「自分に近い役」なんて存在しない 映画「東京喰種トーキョーグール」主演 窪田正孝さん

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 人と同じ姿をしながら人を主食とする「喰種(グール)」と人の対立を描いた人気漫画「東京喰種トーキョーグール」が実写映画化され、29日から公開されます。映画は、異なる宗教や価値観などで争いが絶えない現代社会の隠喩のようでもあります。喰種と人のはざまで揺れる主人公カネキを演じた窪田正孝さんも作品世界について思いを巡らせたようです。

 -海外含め累計3000万部を超える人気漫画が原作。作品にはどういう印象がありましたか?

 ★窪田 (喰種との対比で)人間ってきれいに生きること、美化することが許される生き物なんだなって思いました。でも人は生きていくためには何でもするんでそういう局面になるときれいごとの理想は崩れてしまう。命を脅かされるような究極の時に、誰が本当に助けてくれるのか、自分の味方は誰かとかも考えました。

 -青年カネキは喰種に襲われたのをきっかけに、人の味覚を失い、人と喰種の中間のような「半喰種」になります。演じるのが難しくなかったですか?

 ★窪田 同じ人間が一人もいないのと一緒で、「自分に近い役」というのは結局本当は存在しない。演じやすい、演じにくいというのはあまりないです。今までのキャリアでやってきたことを全部消してカネキのイメージでやることには徹していました。今回の役に限らず、一回仕事を終えたら、その役は捨てたいといつも思っています。一方で、いろんな方々と出会って、業界の仕組みなども分かるようになった。その上で自分なりの選択をその都度導き出して今の自分があるわけだから、一つ一つの仕事がやっぱり自分の中には残っていってるのかも。

 -今回はアクションシーンも多いですが。

 ★窪田 アクションや壮大なCGだけが目立つ作品にはしたくなかった。一生懸命戦ってしまうのはどうしてもあるんだけど、葛藤する内面を表現する必要もあった。相手を「あやめる」のではなく、相手を「制する」のがカネキくんの戦い方なので、そこの部分は崩したくなかった。人間の部分が無くなってある種動物のような喰種という生き物になった時と人間性を維持している時の差を出したかったです。

 -喰種と人は宿命的に相いれません。共存が難しい世界が描かれているところが、この作品の見どころです。その構図は現代社会の暗喩のようにも思えました。

 ★窪田 喰種からすると人間の方が危害を加える存在だから僕ら(人間側)がある意味、喰種なんですよ。今の社会がどうとかはよくわかりませんが、それぞれの価値観の違いはもちろん人間社会にもともとある。さらにインターネットが普及して人と人との対話がどんどんなくなってきている。便利になった分、すごく人間的な部分が失われているとは感じています。

 -喰種と人がうまく共生していく方法はあるのでしょうか?

 ★窪田 原作の漫画は今も続いていますが、石田スイ先生がどういう答えを最後に導き出すのかファンとして気になります。僕自身は分からないですね正直。

 -映画がシリーズ化されたらまた出演したいですか。

 ★窪田 苦悩する主人公の役に再び入って演じるのはしんどい面もあり、覚悟が必要ですが、縁があればまたやりたいです。

 -ところで、窪田さんはプライベートでは何か葛藤するような究極の選択を迫られたことはありますか?

 ★窪田 一緒に今からご飯食べに行こう、という時に、焼き肉か焼き鳥か、みたいな時かなあ。肉か魚なら選べるけど、肉同士だと迷う。今から焼き肉弁当か唐揚げ弁当か選べと言われたらどうします?

 -気分によるのでは?

 ★窪田 じゃあ今の気分は?

 -唐揚げですかね…。

 ★窪田 僕もです(笑)。そういう選択は迷うでしょう? この前、後輩と飲みに行く際も焼き肉か焼き鳥かで迷って、最終的には多数決で焼き肉に行きました。

 ▼くぼた・まさたか 1988年生まれ。神奈川県出身。2006年、ドラマ「チェケラッチョ!! in TOKYO」にいきなり主演デビュー。ドラマ「花子とアン」の朝市役、「Nのために」の成瀬慎司役の演技などで注目された。主な映画出演作は「カノジョは嘘を愛しすぎてる」「64-ロクヨン-前編/後編」など。


=2017/07/23付 西日本新聞朝刊=

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