故郷熊本に力もらった BLUE ENCOUNTギター&ボーカル 田邊 駿一さん

写真を見る
写真を見る

 熊本高専の軽音楽部からスタートし、結成13年目を迎えるBLUE ENCOUNTは今年1月に2枚目のアルバム「THE END」をリリース、5月には福岡国際センターでのライブを控えています。ギター&ボーカルの田邊駿一さんが武道館ライブを成功させるなどめまぐるしかった昨年1年間を振り返りつつ、震災に見舞われた故郷熊本への思いを語りました。

 -昨年を振り返ると?

 ★田邊 シングルを4枚出させてもらい、生みの苦しみを味わいました。ライブでは35カ所のツアー。その前半戦の途中、九州入りする1週間前に地震が起きました。親族や友人は「今帰ってきても何もできることはないから」と。僕たちはライブ会場で開演前にメンバーで募金をお願いしました。200万円以上集まり、熊本でのツアーファイナル前日に熊本市長さんに届けにいかせていただきました。

 -7月のファイナルのために熊本に戻ってきてどうでした?

 ★田邊 ショックでした。飛行機から見る熊本の街に青いシートがいっぱいかかっていて、うそみたいに青くなっていたんです。こんなにも被災したんだな、というのがあって。

 ライブは800人ほど収容の会場だったのですが即日完売で。本当に今、ブルーエンカウント(ブルエン)が求められているんだと思いました。励ますつもりでいったのに逆に力をもらいました。

 -新アルバムはロック、バラード、ラップとさまざまな種類の音楽が入っていますが?

 ★田邊 インディーズデビューした時にいろんな人に「ジャンルは何?」って言われたんですよ。僕らは常にそれに疑問を持っていた。ジャンルって、ただのCDショップに置かれるためのカテゴライズでしかないじゃないですか。何しろ僕が飽き性なので、一個のことをずっとやるなんて無理なんです。そこを考えた時に、どんな音楽でも思い切りブルエンらしくやろうよ、いつしかジャンルがブルエンと言われるようになろうよ、と。それが今回のアルバムでやっと表現できた。

 -ブルエンらしくとは?

 ★田邊 らしさの根底には人の背中を押したいという気持ちがあるので、どんな曲調であれ、聴いて良かったと心を躍らせ、背中を押されたなと思われるようにしたいです。

 -「city」という曲は〈飛び降りようとしたメトロのホーム〉とか衝撃的な内容ですが、これはブルエンの歴史の歌ですか?

 ★田邊 そうです。自分たちの歴史を歌にすることは今までなかった。これは10月の武道館が終わった後に作った曲。武道館の景色を見て「ここで終わりたくない」「俺たち意外といけているんだ」と思った二つの感情がピシッと乗っている。

 〈居場所なんてどこにもない ならば俺らが居場所になればいい〉という歌詞もあります。誰しも居場所がないと思う時があるので、そうなったら発想の転換をすれば楽になる。うちらがまさにそう。そうすることでいい曲も生まれ、今につながる出会いもあり、運気も変わりました。

 -若い人にブルエンが支持される理由はなんでしょうか。

 ★田邊 それは僕が全くカリスマ性を持ってないからだと思います。僕はただのバンドマンとして、夢をいっぱい追いかけ続けている人間としてステージに立っている。それをみんながうなずいてくれているのかな。

 -改めて故郷への思いを。

 ★田邊 自分が足りなかったところを思い出させてくれ、間違ったところをちゃんとただしてくれる場所。地震が起きた時は、何をしたらいいのかすごく考えたんですけど、今思うのは時間があったら帰ってきていっぱいおいしいものを食べたりとか友達に会いに行ったり、実家に帰ったりとか、ただそれだけが尊いんですね。今は復興に向けて歩いているので、その当たり前のことを当たり前のようにやることをしっかりしていこうかな、と思います。

 ▼たなべ・しゅんいち 1987年6月25日生まれ。熊本高専3年の時に同学年だった江口雄也さん=ギター=と高村佳秀さん=ドラム=らとブルーエンカウントを結成。3人で上京後、現ベースで1学年下の辻村勇太さんが加わる。2014年9月にメジャーデビュー。福岡国際センターのライブは5月7日。キョードー西日本=092(714)0159。


=2017/04/16付 西日本新聞朝刊=

西日本新聞のイチオシ [PR]

西日本新聞のイチオシ [PR]