ヒーローは「炎のストッパー」 セカンドアルバム「XXL」発売 岡崎体育さん

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 ミュージックビデオ(MV)にありがちな演出に突っ込みをいれた楽曲「MUSIC VIDEO」でブレークし、その名が知れ渡ったアーティスト岡崎体育さん(28)。メジャーデビュー2年目、セカンドアルバム「XXL」を発売した新鋭が語ってくれた「ヒーロー像」はあの「炎のストッパー」でした。

 -新作は今の音はもちろん、1980、90年代風もあって多彩ですね。

 ★岡崎 もともと1人で作ってる打ち込みの音楽なんで、楽器のパートとか気にせず、どんなジャンルでもやれるんです。誰が聴いても好きな曲が1曲はあるようなアルバムになったし、自主制作時代の「Snack」も「鴨川等間隔」も入れられた。岡崎体育の良さが一番出てると思います。

 -今作も、ネタで笑わせたかと思ったら、急にしっとりした曲も。その振れ幅って戦略ですか?

 ★岡崎 そこまで策略でやってるわけじゃないんですけど、「ネタの上に音楽が載ってるだけやんけ」って見られるのはミュージシャンとして嫌なんです。普通の曲の上にネタが載ってるって根底を理解してほしいんです。今回公開したMVで力強いラウドロックの「感情のピクセル」、ファンクの「Natural Lips」に続いて、しっとりとJ‐POPの王道バラード「式」を選んだのもそういう理由ですね。

 -アルバムを締めくくる「式」。じんわり心にしみます。

 ★岡崎 人生なんて深く考えたこともないし、冷めた態度で生きてきた。でもここで立ち止まって人生を考えてみようと。「式」は「始期」と「死期」を当てはめていて、子どもの頃と老いてからを書きました。入学式、卒業式、結婚式、人生っていろんなタイミングで式があって、切っても切り離せない。それがこの曲です。

 -今の音楽シーンの中で、自身のポジションをどう感じてます?

 ★岡崎 うーん、何となく最近うすうす感づいているのはヒール(悪役)だなって。

 -それは今回、「感情のピクセル」がラウドロックをやゆしてると賛否があったのも含めて?

 ★岡崎 そうですね、僕はそういうつもりが本当になかったのに、批判してるやんけ、風刺してるやんけと言われて。できるだけピエロでいようとは思うんですけど、ピエロになりすぎると自分自身の精神がつぶれてしまうし。でも今まで自分が思ってきた「いやそれは違うやろ」ていう視点、変化球、別の切り口って意識は大切にしていきたいですね。

 -ヒールの役を楽しむぞ、と?

 ★岡崎 いま音楽業界にダークヒーローはいないんで、その枠が余ってるなら買わしてもらおうかって感覚ですね。でもできるなら正義のヒーローでいたいんですけど、僕自身は(笑)。僕を応援してくれてる人には正義のヒーローに見えてるだろうし、その人たちを大切にしたいですね。

 -ヒーローといえば、少年時代のヒーローは誰でした?

 ★岡崎 少年野球をずっとやってて、ユニホームが赤で、僕は背番号14やったんです。広島カープの津田恒実投手と同じで。そのころ津田投手のドキュメンタリーを見て、すごい親近感がわいて。寡黙だけど熱い闘志を持ってる津田投手にあこがれました。

 -いったん就職して、再び音楽の道へ。難しい選択だったのでは。

 ★岡崎 小学校の卒業文集に作曲家になりたいて書いてたんですよ。親を安心させるために一般企業に入る道を選択して、でも昔からの夢がどっかに残ってた。「すげえな、曲作れて」て昔から言われてたのもありましたし、貧乏でも失敗してもいいからやりたいことやろうと決断しました。

 -今も実家暮らしですよね。

 ★岡崎 はい、ずっと家族が炊事洗濯家事すべてバックアップしてくれたので感謝してます。ツイッターに母親やおばあちゃんが出てくるのに好印象を持ってもらえてるし、家族と寄りそって活動をするアーティストがいてもいいなと思って続けてます。でも僕もアラサーなんで、そろそろ出なあかんのかな。洗濯とかも練習して、1人で暮らせそうだなと思ったら考えます(笑)。

 ▼おかざき・たいいく 1989年兵庫県西宮市生まれ。京都府宇治市で育つ。同志社大文化情報学部卒。育った土地にちなんだ「盆地テクノ(BASIN TECHNO)」を掲げ、2012年から岡崎体育名義で自主制作活動をスタートする。メジャーデビュー後、テレビアニメ「舟を編む」「ポケットモンスター サン&ムーン」にテーマ曲を提供。


=2017/07/16付 西日本新聞朝刊=

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