、ボケ以外のところでも深みも出る。点でウケるのではなく線でウケれば、「人と漫才両方おもろいな」みたいになってくれるのでは、とも思いまして。

 ★鰻 僕が演技できん大根やった、ということも理由ですけどね(笑)。

 -衣装も「やすしきよし」さんを思い出させる青いジャケットに赤いネクタイ。

 ★橋本 今はラフな感じで出るのがかっこいいのですが、単純に普段の私服がださかった。なら、いっそのこと振り切ってそろえようか、と。当時はそんなコンビはいなかったので、最初は笑われて、観客も「ぽかーん」となっていた。「あ、漫才降りた。いろもんになった」という先輩もいました。

 ★鰻 コミックバンドみたいな受け止められ方だった。

 ★橋本 青を選んだのは「やすきよ」さんの感じです。漫才師といえば青に赤ネクタイ。最初はいろんなネクタイをしていましたが、しっくりこんな、と思い赤にしました。

 コント漫才が多かったからしゃべくり漫才の方に行って、私服が多かったから服装をお互いで合わせる。結局時流の逆にいったら、いつのまにか正統派になっちゃったんです。変な感じですよ。

 -これから銀シャリが目指すお笑いはどんなものですか?

 ★橋本 漫才師の中でしゃべくりとかコント漫才とか関係なく一番おもろいと言われるようになりたいですね。漫才師といったら「やすきよ」といったものがあるじゃないですか。あれの平成版というか、漫才といえば「銀シャリ」と。僕らが年を取れば取るほどそういわれるようになりたい。

 ★鰻 そうやな。銅像になりたいです。賞のトロフィーの上に乗っかるような漫才師にね。

 ▼ぎんしゃり 2002年にNSC大阪校に入ったツッコミの橋本直(はしもと・なお、36歳、兵庫県出身)=写真右=とボケの鰻和弘(うなぎ・かずひろ、33歳、大阪府出身)=同左=で05年に結成。08年のABCお笑い新人グランプリで優秀新人賞を受賞。10年にNHK上方漫才コンテストで優勝、15年のM-1グランプリでは2位。


=2017/04/09付 西日本新聞朝刊=

西日本新聞のイチオシ [PR]

西日本新聞のイチオシ [PR]