死ぬ間際までクリエイターが言いそうなこと言いたい 「憑依芸」が大人気 ロバート・秋山竜次さん

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 お笑いトリオ・ロバートの秋山竜次さんが架空のクリエイターにふんする雑誌の企画「クリエイターズ・ファイル」が人気です。単行本化に続き、福岡パルコ(福岡市中央区)では各クリエイターのポートレート展示などを楽しめる展覧会を開催中(10日まで)。「フェイク(偽)ニュース」や「ポスト・トゥルース(脱真実)」という言葉が飛び交う昨今。秋山さんが実在しない人物になりきる「憑依(ひょうい)芸」も一つの社会現象なのでしょうか。

 -「ジェネラルCGクリエイター磯貝KENTA」「テクニカル・サウンド・アレンジャー重松光」…なんか、一見かっこよさそうで、ちょっと怪しげでもある肩書を演じることが多いですね。

 ★秋山 かっこつけた名言を言いそうな職業ジャンルは意識しています。僕は学生の頃からはたからちょっと引いた目で見るところがあって、「あいつ、ちょっとかっこつけてるな」とか、「今決めにいったな」とか、友達のそういう場面をふだんから心の中でクスクス笑っているタイプだったんです。先生でも生徒でもそういう態度を見逃さない嫌なやつでした。あいつバスケットボールをプレーするよりも、指の上でボール回してかっこつけるところに命をかけてないか、みたいなことが気になるんです。今はそういうモヤモヤを発散している感じですね。

 -どういうきっかけでこの企画はスタートしたのでしょう。

 ★秋山 最初はフリーの雑誌で何ページか好きにやりませんかというお話があって、何にしようかと考えたんですけど、小説とかお話を作るのは得意な方ではないので、コントの延長で扮装(ふんそう)してやるのがいいかな、と思ったんです。今までアイデアはあったけどロバートの3人では処理できなくて使えなかったキャラクターがたくさんあった。動くコントでは難しいけど、写真だと世界観を作りやすい面もあって。そういう意味では、自分の中では成仏できてなかったキャラたちがようやく成仏できているといったところです。

 -役作りは入念にやっているんですか?

 ★秋山 毎回とにかく自分でやってみたいなというキャラクターを選んでからは基本的にアドリブですね。こういう職業の人はこういうこと言いそうだな、って勝手に決めつけてやる芸なんで。下調べとかやってしまうと逆に面白くない。イメージだけで適当になりきるのが楽しい。露骨に名言を言いたい人、語録残したい人っていると思うんですよ。インタビューを受けながら、自然と「そこ書いてほしい」アピールをして、紙面化した時に太字になるようなことをなりきって言いたい。マジでそれ言ってそうって言葉が口からポンと出た時はうれしいですね。

 -秋山竜次本人としてそういう名言はありますか。実際にこだわっている点と言いますか。

 ★秋山 そうだなあ…。やっぱり、ただただ「面白かった」と言われたいだけですよね。「良かったね」とか「好きだなあ」とか褒めてくれるような人にも、あれ、まだ「面白かった」っていうキーワードが出てないよ、って求めてしまいます。

 -レパートリーは今どれくらいあるのでしょうか。

 ★秋山 レパートリーは無限にあります。生きている限りレパートリーあります。死ぬ間際までクリエーターが言いそうなことを言いたいです…はい、ここは書いてほしいとこですよ(笑)。

 -熊本県上天草市に移住した北欧出身のラルフ・ボーデン氏と、妻で地元出身の万紀子ボーデンさんの一人二役では、地元自治体が全面的に協力していますね。

 ★秋山 上天草市のプロモーションの一環なんですけど、いかにも宣伝、CMみたいな感じにはしたくなかった。僕の世界観を壊さずに好きにやっていいという理解があったからできました。夫婦の面白さが先にあって、後からその夫婦が住んでいる場所がああ、上天草なんだ、となる。紙面と連動した動画でも上天草にある本物のカフェなど実在の場所を使っているし、役所側に使用料をこちらが払ってやるようなことを逆に無料でできたのでぜいたくでした。

 ▼あきやま・りゅうじ 1978年8月15日生まれ。北九州市門司区出身。1998年に山本博、馬場裕之とロバート結成。バラエティー番組「はねるのトびら」への出演でブレークした。熊本市の熊本パルコでも秋山さんふんするファッションデザイナー「YOKO FUCHIGAMI」の公式ブティックが10日まで期間限定オープン中。


=2017/09/03付 西日本新聞朝刊=

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