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幸せなルーティーンワーク続けたい デビュー20周年のGRAPEVINEボーカル 田中 和将さん

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 ロックバンドGRAPEVINEがデビュー20周年を迎え、15枚目のアルバム「ROADSIDE PROPHET」を発売した。この20年で、ネット配信など音楽をリスナーに届ける手段は多様化し、音楽業界を取り巻く環境は一変。そんな中でもバンドは骨太なサウンドと「文学的」とも評される歌詞が相まった独自の音楽世界を貫く。ボーカル・ギターの田中和将さんに20年の歩みとこれからを尋ねた。

 -20年で音楽業界の状況も変化しました。

 ★田中 厳しい状況になってきている。僕らのデビュー間もない時期がおそらく一番日本でCDが売れていたはず。時代の追い風の恩恵を受けられた。それ以降のバンドは商業的には厳しい環境の中でデビューしなければならず、僕らにはない苦労をしている。

 -下の世代のバンドを「起業家的」だとも、ある雑誌のインタビューでは評していましたが。

 ★田中 今はメジャーレーベルと契約せずにインディーズでバンド活動をやるのは当たり前。東京に住んでなくても発信のやり方はいろいろあり、細分化している。おのずと起業家みたいな才能が必要なんじゃないか。

 -バンドを長年続ける秘訣(ひけつ)はあるんでしょうか?

 ★田中 もともとメンバーは友達同士じゃなくて知人を介して知り合った浅い関係なんです。長く続いた一つの要因は、干渉しあわない、近からず遠からずの関係性にあったのかもしれません。まあでも、20年続いたのはたまたま。何かの間違いですごく売れたりとか、活動が続けられないぐらい売れなくなったりとかすると事情は随分変わっていたでしょう。

 音楽的には若い頃の方がむしろ凝り固まっていた。いろんなことを知って、柔軟になったところはある。一方で、変わらない価値観、美学みたいな太い筋は一本ずっと通っているとも思います。

 -新作の収録曲には「自国の愛ゆえ 自分を応援します 差別も虐待なども対岸の火事で」(Shame)「血も涙もないワイドショーのポストトゥルース」(聖ルチア)など時事的な歌詞もある。

 ★田中 できるだけ冷静に俯瞰(ふかん)して歌詞を書いているつもり。白黒、右左、明確に書くわけにはいかないな、という気持ちがある。一方でどっちかはっきりさせないのもずるいとも思う。だから視点が多面的になる書き方になってしまうんです。どの視点から言うか、みたいなのが交錯する。でも、そもそもロックにおけるプロテストソングって直接的にメッセージを言うのではなくて、物語や比喩に仮託して社会に投げかけるもんだと思うので、僕のやり方は普通でしょう。歌詞を独立したストーリーとして読もうとしている人が多いのは分かるけど、僕はそういう歌詞を書こうとはしていない。

 -歌詞だけが重要ではないということですね。

 ★田中 楽曲だけでも十分なイメージや景色があり、それをコラージュしたような歌詞を書いている。聞き手には個々の歌詞を深読みしてもらっても構わないですが、イントロやギター、ピアノのフレーズ、無音の部分も含めてまるまる一曲がストーリーで、歌詞はその一部なんです。

 -その歌詞はやはり曲先行なんですか?

 ★田中 音に引っ張られる場合が多い。これ歌詞から先に作ってるなあ、というのは他人の曲を聞いててもだいたい分かるんですけど、たいていダサい(笑)。もちろん人それぞれの好みやと思いますよ。

 -「The milk(of human kindness)」の歌詞はシェークスピアの「マクベス」から触発された?。

 ★田中 ぶっちゃけた話、米国のトランプ大統領をやゆしようと思ったんですけど、トランプがいい悪いと言ってしまわない書き方で、曲を作ろうとした時に「マクベス」がぴったりだった。

 -今後のバンドの目標は?

 ★田中 今までもすぐ先だけを考えて走り続けてきた。これからも作って演奏して、作って演奏して、の幸せなルーティーンワークを新鮮な気持ちで面白いなと思い続けていたい。

 ▼グレイプヴァイン/たなか・かずまさ 1974年1月15日神戸市生まれ、大阪府枚方市育ち。ボーカル・ギター担当。西川弘剛(ギター)、亀井亨(ドラム)との3人組。21日午後6時、熊本市のB.9V1、22日午後5時、鹿児島市のCAPARVO HALL、11月18日午後6時、福岡BEAT STATIONでライブがある。オールスタンディング4800円(ドリンク代別)。BEA=092(712)4221。


=2017/10/15付 西日本新聞朝刊=

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